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跋
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ばつ
ふりがな文庫
“
跋
(
ばつ
)” の例文
それを知らぬ振りに取りつくろって、自分でもその夢に酔って、世と
跋
(
ばつ
)
を合わせて行くことは、私にはだんだん堪えがたくなって来た。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
蕪村は『
鬼貫
(
おにつら
)
句選』の
跋
(
ばつ
)
にて其角、嵐雪、素堂、去来、鬼貫を五子と称し、『春泥集』の序にて其角、嵐雪、素堂、鬼貫を四老と称す。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
自分はちょっと何とか云わなければ
跋
(
ばつ
)
が悪かった。それで
真面目
(
まじめ
)
な顔をして、「どうも写真は大阪の方が東京より発達しているようですね」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
臨海
(
りんかい
)
の
林佑
(
りんゆう
)
、
葉見泰
(
しょうけんたい
)
等
(
ら
)
、潜渓の詩に
跋
(
ばつ
)
して、又
各
(
みな
)
宋太史
(
そうたいし
)
の期望に
酬
(
むく
)
いんことを孝孺に求む。孝孺は果して潜渓に
負
(
そむ
)
かざりき。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これが旦那方だと
仔細
(
しさい
)
ねえ。湯茶の無心も雑作はねえ。西行法師なら歌をよみかける処だが、山家めぐりの鋳掛屋じゃあ道を聞くのも
跋
(
ばつ
)
が変だ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
この机の上を見ても知らるべし、
物茂卿
(
ぶつもきやう
)
の
跋
(
ばつ
)
ある唐詩選と
襤褸
(
ぼろ
)
になりたる三体詩一巻、これは何れも百年以上の長寿を保ちたる前世紀の遺物なり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
森鴎外
(
もりおうぐわい
)
先生は確か馬琴日記抄の
跋
(
ばつ
)
に「馬琴よ、君は幸福だつた。君はまだ
先王
(
せんわう
)
の道に信頼することが出来た」とか
何
(
なん
)
とか書かれたやうに記憶してゐる。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人間の死や家畜の死にはあまりに多くの前奏がある。本文なしの
跋
(
ばつ
)
だけは考えられないようなものである。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
たゞ、知人に捨てられるのが恐しさに、世間並に
流行々々
(
はやりはやり
)
の進んだらしい思想に
跋
(
ばつ
)
を合せたり、身内の者に對しては有り來りの人の道を守つてゐるばかりであつた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
堯はそう言われたとき自分の裡に起こった何故か
跋
(
ばつ
)
の悪いような感情を想い出しながら考えた。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
失いました
宝
(
たから
)
が出て可愛い同志が夫婦に成るという是れがどの
跋
(
ばつ
)
でも同じようでございます。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
□慶ごろの人清原某「神代巻
跋
(
ばつ
)
」、松苗「十八史略序」、この二編
小子
(
しょうし
)
深く心服
仕
(
つかまつ
)
る論なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
お
髯
(
ひげ
)
の伯父の
跋
(
ばつ
)
によれば、死んだ伯父は「
狷介
(
けんかい
)
ニシテ
善
(
よ
)
ク罵リ、人ヲ
仮
(
ゆる
)
ス
能
(
あた
)
ハズ。人マタ
因
(
よ
)
ツテ之ヲ仮スコトナシ。大抵視テ以テ狂トナス。遂ニ自ラ号シテ斗南狂夫トイフ。」
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
阿部伊勢守正弘の家来
伊沢磐安
(
いさわばんあん
)
、
黒田
(
くろだ
)
豊前守
(
ぶぜんのかみ
)
直静
(
なおちか
)
の家来
堀川舟庵
(
ほりかわしゅうあん
)
、それから多紀
楽真院
(
らくしんいん
)
門人
森養竹
(
もりようちく
)
である。磐安は即ち柏軒で、舟庵は『経籍訪古志』の
跋
(
ばつ
)
に見えている堀川
済
(
せい
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彰考館
(
しょうこうかん
)
総目録、それと光圀が自分で筆を入れた六国史と
跋
(
ばつ
)
ぐらいなもので——かれが胸中にもっている全体の構想からいえば、まだまだ、その下準備と、一部分の脱稿を見たというだけで
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例の如く江戸時代の渋味を大切に、皺の間に保存しておくような顔で
跋
(
ばつ
)
の足には大きな
繻子
(
しゅす
)
の袋を
冠
(
の
)
せて、外見を防いでいる。見るから感じのおだやかなお婆さんである。三味線は清子である。
美音会
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
お留に引きあわされて、半七は徳蔵に挨拶したが、利兵衛は半七に挨拶していいか悪いか迷っているらしいので、半七の方から声をかけて、単に近所の知り合いのように
跋
(
ばつ
)
をあわせてしまった。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、僕らが食べたやうな、汁の中にしよんぼりと入つた
饅頭
(
まんぢゆう
)
を父も食べたのだらうとおもふと、何だか不思議な心持にもなるのであつた。これを「念珠集」の
跋
(
ばつ
)
とする。(大正十五年二月記)
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
やがてその年の秋出版された『自覚に於ける直観と反省』という
劃期
(
かっき
)
的な書物に
跋
(
ばつ
)
として収められたが、この本は「余の悪戦苦闘のドキュメント」であると、先生自身その序文の中で記されている。
西田先生のことども
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
これだけでも既に不思議な
恩寵
(
おんちょう
)
