まだ)” の例文
締殺し候覺え毛頭もうとう御座なく元私し事はいやしき者の娘にて津國屋がまだ神田に住居ぢうきよ致せし節同人店に居候中兩親も死にはて候ひしを不便に思ひ私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
モン長 げに、幾朝いくあさも/\、まだつゆなみだ置添おきそへ、くもには吐息といきくもくはへて、彷徨うろついてゐるのを見掛みかけたとか。
まだですわ。だつて、片付かたづく訳がいぢやありませんか」と云つた儘、みはつてじつと代助を見てゐた。代助はれた小切手を取りげて二つにひらいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
われこれに聲かけて、おん身の車には既に幾位いくたりの客人をか得給ひしと問へば、隅ごとに眞心まごころ一つなれば、四人は早く備りたり、されど二輪車の中はまだ一人のみなり。
随分生皮いきがわはがれよう、を負うたあし火炙ひあぶりにもされよう……それしきはまだな事、こういう事にかけては頗る思付の渠奴等きゃつらの事、如何どんな事をするかしれたものでない。
すると何うだ、おれにお謝罪わびをすればまだしも可愛気かはいげがあるけれど、いくら寒いたつてあんまりな、山田の寝床へ潜込もぐりこみにきをつた。あれ妖怪ばけものと思違ひをして居るのもいやとは謂はれぬ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やがて余が其傷を洗いて夫々それ/″\の手術を施し終れば目科は厚く礼を述べ「いや是くらいの怪我で逃れたのはまだしもです。しかし此事は誰にも言わぬ様に願います」との注意をのこして退しりぞきたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
善し、珈琲カフヒイ出来たか。うう熱い、うまい。お前もお飲み、これを半分上げやうか。沢山だ? それだからお前は冷淡で可かんと謂ふんさ。ぢや、酒の入らんのを飲むと可い。寄鍋はまだか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たった今つかまえた! 長老会議があったという其一言で掴まえたのだが!……行衛を晦ました其喇嘛が何処に居るかはまだ不明だ! 何処に居るかを突き止めるのが俺の新しい役目なのだ
喇嘛の行衛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「むむ、山𤢖やまわろか。ははははは。ここらではまだそんなことを云ってるのか。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ホロンバイル夕湖岸ゆふうなぎしにうつ砲の煙噴きつぎてまだし暑からむ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まだ眼が醒めないほどなの——。御免よ、冬ちやん?」
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
まだですわ。だって、片付く訳が無いじゃありませんか」と云ったまま、眼をみはってじっと代助を見ていた。代助は折れた小切手を取り上げて二つに開いた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
順に廻り今日はよき天氣てんきとか又はわるい風とか御寒おさむいとか御暑おあついとか云てまだくづはたまりませんかと一けんづつ聞て歩行あるくが宜しからん其の中には心安くなり人にもかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
え、何んだってまだ高いって? 冗談じゃあねえ驚いたなあ。一両でも高いって云うのかい? 屋敷一個が一両だぜ。一両の屋敷ってあるものか! 堀立小屋を建てた所で、一両ぐらいは直ぐかからあ。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うちあがり月はまどけき向う岡木の立寒しまだしきさらぎ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
まだうたがひ有らば勝手かつてに致さるべしと申ければ掃部は大いにいかつてコレ坊主我等はたしかなる所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いえ、まだです。學校がくかうぢやぽどさむくならなくつちや蒸汽スチームなんかきやしません」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うちあがり月はまどけき向う岡木の立寒しまだしきさらぎ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
松花江スンガリー解氷かいひようまだし橇にして船腹ふなばら赤ききはまではし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)