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綜合
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そうごう
ふりがな文庫
“
綜合
(
そうごう
)” の例文
群集は一人一人の単位であつて、しかも全体としての
綜合
(
そうごう
)
した意志をもつてる。だれも私の生活に交渉せず、私の自由を束縛しない。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それに対して、「
綜合
(
そうごう
)
の物理学」というものもあり得るというのが、先生の持論であった。例えば、ここに或る複雑な形の波形がある。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
あなた方のお話を
綜合
(
そうごう
)
してみても、……まずこの大石が、
玻璃
(
はり
)
窓を破って室内に飛び込み、ランプや旋回機を破壊して当直を叩き殺す。
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
形はいわば両者の
綜合
(
そうごう
)
である。関係概念と実体概念とが一つであり、実体概念と機能概念とが一つであるところに形が考えられる。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
既に二十歳の作「ポオリイン」に
顕
(
あらは
)
れ、「ピパ」の歌、「神、そらにしろしめす、すべて世は事も無し」といふ句に
綜合
(
そうごう
)
せられたれど
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
▼ もっと見る
何しろそんな風で今日迄やって来たのだが、以上を
綜合
(
そうごう
)
して考えると、私は何事に対しても積極的でないから、考えて自分でも驚ろいた。
処女作追懐談
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これだけの情報が、十四日朝までには
綜合
(
そうごう
)
された。黒田ノ城の者は、主将の沢井左衛門をはじめ、いちじるしく殺気をそよがせ
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
対立が即
綜合
(
そうごう
)
である。そこに弁証法的論理があるのである。矛盾の
尖端
(
せんたん
)
としては、時の瞬間の如きものが考えられるであろう。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
かかる薬師信仰本来の
綜合
(
そうごう
)
的面目は、法隆寺の薬師如来、薬師寺金堂の本尊、あるいは香薬師を拝して充分
偲
(
しの
)
ばるるであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
斯
(
か
)
くの如く天平期の日本芸術の美は
絢爛
(
けんらん
)
を極めているが言い得べくんばこれはすべて完成
綜合
(
そうごう
)
の美であって、真の意味での新らしい芽は無い。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
主体的な意思または目的の側面をパトスといい、事物の固有法則の側面をロゴスと称するなら、政治はパトスとロゴスとの
綜合
(
そうごう
)
によって行われる。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
このような談笑の話と、先日高田が来たときの話とを
綜合
(
そうごう
)
してみた彼の経歴は、二十一歳の青年にしては複雑であった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
これらの事を
綜合
(
そうごう
)
して考えると、日本の下層階級の
懶惰
(
らんだ
)
で無責任な事は、とても救済する方法がないように思われる。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然らば何事を計算するか? むろん小説の全体の配分に沿うて現象を配合すること、取りあわすこと、分離すること、
綜合
(
そうごう
)
すること、それも必要である。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
牧瀬の断片的の話を
綜合
(
そうごう
)
してみるとかうであつた。彼は建築史の研究を近代からだん/\原始へ
遡
(
さかのぼ
)
つて行つた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
が
総
(
すべ
)
てを
綜合
(
そうごう
)
する
傾向
(
けいこう
)
をもっているのを、
面白
(
おもしろ
)
く
感
(
かん
)
じかつ
敬服
(
けいふく
)
致
(
いた
)
したのです、また
貴方
(
あなた
)
が
今
(
いま
)
述
(
の
)
べられた
私
(
わたくし
)
の
人物評
(
じんぶつひょう
)
は、ただ
感心
(
かんしん
)
する
外
(
ほか
)
はありません。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
建物からすべての調度に至るまで、
綜合
(
そうごう
)
がなければならないのです。一つの家は一つの有機的存在なのです。そこには統一せられた美がなければならないのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
新聞の記事や世間の噂を
綜合
(
そうごう
)
して考えると、新富座とは眼と鼻のあいだの
木挽町
(
こびきちょう
)
に新しい大劇場が出来るということは、新富座に取って怖るべき大敵であるので
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
要するに進化論に出でて進化論的
綜合
(
そうごう
)
哲学に終るかなり大がかりな体系をなすはずのものであった。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
異なった方面から見た結果を
綜合
(
そうごう
)
して考えるので、初めてその物の真価が知り得られるのである。
生物学的の見方
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
で、みんなから
綜合
(
そうごう
)
してあのとおりにまとめてしまった。しかしどの
聯
(
れん
)
もどの行も私の
自儘
(
じまま
)
に作り足したのはない、そのままそろえて完全な一つのものとしたのである。
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
以上を
綜合
(
そうごう
)
して、「引馬野ににほふ榛原」も萩の花で、現地にのぞんでの歌と結論したのであった。以上は結果から見れば皆新しい説を排して
旧
(
ふる
)
い説に従ったこととなる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
人類はここに長い経験の結果を
綜合
(
そうごう
)
して、相共に依拠すべき範律を作り、その範律に
則
(
のっと
)
って自己を生活しなければならぬ。努力は実に人を石から
篩
(
ふる
)
い分ける大事な試金石だ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
妙子が表面何気ないようにして
洩
(
も
)
らす言葉のふしぶしを
綜合
(
そうごう
)
すると、兎に角今のところでは、奥畑を見限る心などはなく、矢張近い将来に彼と結婚する気でいるものと判断するより外はなかった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
現場
(
げんじょう
)
でも、また後日役所に呼び出されさえして、色々と初代の日常に関して取調べを受けたのであるが、それによって得た知識、又初代の母親や近所の人達から聞知った所などを
