トップ
>
見計
>
みはから
ふりがな文庫
“
見計
(
みはから
)” の例文
最早罪に伏したので、今までは
執成
(
とりな
)
すことも出来なかった小芳が、ここぞ、と
見計
(
みはから
)
って、初心にも、
袂
(
たもと
)
の先を
爪
(
つま
)
さぐりながら
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある者は蕃刀をぬき放ち、ある者は鋭利な竹槍を
小腋
(
こわき
)
に抱え、息をひそめ、眼を光らせ、頃合いを
見計
(
みはから
)
っていたのである。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
云う事がイクラカ筋立って来た頃を
見計
(
みはから
)
って、なだめつ
賺
(
す
)
かしつしながら色々と事情を聞き
訊
(
ただ
)
してみますと……色情倒錯どころの騒ぎではない。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
このマイナイスソースへ野菜を和えてパンへ挟みますがこれは上等のサンドイッチです。野菜は何でも
見計
(
みはから
)
いで出来ます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
富豪の人身攻撃から段々に
強面
(
こわもて
)
の名前を売り出し
懐中
(
ふところ
)
の暖くなった
汐時
(
しおどき
)
を
見計
(
みはから
)
って妙に紳士らしく上品に構えれば、やがて国会議員にもなれる世の中。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
日本服に着換えて、
身顫
(
みぶる
)
いをしてようやくわれに帰った頃を
見計
(
みはから
)
って婆さんはまた「どうなさいました」と尋ねる。今度は先方も少しは落ついている。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、それよりは軽快なワルツでもやるんだね。そして火星人が少しおちついたところを
見計
(
みはから
)
って、外交交渉を始めるんだね。もういい頃合だと思うよ」
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頃合を
見計
(
みはから
)
って、それを元の枕に差し込むと、ほのかな香気——幽雅で甘美な匂いがゆらゆらと立ち昇って、薄暗い部屋一パイは、夢の国のようになるのでした。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其等は諳誦して忘れない様にして居るが、歌の形をして浮んだ物丈は看護婦さんの居ない間を
見計
(
みはから
)
つて良人に鉛筆で書き取つて貰ひ、約束のある新聞雑誌へ送つて居る。
産褥の記
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
新「あゝ海苔で、吸物は何か一寸
見計
(
みはから
)
って、あとは握鮓がいゝ、おい/\、お酒は、お前いけないねえ、しかし極りが悪いから、沢山は飲みませんが、
五勺
(
ごしゃく
)
ばかり
味醂
(
みりん
)
でも何でも」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
爲難
(
なしがた
)
し依て
一先
(
ひとまづ
)
江戸表へ
御旅館
(
ごりよくわん
)
を
修繕
(
しつらひ
)
篤
(
とく
)
と
動靜
(
やうす
)
見計
(
みはから
)
ひ其上にて御下り有て然るべし其
間
(
あひだ
)
には江戸表の
御沙汰
(
ごさた
)
も相分り申さん
變
(
へん
)
に
應
(
おう
)
じて事を計らはざれば
成就
(
じやうじゆ
)
の
程
(
ほど
)
計難
(
はかりがた
)
しといふに然ば江戸表に
旅館
(
りよくわん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
店の方に客足の絶える暑い午後の時を
見計
(
みはから
)
って交代で寝に来ることを許される小僧達と一緒に、捨吉もそこへ自分の疲れた身体を投出したことは覚えているが、どのくらい眠ったかは知らなかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父の男爵は、傍に誰もゐないのを
見計
(
みはから
)
うて、囁くやうに訊いた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
で、見送人の空いた折を
見計
(
みはから
)
つて女史の前に立つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
品物の入れ加減は大概お
見計
(
みはから
)
いでようございますがその中で柿が一番多く入ります。色々な味へ柿の甘味が交ってどんなに
美味
(
おいしゅ
)
うございましょう。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
好い加減な頃を
見計
(
みはから
)
って宗助は、せんだって話のあった
屏風
(
びょうぶ
)
をちょっと見せて貰えまいかと、主人に申し出た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして、やっと盃が絶えた機会を
見計
(
みはから
)
って本気に立上ろうとしたところへ、今一度前と違った奇怪な叫び声が聞こえたので、又もペタリと腰を
卸
(
おろ
)
したのであった。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
翌日僕は研究所内が最もだれきった空気になる午後三時を
見計
(
みはから
)
ってソッと三階へ上った。
兼
(
か
)
ねて
目星
(
めぼし
)
をつけて置いた例の本を抜きとると上から三段目の階段へ
載
(
の
)
せた。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
父の
男爵
(
だんしゃく
)
は、傍に誰もいないのを
見計
(
みはから
)
って、
囁
(
ささや
)
くように
訊
(
き
)
いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
或日彼は誰も宅にいない時を
見計
(
みはから
)
って、不細工な
布袋竹
(
ほていちく
)
の先へ一枚糸を着けて、
餌
(
えさ
)
と共に池の中に投げ込んだら、すぐ糸を引く気味の悪いものに脅かされた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その品々の分量は
見計
(
みはから
)
いでようございます。このお料理を原語でジャンボンライスと申します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あるときは水の
溜
(
たま
)
った
溝
(
みぞ
)
の中に腰から下を
濡
(
ぬ
)
らして何時間でも
唇
(
くちびる
)
の色を変えて
竦
(
すく
)
んでいた。食事は鉄砲を打たない時を
見計
(
みはから
)
って、いつでも構わず口中に運んだ。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが三十分ばかり煮えた処で
玉葱
(
たまねぎ
)
か普通の葱を加えますがそれはその時の
見計
(
みはから
)
いでいいのです。そうして塩と
胡椒
(
こしょう
)
とバターで味をつけて三十分ばかり煮て
翌日
(
あくるひ
)
まで置きます。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
御祭
(
おまつり
)
が
夜
(
よ
)
の十二時を相図に、世の中の
寐鎮
(
ねしづ
)
まる頃を
見計
(
みはから
)
つて
始
(
はじま
)
る。
参詣
(
さんけい
)
人が長い廊下を
廻
(
まは
)
つて本堂へ帰つて
来
(
く
)
ると、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
幾千本
(
いくせんぼん
)
の蝋燭が
一度
(
いちど
)
に
点
(
つ
)
いてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、待ってる、ここだよ」と圭さんは
蝙蝠傘
(
こうもり
)
で、
崖
(
がけ
)
の腹をとんとん
叩
(
たた
)
く。碌さんは見当を
見計
(
みはから
)
って、ぐしゃりと濡れ薄の上へ腹をつけて恐る恐る首だけを
溝
(
みぞ
)
の上へ出して
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「下駄を、よう
御揃
(
おそろ
)
えなさい。そらここを御覧」と紙燭を差しつける。黒い柱の真中に、土間から五尺ばかりの高さを
見計
(
みはから
)
って、半紙を四つ切りにした上へ、何か
認
(
したた
)
めてある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漸
(
ようや
)
く手の
隙
(
す
)
いた頃を
見計
(
みはから
)
って、読み落した諸家の短篇物を読んで行くうちに、無名の人の筆に成ったもので、名声のある大家の作と比べて
遜色
(
そんしょく
)
のないもの、
或
(
あるい
)
はある意味から云って
長塚節氏の小説「土」
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おれと山嵐は校長と教頭に時間の合間を
見計
(
みはから
)
って、嘘のないところを一応説明した。校長と教頭はそうだろう、新聞屋が学校に
恨
(
うら
)
みを
抱
(
いだ
)
いて、あんな記事をことさらに
掲
(
かか
)
げたんだろうと論断した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
計
常用漢字
小2
部首:⾔
9画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当