ぐろ)” の例文
どすぐろいはだをして、その目はまっ黒で、なんだかかなしそうに見えました。女の子は、ゲルダのこしのまわりに手をかけて
さうしてその四かくあななかから、すすとかしたやうなどすぐろ空氣くうきが、にはか息苦いきぐるしいけむりになつて濛濛もうもう車内しやないみなぎした。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かんがへ、かんがへつゝ、雨戸あまどつて、裏窓うらまどをあけると、裏手うらて某邸ぼうていひろ地尻ぢじりから、ドスぐろいけむりがうづいて、もう/\とちのぼる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きりやうは決して良い方ではなく、淺ぐろい顏と、大きい眼が印象的で、赤い唇の曲線が、妙に情熱を感じさせます。
「うむ、そりやさうだとも。大井だの目ぐろだの。ぼくすきだな。あすこらへんのちよつとたかみに、バンガロオふううちでもてられたら、どんなにいいから?」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「長谷川君と二人でつかつてるんだが、実際その通り目の下のどすぐろい女でね、よくしやべるんだ。」滿谷が起きた様だから行つて見ると小豆あづき色の寝巻のまゝで黒い土耳其トルコ帽を
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
島を越して向側むかふがはの突き当りが蓊鬱こんもりとどすぐろひかつてゐる。女はおかうへから其くら木蔭こかげを指した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うち低み榎かぐろ布橋ぬのばしの日ざかりの靄我は飛び過ぐ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ああ重苦しく、赤ぐろ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
……うして小兒こどもで、とうたがふばかり、おほきな澤庵石たくあんいし手桶てをけうへに、づしんとつて、あだぐろく、ひとつくびれて、ばうといて、可厭いやなもののかたちえた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
窓が多い所為せゐで堂内の明るいのは難有ありがたさを減じる様に思はれた。塔の正面のたんを塗つた三ヶ所の汚れた扉は薄ぐろく時代の附いた全体の石づくりと調和して沈静の感を与へた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
代助は垣根かきねまへを通るとき、先づ其屋根やねいた。さうして、どすぐろい瓦の色が妙にかれの心を刺激した。代助には此ひかりのないつちいたが、いくらでもみづむ様に思はれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
運河のどすぐろき水にも
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ああ重苦しく、赤ぐろ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)