綜合
(
そうごう
)
すると
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、俊敏な此旅びとの胸に、其に似たほのかな
綜合
(
そうごう
)
の、出来あがって居たのは疑われぬ。暫らくの間、その薄緑の山色を仰いで居た。其から、朱塗りの、激しく光る建て物へ、目を移して行った。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
これまであなたのことで聞いた噂を
綜合
(
そうごう
)
して見た上で、利害関係を破壊することなしに、この結婚を破談にできたら、あなたの方でもきっとご満足になるだろう、とこんな気がしたしだいなのです。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そういう中にあって、本居宣長のような先覚者をはじめ、平田一門の国学者が中世の否定から出発して、だんだん帝を求め奉るようになって行ったのは、臣子の情として強い
綜合
(
そうごう
)
の結果であったが……
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
綜合
(
そうごう
)
して考えてみても昔のままに独身でいる想像のつく人だ
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その両者を
綜合
(
そうごう
)
したような宇宙一元論を心に
描
(
えが
)
いてみるのが科学者の最後の夢である、という風な議論であったように憶えている。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼はいろいろな事情を
綜合
(
そうごう
)
して考えた上、まあ大丈夫だろうと腹の中できめた。そうして爪の先で軽く鉄瓶の
縁
(
ふち
)
を
敲
(
たた
)
いた。その時座敷で
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
率八の話を
綜合
(
そうごう
)
してみると、それは尾州家の若殿徳川万太郎が秘持していた「
御刑罪
(
おしおき
)
ばてれん
口書
(
くちがき
)
」の
綴文
(
とじもの
)
に相違ない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
故に小説の表現は、常に科学的・分析的で、部分についてのデテールを細かく描くのに、詩の表現は哲学的・
綜合
(
そうごう
)
的で、全体についての意味を直感する。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
典型に
基
(
もとづ
)
く俳優の演技並びにその
扮装
(
ふんそう
)
とこの三要素の
綜合
(
そうごう
)
して
渾然
(
こんぜん
)
たる一種の芸術を構成したるものなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
斯様
(
かよう
)
な状態に
於
(
おい
)
て先生おもむろに意識
恢復
(
かいふく
)
し、全般の記憶を
綜合
(
そうごう
)
してどうやら自動車に轢き倒され文句なしに顔を強打したという穏かならぬ自らの境遇に気付いたとき
天才になりそこなった男の話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
だから従来の分析力も生かし、これに創造という活を入れることを連絡させる点を
若
(
も
)
し画派の
綜合
(
そうごう
)
というなら、私のネオ・コンクレチスムは綜合主義とも云えるのです。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
正面に
結跏趺坐
(
けっかふざ
)
する本尊を中心に、右に日光
菩薩
(
ぼさつ
)
、左に
月光
(
がっこう
)
菩薩が
佇立
(
ちょりつ
)
しているが、この二
躯
(
く
)
はあくまで本尊と調和を保って、云わば三尊そろって一つの
綜合
(
そうごう
)
的な曲線を描き
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
かくあらゆる方面から見た結果を
綜合
(
そうごう
)
して始めてその事柄の真相が知れるのである。
生物学的の見方
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
そういうものが相待って
綜合
(
そうごう
)
的な古調を成就しているところを学ぶべきである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
卒業設計は大がかりな
綜合
(
そうごう
)
病院のプランだつた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
けれども前後の事情だの母の態度だのを
綜合
(
そうごう
)
して考えて見て、どうしても新しい事件が、わが家庭のうちに起ったとは受取れないと判断した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お久良の部屋から密かに運び出されたつづらこそ怪しむべしと目星をつけてきたが、原士の言葉を
綜合
(
そうごう
)
すると、またその深編笠の正体も怪しまざるを得なくなる。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
分析によって本質が変らないものならば一応分析をして、それをまた
綜合
(
そうごう
)
することに意味がある。
茶碗の曲線:――茶道精進の或る友人に――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
曰
(
いわ
)
く、ノートルダムの寺院を写す画工は、その建築の部分について、個々の一つ一つの印象をスケッチし、後にこれを
綜合
(
そうごう
)
して一つにしても、決して寺院そのものの真相を
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そういう
詮議
(
せんぎ
)
を必要としない程統一せられていて、読者は
左程
(
さほど
)
解釈上思い悩むことが無くて済んでいるのは、視覚も聴覚も融合した、一つの感じで無理なく
綜合
(
そうごう
)
せられて居るからである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
奥さんのいうところを
綜合
(
そうごう
)
して考えてみると、Kはこの最後の打撃を、最も落ち付いた驚きをもって迎えたらしいのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてそういう色々な要素の差の
綜合
(
そうごう
)
効果が、顔立や表情の差となって見えるのである。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
諸隊の戦況報告を
綜合
(
そうごう
)
して判断を加え、概念を秀吉に伝えていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは創作家の世界観の
纏
(
まとま
)
ってあらわれた著作そのものを比較して、その特性を
綜合
(
そうごう
)
した上で、これに一種の名称(自然派とか浪漫派とか)を与えて
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それらを
綜合
(
そうごう
)
してみると。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“綜合”の意味
《名詞》
綜合(そうごう 「総合」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
総合の別表記。
(出典:Wiktionary)
綜
漢検準1級
部首:⽷
14画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“綜合”で始まる語句
綜合的
綜合体
綜合美
綜合哲学
綜合目録