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ふりがな文庫
“
黒人
(
くろうと
)” の例文
しかし
黒人
(
くろうと
)
になればたぶんただ一面のちゃぶ台、一握りの卓布の面の上にでもやはりこれだけの色彩の
錯綜
(
さくそう
)
が認められるのであろう。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
(
凡
(
おほよそ
)
たたみ類の事あちらは
黒人
(
くろうと
)
也。こちらはしらず候ゆゑ也。)勿論
浦郷
(
うらざと
)
にて便も宜候故也。私添書どもなきをあやしむことなかれ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「和尚は素人だから、千円も包まなければならないのだ。それを職業にしてゐる
黒人
(
くろうと
)
だつたら、
極
(
きま
)
つた相場といふものがあるからね。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
我武者羅に押一手で成功するは唯
地女
(
じおんな
)
を
口説
(
くど
)
き落す時ばかり。
黒人
(
くろうと
)
にかかつては
佐野治郎左衛門
(
さのじろざえもん
)
のためしあり。迷はおそろし。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この
黒人
(
くろうと
)
だか
素人
(
しろうと
)
だか分らない女と、私生児だか普通の子だか怪しい赤ん坊と、濃い
眉
(
まゆ
)
を心持八の字に寄せて
俯目勝
(
ふしめがち
)
な白い顔と、
御召
(
おめし
)
の着物と
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
中には
火消
(
ひけし
)
の
黒人
(
くろうと
)
と緒方の書生だけで
大
(
おおい
)
に働いた事があると
云
(
い
)
うような
訳
(
わ
)
けで、随分活溌な事をやったことがありました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
けれども更に考へてみると、此の記者も亦記事捏造の手腕に於ては、大阪毎日の記者に勝るとも劣らない
黒人
(
くろうと
)
藝である。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
現在では、この教育程度向上のお蔭で、
黒人
(
くろうと
)
上がりでない限り、日本の上流婦人は女学校卒業程度以上の学力あるものと限られているようである。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
彼女は所謂「意気な女」、———すつきりした、藝者らしい姿の人ではなかつたけれども、
黒人
(
くろうと
)
臭い病的な感じがなく、瀟洒と云ふよりは豊艶であつた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし夏の暑い日にはバターが直ぐに溶けて来て流れ出しますから素人に出来ません。
黒人
(
くろうと
)
でも夏は石の展し板の上で手速く拵えないとよく出来ません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
或時は露骨に叙し、或時は一種厭味の装飾を用うるを要す。語を
更
(
か
)
へて言はば、多数素人へのあてこみは少数
黒人
(
くろうと
)
の最も
厭忌
(
えんき
)
する方法を取らざるべからず。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
同時に氏は素人の域を脱して
黒人
(
くろうと
)
の範囲に足を踏ん込んだ事になったので、今までは道楽半分であった創作が今度は是非とも執筆せねばならぬ職務となった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
子供の時に
褒
(
ほ
)
められたものも、本当にその道の門に這入れば、その時の作など
黒人
(
くろうと
)
側からは何んでもないのであるから、決して子供の時のことを頭に置いてはいけない。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の
襷掛
(
たすきが
)
けで、二の腕まで
露呈
(
あらわ
)
に白い、いささかも
黒人
(
くろうと
)
らしくなかったと聞いている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
罷
(
まか
)
り出でたのは乗合いの中の
素人
(
しろうと
)
にしては黒っぽく、
黒人
(
くろうと
)
にしては人がよすぎる五十男。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
岸には夕方の釣に出る
素人
(
しろうと
)
や
黒人
(
くろうと
)
の舟が一杯集つてゐた。少年は河の岸まで來ると安心して、そして何事も考へずに空の一方を眺めた。河下の空は繁い雲がまつ赤に染められてゐた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
何時かの展覽會に出した風景と靜物なんか
黒人
(
くろうと
)
仲間ぢや評判が好かつたんだよ。其奴が君、遊びに來た中學生に三宅の水彩畫の手本を推薦してるんだからね。……僕は悲しかつたよ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
