“てつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
28.6%
25.4%
20.7%
14.1%
2.3%
2.3%
0.9%
河豚0.9%
鉄板0.9%
天津0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
鉄瓶0.5%
鋳鉄0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
外に拙者と、お腰元が一人、おまつといってこれは十八、仲働きが二十六のおみやという忠義者、下女が二人、それにてつという仲間ちゅうげんがいる。
だからこの第一部だけをとつて、又しても『假面の告白』のてつを踏みはしまいかと心配するのは、おそらく杞憂といふものだらう。
町方から取締りの役人は出て居りますが、外の事と違つて、信心に關する限り、幕府は放任政策にてつして、大抵のことは見て見ぬ振り。
りや大層たいそう大事だいじにしてあるな」醫者いしやきたな手拭てぬぐひをとつて勘次かんじひぢた。てつ火箸ひばしつたあとゆびごとくほのかにふくれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
明治辛未しんびの三歳、吾がてつ義卿ぎけい身を致せしをること、すでに十三年なり。その間風雲しばしば変わり、つねに中懐に愴然そうぜんたること無きあたわず。十月某日はすなわちその忌辰きしんなり。祭りてこれに告げていう。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「壁をてつした生活」と云ふ詩には巴里パリイの夜の街のどの家の壁も作者の前に無くなつて各人の心持が大音楽の様にきこえる光景を歌つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
孔子に三千の門人ありて門に十てつをいだす。
うちは御覧の通り腰掛け店で会席など改った料理はやらず、今のところ季節柄河豚料理一点張りだが、河豚てつは知ってるのかと訊かれると、順平は、知りまへんとはどうしても口に出なかった。
放浪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その代り、あれだけの長櫃はどんな梵妻おだいこくのとこにだつてありつこなしさ。上張りの鉄板てつなんざあ、おれがポルタワへ出仕事に行つたをり、百人長ソートニックの二輪馬車に張つたのより、ずつと上物なんだぜ。
蘭軒の女は天津てつ智貌ちばうちやうじゆん万知まちの五人で、長は第三女であつた。長の夫は棠軒の親類書に「御先手井手内蔵組与力井戸応助」と云つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
頃日このごろ伊沢分家にたゞして知り得たる所に従へば、蘭軒の長女は天津てつで、文化二年に夭した。其生年月をつまびらかにしない。二女智貌童女は文化九年中生れて七日にして夭した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
このごろ佐藤一斎のてつ佐藤梅坡ばいはといふもの此に来て教授す。天民大窪酔客も亦来遊すといふ。此日天赫々なれども、山間の駅ゆゑ瘴気冷然たり。行程八里きよ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
のみ皿小鉢さらこばちたゝき或はうたひ或はをどりなどして樂みけり却説さても袋井の甚右衞門は此程このほどお芳の逃亡かけおちなせしはてつきり九郎兵衞の所業ならん然すれば不動院などに匿れ居るも知れずと流石さすが商賣柄しやうばいがらだけはやくもかん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
五助は身をひねって、心覚こころおぼえうしろざまに棚なる小箱の上から、取下とりおろした分厚な一てつの註文帳。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
去年勅諚ちょくじょう綸旨りんし等の事一てつすといえども、尊皇攘夷いやしくもむべきに非ざれば、また善術を設け前緒を継紹けいしょうせずんばあるべからず。京師学校の論また奇ならずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
『勿体なう御座ります。有難うて眼から涙が……一円もやらうと仰つては私の様な乞食でも、どうしても貰へませぬ』と竹籠を車に収めて車のてつに手をかけてひき出した。
「さうして奥のお鉄瓶てつも持つて来ておくれ。ああ、もう彼方あちら御寝おやすみになるのだから」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
鋳鉄てつ小板こざねがキラキラと閃めき、長劔が鞍にあたつて音を立てる。兜が揺れあがり、口髭は黒ずみ、両眼は瞑られて、睫毛が伏さつてゐる——彼はまどろんだまま、夢うつつで手綱を握つてゐるのだ。