演説えんぜつ)” の例文
もともと下戸げこに生まれたんなら、禁酒会へはいるのも可笑おかしいじゃないの? それでも御当人は大真面目おおまじめに禁酒演説えんぜつなんぞをやっているんですって。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この演説えんぜつが見物をいっせいにわらわした。子どもたちの黄色い声に親たちのにごった声も交じった。親方はかっさいを受けると、いよいよ図に乗ってべんつづけた。
「ねえ、こんどのしきには、これまでにないみたいな演説えんぜつをやってくれよ、うんとがんばって——。」
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
それからふたゝみんながあつまつたときに、ドードてうおごそかに指環ゆびわしめして、『吾輩わがはいこの優美いうびなる指環ゆびわ諸君しよくん受納じゆなふせられんことをのぞむ』このみじか演説えんぜつむと一どう拍手喝采はくしゆかつさいしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
引連ひきつれ主人の方に立歸り主個あるじ夫婦長三郎の前にて今日けふ奉行所の容子ようすをばちく演説えんぜつしたる上三たり呉服ごふく町の親類方へあづけおきて歸りたるまで委細のことを述たるに親子はおみつが庄兵衞をころせしことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つゝみ枯草かれくさうへつて、但馬守たじまのかみおほきなこゑ新任しんにん挨拶あいさつねて一ぢやう訓示くんじ演説えんぜつをした。演説えんぜつすこしもみゝいためないでくことの出來できものは、おほくの與力よりき同心どうしんちうほとんど一人ひとりもなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
こうして、正吉しょうきちは、まえ主人しゅじんから、勇気ゆうきづけられてかえりました。それから、ひまがあれば、選挙候補者せんきょこうほしゃ演説えんぜつあるくことにしました。えらぶには、まず、そのひとらなければならぬからです。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいは音楽とか卒業生総代そうだい答辞とうじとか、あるいは卒業生の演説えんぜつとかいろいろあるが、大学卒業式にして独り当時学校のみならず国民全般にとって重要と思うことは式場における名士の演説である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ぼくの演説えんぜつは三人を歓喜かんきさした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
隨分ずゐぶん故郷こきようそらなつかしくなつたこと度々たび/\あつた——むかし友人ともだちことや——品川灣しながはわん朝景色あさげしきや——上野淺草うへのあさくさへん繁華にぎやかまちことや——新橋しんばし停車塲ステーシヨンことや——回向院ゑこうゐん相撲すまふことや——神樂坂かぐらざか縁日えんにちことや——よろづ朝報てうほう佛蘭西フランス小説せうせつことや——錦輝舘きんきくわん政談せいだん演説えんぜつことや——芝居しばゐこと浪花節なにはぶしこと
わたしの演説えんぜつはじめの部分だけはかれも殊勝しゅしょうらしくたいへん興味きょうみを持って傾聴けいちょうしていたが、二十とことばを言わないうちに、かれは一本の木の上にとび上がって
演説えんぜつ? どこに今夜演説があるの?」と云った。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)