別して鹿狩りについてはつの字崎の地理に詳しく犬を使うことが
上手
(
じょうず
)
ゆえ、われら一同の
叔父
(
おじさん
)
たちといえども、
素人
(
しろうと
)
の仲間での
黒人
(
くろうと
)
ながら、この連中に比べては先生と
徒弟
(
でし
)
の相違がある
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
或は
黒人
(
くろうと
)
上りかとも思ってみたが、下町育ちは山の手の人とは違う。此処のお神さんも下町育ちだと云う。そういえば、何処か様子に似た処もある。或は下町育ちかも知れぬとも思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
父親の影響で——或ひは寧ろ父親にすすめられて、この方面に関係してゐたらしいが、彼はその方面では立派に
黒人
(
くろうと
)
の素質があつたし、くろうと以上の或る神秘的な能力さへあつたらしい。
長島の死
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
黒人
(
くろうと
)
がきくと、あらゆる囃子の手がもちいられてあって舌をまくというが、そのよき伴奏者のために、細い二本の
絃
(
いと
)
は悲鳴をあげなければならなくなって、二絃琴の真のよさを失なった嘆きがある。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
十手をお預りして
黒人
(
くろうと
)
仲間に隠れもない捕物名誉だとのこと。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
黒人
(
くろうと
)
の
道具商
(
だうぐや
)
さんが
掘出物
(
ほりだしもの
)
を
蹈
(
ふ
)
み
倒
(
たほし
)
にやつて
参
(
まゐ
)
ります。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
○長く
所謂
(
いはゆる
)
素人
(
しろうと
)
たれ、
黒人
(
くろうと
)
たる
莫
(
なか
)
れ。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
黒人
(
くろうと
)
の消さずに焚いているような
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
しかし
黒人
(
くろうと
)
になれば多分唯一面のちやぶ臺、一握の卓布の面の上にでも矢張りこれだけの色彩の錯綜が認められるのであらう。
写生紀行
(旧字旧仮名)
/
寺田寅彦
(著)
素人
(
しろうと
)
の浄瑠璃は鼻の先に巣くつてゐるが、呂昇のやうな
黒人
(
くろうと
)
のは、何処に隠れてゐるのか医者にも一寸判らないといふ事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
釣竿なしで釣が出来るものか、どうする了見だろうと、野だに聞くと、
沖釣
(
おきづり
)
には竿は用いません、糸だけでげすと顋を
撫
(
な
)
でて
黒人
(
くろうと
)
じみた事を云った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒人
(
くろうと
)
らしい女連も黙ってしまう。なぜだか大村が物を言わないので、純一も退屈には思いながら黙っていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
時々
黒人
(
くろうと
)
上りの者を女房とも附かず引き擦り込む事がありますが、惚れたとなったら、彼のだらし無さは又一入で、女の歓心を買うためには一生懸命お太鼓を叩き
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
原書を名にして金を貪る
又
(
また
)
或
(
あ
)
る時、家老
奥平壱岐
(
おくだいらいき
)
の処に原書を持参して、
御買上
(
おかいあげ
)
を願うと持込んだ所が、この家老は中々
黒人
(
くろうと
)
、その原書を見て云うに、
是
(
こ
)
れは
宜
(
よ
)
い原書だ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
習う本人のみならず
黒人
(
くろうと
)
の先生方でも何だか解からぬまま
唸
(
うな
)
っているのが多く、ましてその他の曲に到っては全部雑巾のように古びた黒い寄せ文句で出来上っているのだから
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
パン種にも色々の製法があってよく
麦酒
(
びーる
)
を混ぜる人もあります。白米と
麹
(
こうじ
)
で拵える法もあります。そんな事は先ず
黒人
(
くろうと
)
の仕事で
素人
(
しろうと
)
に不便ですから一番軽便な法を申上げましょう。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その調子がいかにも
黒人
(
くろうと
)
じみてゐて、今迄の努力の廢止を
促
(
うなが
)
す絶對の合圖となつた。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
何時かの展覧会に出した風景と静物なんか、
黒人
(
くろうと
)
仲間ぢや評判が好かつたんだよ。
其奴