なのに、さらにまた、その本の
跋
(
ばつ
)
に、この支那文学の俊才が、かねてから私の
下手
(
へた
)
な小説を好んで読まれていたらしい意外の事実が記されてあって、私は
狼狽
(
ろうばい
)
し赤面し
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『親灯余影』の
跋
(
ばつ
)
を見るに、中洲は毅堂との交遊について
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
面倒になるから
跋
(
ばつ
)
を合わせているのかと思った。
猫車
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と
跋
(
ばつ
)
を合わせる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
蕪村は鬼貫句選の
跋
(
ばつ
)
にて其角、嵐雪、素堂、去来、鬼貫を
五子
(
ごし
)
と称し、春泥集の序にて其角、嵐雪、素堂、鬼貫を
四老
(
しろう
)
と称す。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
津田は
固
(
もと
)
より表向の用事で、この室へ
始終
(
しじゅう
)
出入
(
しゅつにゅう
)
すべき人ではなかった。
跋
(
ばつ
)
の悪そうな顔つきをした彼は答えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と言ったのでありまするが、小宮山も人目のある前で枕を並べるのは、気が差して
跋
(
ばつ
)
も悪うございますから
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや、そればかりではない。芭蕉は「
虚栗
(
みなしぐり
)
」(天和三年上梓)の
跋
(
ばつ
)
の後に「芭蕉洞桃青」と署名してゐる。「芭蕉庵桃青」は必しも海彼岸の文学を聯想せしめる雅号ではない。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
抽斎の校勘の業はこの頃着々
進陟
(
しんちょく
)
していたらしい。森枳園が明治十八年に書いた『経籍訪古志』の
跋
(
ばつ
)
に、
緑汀会
(
りょくていかい
)
の事を
記
(
しる
)
して、三十年前だといってある。緑汀とは
多紀茝庭
(
たきさいてい
)
が本所緑町の別荘である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
『松塘詩鈔』の巻尾につけた毅堂の
跋
(
ばつ
)
を見るに
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
広州
(
こうしゅう
)
の太守
葉南田
(
しょうなんでん
)
の
跋
(
ばつ
)
を得て世に行わる。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
石川は、さり気なく、
跋
(
ばつ
)
を合わせた。
牡丹
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「口説かれるのも下拙だし、気は利かないし、
跋
(
ばつ
)
は合わず、
機会
(
きっかけ
)
は知らず、言う事は
拙
(
まず
)
し、意気地は無し、」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ようやく
発作
(
ほっさ
)
の去ったお延は、叔父からこんな風に小供扱いにされる自分をどう取り扱って、
跋
(
ばつ
)
の悪いこの場面に、平静な一転化を与えたものだろうと考えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
目
(
もく
)
を挙ぐれば、
煩悶異文弁
(
はんもんいぶんべん
)
、
仏説阿弥陀経碑
(
ぶっせつあみだきょうひ
)
、春秋外伝国語
跋
(
ばつ
)
、
荘子注疏
(
そうしちゅうそ
)
跋、儀礼跋、
八分書孝経
(
はちふんしょこうきょう
)
跋、
橘録
(
きつろく
)
跋、
冲虚至徳真経釈文
(
ちゅうきょしとくしんきょうしゃくぶん
)
跋、
青帰
(
せいき
)
書目蔵書目録跋、活字板
左伝
(
さでん
)
跋、宋本校正病源候論跋
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
或時僕が房州に行った時の紀行文を漢文で書いて其中に下らない詩などを入れて置いた、それを見せた事がある。処が大将頼みもしないのに
跋
(
ばつ
)
を書いてよこした。
正岡子規
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私ならぐうの
音
(
ね
)
も出させやしないと、まあ、そう思ったもんだから、ちっとも言分は立たないし、
跋
(
ばつ
)
も悪しで、あっちゃアお仲さんにまかしておいて、お前さんを探して来たんだがね。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
津田は
揶揄
(
からか
)
い半分手を
挙
(
あ
)
げて真事の背中を打とうとした。真事は
跋
(
ばつ
)
の悪い真相を
曝露
(
ばくろ
)
された
大人
(
おとな
)
に近い表情をした。けれども大人のように言訳がましい事はまるで云わなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
骨
(
こつ
)
でなり、勘でなり、そこは
跋
(
ばつ
)
も合わせようが、何の事は無い、松葉ヶ
谷
(
やつ
)
の尼寺へ、振袖の
若衆
(
わかしゅ
)
が二人、という、てんで見当の着かないお客に、不意に二階から下りて坐られたんだから、ヤ
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
敬太郎の方でも、
後
(
うしろ
)
から向うに突き当らない限りは先へ通り抜けなければ
跋
(
ばつ
)
が悪くなった。彼は二人の後戻りを恐れて、急に
傍
(
そば
)
にあった菓子屋の店先へ寄り添うように自分を片づけた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仕方なしに「ええ儲けたいものですね」といって
跋
(
ばつ
)
を合せた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“跋”の意味
《名詞》
(バツ) 書物や詩文において、本文の後に記す終わりの文章。跋文。後書き。
(出典:Wiktionary)
跋
漢検1級
部首:⾜
12画
“跋”を含む語句
跋渉
跋扈
跳梁跋扈
跋提河
捺羅僧伽補多跋摩
跋文
跋扈跳梁
跣跋
自跋
跋伽林外道
跋句
畿内跋渉
奉納書籍聚跋
跋捺囉嚩底
拓跋魏
強梁跋扈
跋波磯
尉遅跋質那
跋足
跋跎羅
...