)” の例文
芽ぶいてまのない雑木林は、ごく薄い紫色に霞んでみえ、その中にところどころ若木の杉が、白っぽい若みどりのをぬいていた。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
が、今はこの気味の悪い藪も狸などはどこかへい払ったように、日の光のんだ風の中に黄ばんだ竹のをそよがせている。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
単に傾きつつある西日というよりも、藪のがこれを隔てるという方が、景色の上に或まとまりを作ることになるからである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
池には葦が伸び蒲がき、が抽んでる。遅々として、併し忘れた頃に、俄かにし上るやうに育つのは、蓮の葉であつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
土筆摘み、妻と子と摘み、うすあかき土筆の茎の緑だつそのこなの、かなしともも妻も摘め、をさな児もしみみ摘みをる、そのをさなさを。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一方にはまた海上の危難を恨み憤って、浪のんで常世郷へ、ってしまわれたという皇子もあった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
杉のが細胞のように密生している遙かな谿! なんというそれは巨大な谿だったろう。遠靄とおもやのなかには音もきこえない水も動かない滝が小さく小さく懸っていた。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
火葬場は曼珠沙華ぼんばなにかくれたりはるかにしろきけむりたつ見ゆ
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
アンデスの巖根いはねこゞしき山のの鋭どき目かもコンドルの目は
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
小雀こがらめの榎の木に騷ぐ朝まだき木綿波雲に見ゆる山の
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大隅おほすみは山のぐに冬がれし山のいただき朝日さすなり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
そそけだつ ヒマラヤ杉の といふ
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
國の見ゆ。 (歌謠番號四二)
冬の沮洳地しよじよちの ものの
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
火のかざれるつ峰の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
土筆摘み、妻と子と摘み、うすあかき土筆の茎の、緑だつそのこなの、かなしともが妻も摘め、をさな児もしみみ摘みをる、そのをさなさを。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たにの向こう側には杉林が山腹をおおっている。私は太陽光線の偽瞞ぎまんをいつもその杉林で感じた。昼間日が当っているときそれはただ雑然とした杉のの堆積としか見えなかった。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
とみ嬢の好奇心は正に頂点に達し、両手は夢中で生垣の檜葉のむしりちらしている。
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
家の庭苑そのにも、立ち替り咲き替って、、草花が、何処まで盛り続けるかと思われる。だが其も一盛りで、坪はひそまり返ったような時が来る。池には葦が伸び、がまき、ぬきんでて来る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
妙高嶽ののみ見え
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
葦茅あしかび萠えてせりきて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
この父ぞこの日を、子の我と酒めせばか、る荒み靈。思はぬにうちきほころばしにけり。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして昼間は感じられなかった地域がかしこにここに杉の並みの間へ想像されるようになる。溪側にはまた樫やしいの常緑樹に交じって一本の落葉樹が裸の枝に朱色の実を垂れて立っていた。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
非常な勢いで生垣のを毟りだした
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
秋深きものの
艸千里 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
この父ぞこの日を、子の我と酒めせばか、る荒み霊。思はぬにうちきほころばしにけり。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鉛筆のをとがらして私はOにもその音をきかせました。Oは眼を細くして「きこえる、きこえる」と云いました。そして自身でも試みて字を変え紙質を変えたりしたら面白そうだと云いました。
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
寒くて風の少ない日などはその揺れるさきばかりがこまかな光りをかへしてゐる。
孟宗と七面鳥 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
孟宗の重きしだれのかさなりのそのに抜けて、ただひとり揺るるのあり。目か醒めし、夜風か出でし、さわさわと揺れて遊べり。しだれつつ前にうしろに、照りかげり揺れて遊べり。
孟宗の重きしだれのかさなりのそのに抜けて、ただひとり揺るるのあり。目か醒めし、夜風か出でし、さわさわと揺れて遊べり。しだれつつ前にうしろに、照りかげり揺れて遊べり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あなあはれ、榧と栗の木、落葉する栗も寒けど、常青く立てる榧の木、冬の日はことに高しよ。栗の木はいよよ透けれど、榧の木はいよよか黒く、薄日射函根の入陽いりひけてひとりとがれり。
この朝明あさけしぐるる見れば、霧ふかく時雨るる見れば、うち霧らひ、霧立つ空にいや黒くそのうかび、いや重く下べしづもり、いや古く並び鎮もる、なべてこれ墨の絵の杉、見るからに寒しいつかし
この朝明あさけしぐるる見れば、霧ふかく時雨るる見れば、うち霧らひ、霧立つ空に、いや黒くそのうかび、いや重く下べしづもり、いや古く並び鎮もる、なべてこれ墨の絵の杉、見るからに寒しいつかし
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
栗の木はいよよ透けれど、榧の木はいよよか黒く、薄日射函根の入陽いりひけてひとり尖れり、いや黒くひとり堪へたり。雨まじり霙ふる日も、風まじり雪の飛ぶ夜も、こごしくもこごえ立ちたり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
┌枯れ枯れの唐黍のに雀ゐてそこに風吹く声こそすなれ (原作)
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よく見れば白くさやけき不二ののみぎり欠けたり地震なゐの崩えかも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
葉鶏頭かまつかより照り透きつぎつぎに下葉紅く燃えぬ褪す時もまた
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
向う谿の青の女小竹めざさの揺もえびえと見ゆれ冬のそれならず
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日の盛り細くするどき萱のに蜻蛉とまらむとしてはねかがやかす
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひようひようと風吹きとほる山のは月かげ白し夜明けたらしも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
に搖れていよよ木高こだかき影見れば下枝しづえもふかく曳きにけるかな
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
に揺れていよよ木高こだかき影見れば下枝しづえもふかく曳きにけるかな
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まきもやや光る葉がひをちて青鷺の群のなにかけうとさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
まきもやや光る葉がひをちて青鷺の群のなにかけうとさ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
深山木みやまぎ黒檜くろひ木群こむらに濡れて降りしばかりの雲るるなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
枯れ枯れの唐黍のに雀ゐてひようひようと遠し日の暮の風
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
不二の尾はいまだはねむれ天つ辺の片面かたづらよ紅みさしつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
外蒙古雪のこるらしに浮きて遥けき山は島のごと見ゆ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雪の富士に現はるる立ち待つと将た寒けかり繁き天雲あまぐも
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はろばろに神楽きこゆる雲の上埴山姫はにやまひめいは
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)