(
そいつ
)
が君、遊びに来た中学生に三宅の水彩画の手本を推薦してるんだからね。……僕は悲しかつたよ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
チクチク針を運ぶ手などは見ても面白いようでした。また
月琴
(
げっきん
)
が旨い(その頃はまだ月琴などいうものが
廃
(
すた
)
っていませんでした)。すべてこういった調子に相当折り紙つきの
黒人
(
くろうと
)
でした。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
第一文章がうまい上に、知らない人が讀むと如何にも
眞實
(
ほんと
)
らしく思はれる程無理が無く運んでゐて、此種の記事にはつきものの誇張を避けたところなどは、
嘘詐
(
うそいつはり
)
の記事では
黒人
(
くろうと
)
に違ひない。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
そうですね、胡見沢なんぞも、あれで
黒人
(
くろうと
)
なんでしょうよ、色が黒いから。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三十年の新年に初めて新年宴会が
不忍
(
しのばず
)
弁天境内の岡田亭で催おされた。その時居士は車に乗って来会した。其村君が余興として軍談を語った。平生のドンモリに似合わず
黒人
(
くろうと
)
じみて上手に出来た。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
どれが雌だか、雄だか、
黒人
(
くろうと
)
にも分らんで、ただこの前歯を
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分はお兼さんの
愛嬌
(
あいきょう
)
のうちに、どことなく
黒人
(
くろうと
)
らしい
媚
(
こび
)
を認めて、急に返事の調子を狂わせた。お兼さんは
素知
(
そし
)
らぬ風をして岡田に話しかけた。——
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の絵を一つの単純な絵として見て
黒人
(
くろうと
)
のと比較する時に、自分のほうがいいと思いうるほどの自信がないと見えて、T君の絵と説とにすっかり感心してしまった。
自画像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
如何にも
黒人
(
くろうと
)
の態度を見ろと云わんばかりに厳粛な面構えを拵え上げて、「夕ぐれ」「わがもの」「わしが国」「秋の夜」「忍ぶ恋路」と知って居るだけ片ッ端からお
浚
(
さら
)
いをした。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仕事は、浅草のを除いていずれも
家庭荒
(
はとがりあら
)
し(鳩狩?)が主で、しかも、ほかの
脅迫
(
ぱくり
)
や
誘拐
(
かたり
)
見たように少数の
黒人
(
くろうと
)
の腕揃いではない。団結も固くなければ、仕事もチャチなのがあるという。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
小石川のお母様は、
黒人
(
くろうと
)
ではないが、身分の低いものの娘であつたのを、博士の
外舅
(
しうと
)
が器量望で、支度金を遣つて
娶
(
めと
)
つたのださうだ。此の細君の容色はお母様の系統を引いてゐるのである。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ダカラ私は簿記の
黒人
(
くろうと
)
でなければならぬ、所が読書家の
考
(
かんがえ
)
と商売人の考とは別のものと見えて、私はこの簿記法を実地に活用することが出来ぬのみか、他人の記した帳簿を見ても
甚
(
はなは
)
だ受取が悪い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうしてその自分に「私」という名を
命
(
つ
)
ける事のできなかった津田は、
飽
(
あ
)
くまでもそれを「特殊な人」と呼ぼうとしていた。彼のいわゆる特殊な人とはすなわち
素人
(
しろうと
)
に対する
黒人
(
くろうと
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして舞台に
於
(
お
)
ける芸術の意味を、役者の手腕に就てのみ用いべきものと狭義に解釈していた。だから梅子とは大いに話が合った。時々顔を見合して、
黒人
(
くろうと
)
の様な批評を加えて、互に感心していた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
素人
(
しろうと
)
だか
黒人
(
くろうと
)
だか、大体の区別さえつきませんか」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“黒人”の解説
黒人(こくじん)は、通俗的人種概念の一つで、肌の色が濃色で黒に近い人種の総称。黒色人種(こくしょくじんしゅ)。日焼けなどではなく、遺伝で肌の色が黒に近い。
過去の形質人類学でいうネグロイドと同義に用いられる。
(出典:Wikipedia)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“黒人”で始まる語句
黒人種
黒人上
黒人奴
黒人扱
黒人歌
黒人筋
黒人舞踏
黒人諸島
黒人霊歌