三里さんり)” の例文
可愛かはいいこの一族いちぞくは、土手どてつゞくところ、二里にり三里さんりあしとともにさかえてよろこぶべきことを、ならず、やがて發見はつけんした。——房州ばうしうときである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彦右衛門が、着いた朝、宿営の一室をのぞくと、秀吉はひとりで足の三里さんりきゅうをすえていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此地震このぢしん場合ばあひおいて、大地だいち開閉かいへいおこしたところは、リスボンの對岸たいがん、アフリカのモロッコこく首府しゆふモロッコから三里さんりほどはなれた一部落いちぶらくであつて、そこにはベスンバ種族しゆぞくばれる土民どみんまつてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
けれど吾等われら勞力らうりよくつひ無益むえきとならで、やうやくことしまいたのは、かれこれ小半日こはんにちすぎてからあとことわづ三里さんりなみうへを、六時間ろくじかん以上いじやうとははなはおそ速力そくりよくではあるが、それでもわたくしほど辛苦つらかつた。
が、あひだに、おな瓜井戸うりゐどはらふのがある。これなんたて四里八町よりはつちやうよこ三里さんりあまる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
露八は、自分のあし三里さんりへ、きゅうをすえていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家業かげふ奮發ふんぱつすれば、あと三里さんり五里ごりはしれようが、それにしても、不忍池しのばずいけ三十幾囘さんじふいくくわい——いはんや二十七里にじふしちりづけの車夫くるまや豪傑がうけつであつた。つたものにとくはない。が、ほとん奇蹟きせきはねばならない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞鶴まなづるはま風景ふうけいことし、大島おほしままで十三里じふさんり、ハジマまで三里さんりとぞ。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あたりは蝙蝠傘かうもりがさかついで、やごゑけて、卍巴まんじともえを、薙立なぎた薙立なぎた驅出かけだした。三里さんり山道やまみち谷間たにまたゞ破家やぶれや屋根やねのみ、わし片翼かたつばさ折伏をれふしたさまなのをたばかり、ひとらしいもののかげもなかつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)