莞爾々々にこ/\)” の例文
また女が出て來て、う言つてすゝめたけれど、二人とも此のへやを動きたくはなかつた。女が去つてから、小池は莞爾々々にこ/\として
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ふくみ二下り讀では莞爾々々にこ/\彷彿さもうれなる面持おももちの樣子をとくと見留て長庵は心に點頭うなづきつゝやがて返書を請取千太郎よりも小遣こづかひとて金百ぴき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゐのしゝきばこさへました、ほんにさいでござります、御覧ごらうじまし。』と莞爾々々にこ/\しながら、てのひららしてせたところを、二人ふたり一個ひとつづゝつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうそこに五六人集つてゐる漁村の童達に言ひ置いて、そのまゝ莞爾々々にこ/\しながら縁を下りて、Bの方へとやつて来た。
島の唄 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
くかしらおそろしがるかしらとますに、いかにもうれしいかほをして莞爾々々にこ/\わたしせたとほりのみをせるでは御座ございませぬか、或時あるとき旦那だんなさまは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
してゆくはう餘程よつぽどよう御座いますアノ久兵衞さんが何時いつもと違つて藤助さんの所へゆくときには莞爾々々にこ/\して饅頭まんぢうだの羊羹やうかんだの又錢だのと種々いろ/\な物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほか布袋屋ほていやふ——いまもあらう——呉服屋ごふくやがあつたが、濱野屋はまのやはう主人しゆじんが、でつぷりとふとつて、莞爾々々にこ/\してて、布袋ほてい呼稱よびながあつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「天南です。お久しおます。」と、莞爾々々にこ/\してゐる其の面ざしは、どうしても坊主顏であつた。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かあさまが何處どこくにしろばうかならずいてはかない、わたしものわたしのだとてほゝひますとなんともはれぬけるやうな笑顏ゑがほをして、莞爾々々にこ/\とします樣子やうす可愛かあいこと
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
誠と思ふ田舍堅氣ゐなかかたぎお安はたゞ莞爾々々にこ/\と打悦びお前樣には色々と御世話に相成娘もさぞや悦んでがな居ませう又今晩は夜道よみち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さア旦那、待ちかねてましたで。」と、平七も莞爾々々にこ/\して、玄關代りの縁側へ現はれた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
莞爾々々にこ/\わらひながら、縮緬雑魚ちりめんざこと、かれい干物ひものと、とろろ昆布こぶ味噌汁みそしるとでぜんした、もの言振いひぶり取做とりなしなんど、如何いかにも、上人しやうにんとは別懇べつこんあひだえて、つれわたし居心ゐごゝろさとつたらない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
竹丸の覗いたのを直ぐそれと氣付いた母は、意外にも莞爾々々にこ/\として手招きしたので、二三日母にうとくされてゐた竹丸は、喜んで襖を開け、駈け込むやうにして母に近づいた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ちひさなはなつまんぢやあ、莞爾々々にこ/\はなつまんぢやあ莞爾々々にこ/\する。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)