赤痢せきり)” の例文
私たちは子供のときから何十たびか夜店の西瓜を買って食ったが、幸いに赤痢せきりにもチブスにもならないで、この年まで生きて来た。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あきぼんには赤痢せきりさわぎもしづんであたらしいほとけかずえてた。墓地ぼちにはげたあかつちちひさなつかいくつも疎末そまつ棺臺くわんだいせてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何せこの犬ばかりは小十郎が四十の夏うち中みんな赤痢せきりにかかってとうとう小十郎の息子とその妻も死んだ中にぴんぴんして生きていたのだ。
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
僕はのどもとまで食い足り満ち足りて、今や陶然たる気もちだ。もう何も欲しいものはない。中風になろうが赤痢せきりで死のうが悔いなし、というところだ。
伝染病が襲うて来るも此月だ。赤痢せきり窒扶斯ちぶすで草葺の避病院が一ぱいになる年がある。真白い診察衣しんさついを着た医員が歩く。大至急清潔法施行の布令ふれが来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
昼餉ひるげとうべにとて立寄りたる家の老媼おうなをとらえて問いただすに、この村今は赤痢せきりにかかるもの多ければ、年若くさかんなるものどもはそのためにはしり廻りて暇なく
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
虎列剌コレラ病博士とか腸窒扶斯ちょうチフス博士とか赤痢せきり博士とかもっと判然と領分を明らかにした方が善くはないかと思う。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
われは心ひそか赤痢せきりに感染せしなるべしと思ひ付くや人の話にてこの病の苦しさを知り心は戦々兢々せんせんきょうきょうたり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
よく虎列剌コレラとか、赤痢せきりとかいう流行病の病源地と認められる事があるので、その手の病原菌を使うと手軽でいいのだが、しかしこの種のバクテリヤは、その人間の体質や
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
腸チフスとか赤痢せきりとか十二支腸虫とかいうものはもちろんその外腸の病気は多く細菌と虫に縁がありますから飲用水と使用水に注意して食器や食物を洗うにも湯冷ゆざましの殺菌水を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
だから洋一だって、あんまり柿をたべすぎないようにしないと、赤痢せきりになって死ぬこともあるし、そうなるとお前んとこのおじいさんも柿の木をばっさり伐ってしまうかもしれないぞ。
柿の木のある家 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その秋の赤痢せきり流行りゅうこうのさい、親子おやこ五人ひとりものこらず赤痢せきりをやった。とうとう妻と子ども三人とはひと月ばかりのあいだに死亡しぼうし、花前は病院びょういんにあってそれを知らないくらいであった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
赤痢せきりやコレラのバイキンと同じだと思ひます。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
二百疋の子供は百九十八疋までありに連れてかれたり、行衛不明ゆくえふめいになったり、赤痢せきりにかかったりして死んでしまいました。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
相場さうば氣味ぎみときにやうつかりすつと損物そんものだかんな、なんでも百姓ひやくしやうしてこくんでものが一とうだよ、卵拾たまごひろひもなあ、赤痢せきりでも流行はやつててな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
... 見るとぞっとして手も付けられない。中でも虎列剌これらの虫や赤痢せきりの虫は一番イヤだ」腸蔵
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「ハハハハともかくもか。君がともかくもと云い出すと、つい釣り込まれるよ。さっきもともかくもで、とうとう饂飩うどんを食っちまった。これで赤痢せきりにでもかれば全くともかくもの御蔭おかげだ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大抵たいてい赤痢せきりかゝつてやうや身體からだちからがついたばかりの人々ひと/″\例年れいねんごと草刈鎌くさかりがまつて六夕刻ゆふこく墓薙はかなぎというてた。はかほとりはえるにまかせたくさ刈拂かりはらはれてるから清潔せいけつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
赤痢せきりとか虎列剌これらとかその他恐るべき流行病は大概飲用水から起ります。全体なら一度沸騰わかした水のほかは決して飲まないのに限りますけれども戦地ではその事を実行出来ない場合もありましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)