昨夜は矢來の酒井樣の賭場で、宵から張り續け、尻の毛まで拔かれるほど取られて、夜半に歸つて來ると、出逢ひ頭に曲者と鉢合せを
「——博労衆が前景気に、賭場をひらいておりますので、もし八州の手先でも来てはと、こうして張番をたのまれているんです」
役割の市五郎は、金助から誘われて一蓮寺へ出かけてみようという気になったのは、一蓮寺の祭の夜は大きな賭場が開けているからです。
「ふふん、なるほど、道楽だったのか。それはそれはご結構なことじゃ。……それにしても思い切ったものだ。ちっとも賭場へ顔を出さないな」