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しゃべり
ふりがな文庫
“
饒舌
(
しゃべり
)” の例文
黄昏、時々お
饒舌
(
しゃべり
)
な雲が
速歩
(
はやあし
)
で窓を通つて行くのですが、私の胃の腑にも柔かな饒舌が其の時うとうとと居睡りに耽つてゐるのです。
帆影
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
夜長の
折柄
(
おりから
)
お
辰
(
たつ
)
の物語を御馳走に
饒舌
(
しゃべり
)
りましょう、残念なは去年ならばもう少し面白くあわれに申し
上
(
あげ
)
て
軽薄
(
けいはく
)
な京の人イヤ
是
(
これ
)
は失礼
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
女中
(
じょちゅう
)
に対しても同じです。
余計
(
よけい
)
なお
饒舌
(
しゃべり
)
や
譃言
(
うそ
)
を
云
(
い
)
う時には口では云わずになるたけきつい顔して無言のいましめをしてやります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
芳子さんは、お
饒舌
(
しゃべり
)
ではありませんでしたから、お友達の誰にもそんな事は話しませんでした。が、真個に芳子さんは時に情無くなりました。
いとこ同志
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この亭主もベラベラお
饒舌
(
しゃべり
)
をする男だが、同じく申上げたろう、と通りがかりに
睨
(
にら
)
むと、腰かけ込んだ学生を
対手
(
あいて
)
に、そのまた金歯の目立つ事。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「お前もそうしていいところへ片着いて、どんなに
幸福
(
しあわせ
)
だか知れやしないわね。」と、お
饒舌
(
しゃべり
)
の伯母は独りでお庄の身の上をうらやましがった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
(又もや歩きまわりながら、思い出したように腕時計をみる。)ああ、いつまでもお
饒舌
(
しゃべり
)
をしてしまった。じゃあ、今夜はもうこれでお
暇
(
いとま
)
しましょう。
青蛙神
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何だね。何か変った事があったのかね」浅田は朝の忙しい時間に、台所を散らかしたまま、手を休めてお
饒舌
(
しゃべり
)
をしている女中を、
咎
(
とが
)
めるようにいった。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
新「此の野郎はお
饒舌
(
しゃべり
)
をする奴だから、罪な様だが五両でも八両でも金を遣るのは
費
(
ついえ
)
だから切殺して仕舞ったが、もう
此処
(
こゝ
)
にぐず/\してはいられねえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少しお
饒舌
(
しゃべり
)
を慎んだ方が軽薄に見えずに済むだろうと思われるくらいである。のべつ幕なしにしゃべっている。若い身空で最近は講演もするということだ。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
戯言
(
ぎげん
)
とも附かず
罵詈
(
ばり
)
とも附かぬ
曖昧
(
あいまい
)
なお
饒舌
(
しゃべり
)
に暫らく時刻を移していると、
忽
(
たちま
)
ち梯子段の下にお勢の声がして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「宜いわよ。中川はあれでナカ/\お
饒舌
(
しゃべり
)
ですから、私のことを
種々
(
いろいろ
)
と申上げているに相違ありません」
髪の毛
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「うむ、これから余りお
饒舌
(
しゃべり
)
は止そう。それに……、ああ僕はどうしてこうなんだろう。何か云うと、屹度お前を悲しませることばかりしか口に出て来ないんだ。」
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「あたし、どうしても眠れないの。あたし、今日は苦しくなければ、うんとお
饒舌
(
しゃべり
)
したいんだけど。」
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
飛んでもねえ秘密をバラしやがって……アイツのお
饒舌
(
しゃべり
)
と来た日にゃ手が附けらんねえ。死んだ
親父
(
おやじ
)
から聞きやがったんだナ畜生……誰にも話したこたあねえのに……。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夜中に何心なく
便所
(
はばかり
)
へ下りて見ると、いつの間にか他の一人のお客が女将とよろしく収っていたという話をば弁舌
滔々
(
とうとう
)
と
宛
(
さなが
)
ら自分が目撃して来たもののように
饒舌
(
しゃべり
)
立てた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雪子夫人は、お
饒舌
(
しゃべり
)
をしたあとで、
娼婦
(
しょうふ
)
のように、いやらしいウインクを見せたのだった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
八幡の鳥居の
傍
(
そば
)
まで来て別れようとした時、何と思った乎、「イヤ、
昨宵
(
ゆうべ
)
は馬鹿ッ話をした、女の写真屋の話は最う取消しだ、」とニヤリと笑いつつ、「飛んでもないお
饒舌
(
しゃべり
)
をしてしまった!」
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お
饒舌
(
しゃべり
)
らしい小女は、お勝手の方から口を出しました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、これは、すっかりお
饒舌
(
しゃべり
)
をしてしまって……」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
と
平生
(
いつも
)
の調子で苦もなく
饒舌
(
しゃべり
)
立てた。代助は
真面目
(
まじめ
)
で
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隙
(
ひま
)
なお
