てつ)” の例文
船手ふなて奉行の手で、川口の舟を調べはじめたのは、中一日置いた二十一日の晩からである。城の兵備をてつしたのも二十一日である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「壁をてつした生活」と云ふ詩には巴里パリイの夜の街のどの家の壁も作者の前に無くなつて各人の心持が大音楽の様にきこえる光景を歌つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
なんだか、へだて或物あるものてつして、直接ぢかわたしせつしてやうとする様子やうすが、歴々あり/\素振そぶりえる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼は倹約令をくのみならず、倹約の敵たる淫蕩いんとう奢侈しゃしの風俗を矯正せんと欲せり。彼は男娼を禁ぜり、彼は隠売淫かくればいいんを禁ぜり、彼は各売淫所をてつして、これを市外の一所にうつせり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
保安上ほあんじやう容易よういならぬ問題もんだいであるといふので(それにみだりに神社呼じんじやよばはりをこと法律はふりつゆるさぬところでもあるので)奉納ほうのう旗幟はたのぼり繪馬等ゑまとうてつせしめ、いはやから流出りうしゆつする汚水をすい酌取くみとるをきん