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溜
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ため
ふりがな文庫
“
溜
(
ため
)” の例文
おまっちゃんは糸で編んだ網に入れてある、薄い
硝子
(
ガラス
)
の金魚入れから水が
洩
(
も
)
って廻るように、丸い大きな眼に涙を一ぱい
溜
(
ため
)
て
堪
(
こら
)
えていた。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼
(
あ
)
の
坊主
(
ばうず
)
は
妙
(
めう
)
な事を
云
(
い
)
ふて、人の見て
居
(
ゐ
)
る
前
(
まい
)
では物が
喰
(
く
)
はれないなんて、
全体
(
ぜんたい
)
アノ
坊主
(
ばうず
)
は
大変
(
たいへん
)
に
吝
(
けち
)
で
金
(
かね
)
を
溜
(
ため
)
る
奴
(
やつ
)
だと
云
(
い
)
ふ事を聞いて
居
(
ゐ
)
るが
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
溜
(
ため
)
る
辛苦
(
しんく
)
の程察し入る呉々も
歡
(
よろ
)
こばしきことにこそ
而
(
して
)
其の
櫛
(
くし
)
は百五十兩の
形
(
かた
)
成
(
なれ
)
ば佛前へ
供
(
そな
)
へて御先祖其外
父御
(
てゝご
)
にも悦ばせ給へと叔母女房とも
口
(
くち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それは畑に掘つた
溜
(
ため
)
まで運ばれねばならぬ。しかし彼女は組合の方にかかりきりになつたわけではなく、畑仕事から解放されたわけでもなかつた。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
「河なものかまるで
溜
(
ため
)
だわ……!」隅田川の風景も、もう彼女には他人であった。「きっと河は深いんだろうねえ」ゾッとするようなことを考えた。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
……けれど、犯罪の湧くゴミ
溜
(
ため
)
は、ここにあると仰っしゃって、梅毒の流行やら、いろいろな不幸の禍因を、捨ててはおけぬと、考えておられるようだ
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下水の
溜
(
ため
)
がある。野菜畠も造ってある。縁側に近く、大きな
鳥籠
(
とりかご
)
が伏せてあって、その辺には鶏が遊んでいる。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と庄屋の長左衛門が、駕籠の見えなくなった時、太郎右衛門に言いますと、太郎右衛門は眼に涙を一杯
溜
(
ため
)
て
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
溜
(
ため
)
に寄った方が
水道尻
(
すいどうじり
)
、日本堤から折れて
這入
(
はい
)
ると
大門
(
おおもん
)
、大江戸のこれは北方に当る故
北国
(
ほっこく
)
といった。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
うす暗いじめじめしたごみ
溜
(
ため
)
のような編集室の隅で、椅子の上にあぐらをかいて、ねじり鉢巻で、茶碗酒を
呷
(
あお
)
りながら、ばりばりがりがりとペンの音をさせながら
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
十日も
苅
(
か
)
り
溜
(
ため
)
し草を一日に
焼
(
やい
)
たような心地して、尼にでもなるより外なき身の行末を
歎
(
なげき
)
しに、
馬籠
(
まごめ
)
に御病気と聞く途端、アッと驚く
傍
(
かたわら
)
に
愚
(
おろか
)
な心からは看病するを
嬉
(
うれし
)
く
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこいらのゴミ
溜
(
ため
)
や、よその畠から失敬して来た材料にアニリン塗料とサッカリンで色と味を附けた、ちょっと口あたりのいい料理を作るのが芸術界の大勢になって来る。
路傍の木乃伊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「暑い夏の夜市中を通っておるとむくむくと物の
匂
(
にお
)
いが鼻を
衝
(
つ
)
く、
肴屋
(
さかなや
)
も
果物屋
(
くだものや
)
も酢屋もまたごみ
溜
(
ため
)
の匂いも交って鼻を衝く。空にはうん気につつまれた夏の月が出ております。」
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
われさぶし
噴出
(
ふきで
)
の清水大き桶の
溜
(
ため
)
あふれゐるそればかり見る
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お貞は
溜
(
ため
)
いきをもらしたり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
溜
(
ため
)
に行こう。」
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
御渡し
成
(
なさ
)
れて下されましと
金子
(
きんす
)
二分を渡しけるに非人共は受取千人
溜
(
ため
)
の方へ
行
(
ゆく
)
是
(
こ
)
れ/\傳助や彼の富右衞門とやらの
首
(
くび
)
を知て
居
(
ゐ
)
るかと聞て
馬鹿
(
ばか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
また、ちょっと見たのでは
溜
(
ため
)
の表皮一面、
蠅
(
はえ
)
の上に蠅がたかって、まるで黒大豆でも厚く敷いたような密度だから
糞色
(
ふんしょく
)
も見えず
肥
(
こえ
)
の匂いもしないのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大阪で
溜
(
ため
)
て来た金は、九女八が、何か計画して考えていたことには用いられず、
終焉
(
しゅうえん
)
の用意となってしまったのだが、台助は、そんな予感がしたのかどうか、ふいと
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お父さんやお母様がいけないとおっしゃった事を他のものに云い、付け口をするのは悪い事のように思いましたので、只顔を真赤にして眼に泪を一パイ
溜
(
ため
)
てうつむきました。
キキリツツリ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
風呂桶
(
ふろおけ
)
が下水の
溜
(
ため
)
の上に設けてあるということは——いかにこの辺の人達が骨の折れる生活を営むとはいえ——又、それほど生活を簡易にする必要があるとはいえ——来て見る
度
(
たび
)
に私を驚かす。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鰊粕
脂
(
あぶら
)
のり来る
溜
(
ため
)
の
面
(
おも
)
雨は沁まずてはねてちりつつ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
妻
(
つま
)
として其上五ヶ年の奉公に金子を
溜
(
ため
)
し
實體
(
じつてい
)
なる行ひに
感
(
かん
)
じ村中の者
地頭
(
ぢとう
)
に願ひ村長にしたるにまた/\憑司へ
歸役
(
きやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、いきなり彼の脚元へ身を這わせ、虻を打つと見せて、片脚を
拯
(
すく
)
いかけた。
拯
(
すく
)
われたら後ろの
溜
(
ため
)
へもんどりは知れたこと。智深は無意識に体をねじッた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この砦の弱点は、確かに、市松が眼をつけたその飲料水の
溜
(
ため
)
にあった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
溜
(
ため
)
に沈没した仲間のチンピラを、どうやって救いあげて帰ったろうか。想像してみるだけでも智深にはおかしい。どうもこの畑番、至極退屈な役と思っていたが、とんだよい景物が近所に見つかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“溜”の解説
溜(ため)は、江戸時代において、病気になった囚人などを保護する施設である。
(出典:Wikipedia)
溜
漢検準1級
部首:⽔
13画
“溜”を含む語句
水溜
芥溜
埃溜
塵溜
吹溜
血溜
溜息
掃溜
足溜
肥溜
肥料溜
溝溜
一溜
溜塗
武者溜
蒸溜
溜間
溜水
蒸溜器
蒸溜水
...