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みきわ
ふりがな文庫
“
見極
(
みきわ
)” の例文
加瀬谷少佐は、この日、ことの
外
(
ほか
)
、にこにこしていた。こんどこそ、この地下戦車はうまくうごくであろうと
見極
(
みきわ
)
めていたからだった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ほぼ
見極
(
みきわ
)
めをつけて、幾年目にどれだけの
資本
(
もと
)
が出来るという勘定をすることぐらい、新吉にとって興味のある仕事はなかった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いかに
見極
(
みきわ
)
めても皿は食われぬ。
唇
(
くちびる
)
を着けぬ酒は気が抜ける。形式の人は、底のない道義の
巵
(
さかずき
)
を
抱
(
いだ
)
いて、路頭に
跼蹐
(
きょくせき
)
している。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いわれて見ると、無意識にではあったが、彼はあさましくも、相手の表情の
幽
(
かす
)
かな変化を
見極
(
みきわ
)
めて、毒杯の方を避けようと
焦
(
あせ
)
っているのに気附いた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
六郎は
曲物
(
くせもの
)
と思ったので、
己
(
じぶん
)
の体を見せないようにと、ちょと己を見返って、それが木立の陰になっているのを
見極
(
みきわ
)
めると、急いで雨戸の方へ眼をやった。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
そこで、何か
見極
(
みきわ
)
めたい気もして、その
平地
(
ひらち
)
を
真直
(
まっすぐ
)
に
行
(
ゆ
)
くと、まず、それ、山の腹が
覗
(
のぞ
)
かれましたわ。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
久米之丞は心のうちで、もうてッきり
鍛冶
(
かじ
)
小屋に泊った女と
見極
(
みきわ
)
めをつけて、なお膝をすすめながら
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その何者であるかを、一見しては
見極
(
みきわ
)
めることはできませんでしたけれども、二度目によく眼を定めて見れば、それが破牢人の片割れであることは直ぐに知れたのであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ドタドタと階段をおっこちて、事務所に
殺到
(
さっとう
)
、事務員のひとが、
呆気
(
あっけ
)
にとられているか、笑っているのか
見極
(
みきわ
)
めもできぬ素早さで算盤をひったくり、次いで、階段を、
大股
(
おおまた
)
に
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
証拠がないので今まで堪忍していたが、いよいよこうと
見極
(
みきわ
)
めが付いたら、あたしは不二屋へ蛇を持って行って、いつかお此を責めたように、お里をむごたらしく責めてやりたい。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
血染の匕首が開けたままの窓の外へ飛んで行くのを
見極
(
みきわ
)
めて半助は死んだのだろう
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
山頂に滞在せる
大工
(
だいく
)
石工
(
せきこう
)
人夫
(
にんぷ
)
ら二十余名が手を
空
(
むな
)
しくして徒食せるにもかかわらず、予約の賃金は払わざるべからず、しかもその風雨は
何時
(
いつ
)
晴るべき
見極
(
みきわ
)
めも付かず、あるいは日光のために
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
それなのに閑子はまだ自分への
見極
(
みきわ
)
めをつけようとせず、うろうろしている。うろうろすることで何かのはずみには誰かが又野村の方へ押しやってくれるような空想をしているのかもしれぬ。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
障子
(
しょうじ
)
を
漏
(
も
)
れる
光
(
ひかり
)
さえない
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
は、
僅
(
わず
)
かに
隣
(
となり
)
から
差
(
さ
)
す
行燈
(
あんどん
)
の
方影
(
かたかげ
)
に、
二人
(
ふたり
)
の
半身
(
はんしん
)
を
淡
(
あわ
)
く
見
(
み
)
せているばかり、三
年
(
ねん
)
振
(
ぶ
)
りで
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
った
兄
(
あに
)
の
顔
(
かお
)
も、おせんははっきり
見極
(
みきわ
)
めることが
出来
(
でき
)
なかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
村の奴等が皆帰ったかどうか、ちゃーんと
見極
(
みきわ
)
めて帰ってきたのじゃ、いくら酔うて居っても、おれは貴様、もしもの事があってはと思うて今まで残って居ったんじゃ。もう富来には誰も居らんぞ。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
日の神フォイボスさんの
見極
(
みきわ
)
める目の前へ
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
たださえ、うねり、くねっている路だから、草がなくっても、どこへどう続いているか
見極
(
みきわ
)
めのつくものではない。草をかぶればなおさらである。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見極
(
みきわ
)
めようとした
途端
(
とたん
)
に、ひとでのような彼女の五本の指が降りて来て僕の視線の侵入するのを妨げてしまった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを
見極
(
みきわ
)
めた刑事は、さも
我
(
わが
)
意を得たという風に、警部の方に向って、一席弁じだした。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しゃなりしゃなりと彼女の涼しげな姿が、彼の目の先を歩いて行ったが、どんな
家
(
うち
)
へ入って行ったかは、よく
見極
(
みきわ
)
められなかった。それがクルベーの邸宅であることは、ずっと後に
解
(
わか
)
った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『よし、おれが、
見極
(
みきわ
)
める』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、金星のブブ博士は、今より三十年後には、地球が一大要塞化することを
見極
(
みきわ
)
めて報告していたではないか。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「はあ、そうでしたか」と云ったぎり、小野さんは
捩
(
ね
)
じ上げた
五分心
(
ごぶじん
)
の頭を無心に
眺
(
なが
)
めている。浅井の帰京と五分心の関係を
見極
(
みきわ
)
めんと思索するごとくに
眸子
(
ぼうし
)
は一点に集った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
めらめらぱちぱちと、すごい
火勢
(
かせい
)
に、研究室はたちまち
火焔地獄
(
かえんじごく
)
となり、煙のなかに逃げまどう人の形があったが、その後のことは、帆村も田鍋課長も
見極
(
みきわ
)
めることが出来なかった。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の様子を見て、故意に俵の上へ腰をおろしたんでないと
見極
(
みきわ
)
めた語調である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はありのままその物を
父母
(
ふぼ
)
に報知する必要に
逼
(
せま
)
られてはいなかった。けれどもある男に
嫁
(
とつ
)
いだ一個の妻として、それを
見極
(
みきわ
)
めておく要求を痛切に感じた。彼女はじっと考え込んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分と夫の間には何の
蟠
(
わだか
)
まりもない、またないはずであるのに、やはり何かある。それだのに眼を
開
(
あ
)
けて
見極
(
みきわ
)
めようとすると、やはり
何
(
なん
)
にもない。奥さんの苦にする要点はここにあった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
追い懸けて来る過去を
逃
(
の
)
がるるは
雲紫
(
くもむらさき
)
に立ち
騰
(
のぼ
)
る
袖香炉
(
そでこうろ
)
の
煙
(
けぶ
)
る影に、
縹緲
(
ひょうびょう
)
の楽しみをこれぞと
見極
(
みきわ
)
むるひまもなく、
貪
(
むさ
)
ぼると云う名さえつけがたき、眼と眼のひたと行き逢いたる
一拶
(
いっさつ
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
要領を得ない結果ばかりで私もはなはだ御気の毒に思っているんですが、あなたの御聞きになるような立ち入った事が、あれだけの時間で、私のような
迂闊
(
うかつ
)
なものに
見極
(
みきわ
)
められる訳はないと思います。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
極
常用漢字
小4
部首:⽊
12画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当