饒舌
(
しゃべり
)
娘から
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「まあさ、余りお
饒舌
(
しゃべり
)
なさらんが
可
(
い
)
い。ね、だによって、お構いも申されぬ。で、お引取なさい、これで失礼しよう。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道太は九官鳥が一生懸命にお
饒舌
(
しゃべり
)
をつづけているのを聞きながら、ついに果てしない寂しさに浸されてきた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
だが、頭をふりふり、そんなお
饒舌
(
しゃべり
)
をしながら、彼女は泣いているのだった。酒をのんで、眼がどんよりしてくると、足がしびれたらしく、膝頭を両手でもみ初めた。
死の前後
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「まあ、自分の勝手なお
饒舌
(
しゃべり
)
ばかりしていて、お
燗
(
かん
)
が
全然
(
すっかり
)
冷
(
さ
)
め
了
(
ちゃ
)
った。
一寸
(
ちょっと
)
直して参りましょう。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「差支ないんですって。兄さんは
悉皆
(
すっかり
)
気に入っているものですから、『見ろ。黒子なんか
彼是
(
かれこれ
)
言うのは迷信だ。何うもお前はお
饒舌
(
しゃべり
)
でいけない』って、お小言を
仰有
(
おっしゃ
)
いました」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
其処では、細長い板敷の廊下が遠く遥かな海に展け、板壁の白いペンキが廊下と同じ長さに長い、紛れ込んだ人々にふとお
饒舌
(
しゃべり
)
を噤ませてしまふ不思議な間抜けさが漂ふてゐた。
海の霧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
貴方は親の耻になると云うは
御尤
(
ごもっとも
)
だけれども、何もこれは決して言いませんよ、誰が聞いても……
私
(
わたし
)
は随分お
饒舌
(
しゃべり
)
だが、旦那に
対
(
むか
)
えば
私
(
わし
)
だって言わぬと云ったら決して言いませんから
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「糊売り婆アは、
轡虫
(
くつわむし
)
みたいにお
饒舌
(
しゃべり
)
ですよ」
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
==今朝のね、
彼
(
あ
)
の
件
(
こと
)
==というに到りて、小間使は直ちに呑込み、「何の奥様、誰が
饒舌
(
しゃべり
)
ますもんですか。」「ああ、そうだろうとは思うけれども、きっとかえ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜になると、母親はまた腹をすかして、お庄に近所で
鮨
(
すし
)
を
誂
(
あつら
)
えさせ、そっと茶盆を持ち込ませなどして、少しの間も食ったり飲んだり、お
饒舌
(
しゃべり
)
をしていなければ気が済まなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
饒舌
(
しゃべり
)
ながら母親が
汲
(
くん
)
で出す
茶碗
(
ちゃわん
)
を
憚
(
はばか
)
りとも言わずに受取りて、一口飲で下へ
差措
(
さしおい
)
たまま、済まアし切ッて
再
(
また
)
復
(
ふたた
)
び読みさした雑誌を取り上げて
眺
(
なが
)
め詰めた、昇と同席の時は何時でもこうで。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
幸「
姉
(
ねえ
)
さん、此の人はお
饒舌
(
しゃべり
)
で失敬な事を言うから腹ア立っちゃアいけません」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
家
(
うち
)
のお
上
(
かみ
)
さんはお
饒舌
(
しゃべり
)
をして歩くから、早く耳に入るのさ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「随分いろんなことをお
饒舌
(
しゃべり
)
しまして。」
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
お通はかねて
忌嫌
(
いみきら
)
える鼻がものいうことなれば、冷然として見も返らず。老媼は更に取合ねど、鼻はなおもずうずうしく、役にも立たぬことばかり句切もなさで
饒舌
(
しゃべり
)
散
(
ち
)
らす。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
樟脳
(
しょうのう
)
の匂いの
芬々
(
ぷんぷん
)
するなかで、母親を相手に、
老婦
(
としより
)
はまたお
饒舌
(
しゃべり
)
を始めていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「はあ、而も三人よ。揃いも揃ってお
饒舌
(
しゃべり
)
の方ばかりに」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と云ってあえて君子の徳を
傷
(
きずつ
)
けるのではない、が、要のないお
饒舌
(
しゃべり
)
をするわけではない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「私は先刻からも大分お
饒舌
(
しゃべり
)
を申上げましたから……」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お客様の
御馳走
(
ごちそう
)
だって、
先刻
(
さっき
)
、お
台所
(
だいどこ
)
で、魚のお料理をなさるのに、
小刀
(
ナイフ
)
でこしらえていらしった事を、私、帰ってお
饒舌
(
しゃべり
)
をしましたら、お
母
(
っか
)
さんが、まあ、何というお嬢様なんだろう。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
饒舌
(
しゃべり
)
ぐらいのものでしょう。お得意は」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
饒
漢検1級
部首:⾷
21画
舌
常用漢字
小6
部首:⾆
6画
“饒舌”で始まる語句
饒舌家
饒舌娘
饒舌廻
饒舌箱
饒舌続
饒舌録
饒舌愛嬌