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二十七里
一寸話題には
成らうと
思ふ、
武生から
其の
道程、
實に
二十七里である。——
深川の
俥は
永代を
越さないのを
他に
見得にする……と
云つたもので、
上澄のいゝ
處を
吸つて
滓を
讓る。
家業を
奮發すれば、あと
三里五里は
走れようが、それにしても、
不忍池の
三十幾囘——
況んや
二十七里を
日づけの
車夫は
豪傑であつた。
乘つたものに
徳はない。が、
殆ど
奇蹟と
言はねばならない。