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朝露
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あさつゆ
ふりがな文庫
“
朝露
(
あさつゆ
)” の例文
其の火は
朝露
(
あさつゆ
)
に
晃々
(
きらきら
)
と、霧を払つて、
満山
(
まんざん
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
に映つた、松明は
竜田姫
(
たつたひめ
)
が、
恁
(
か
)
くて
錦
(
にしき
)
を
染
(
そ
)
むる、燃ゆるが如き絵の具であらう。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲妻形
(
いなずまがた
)
についている
石段
(
いしだん
)
の道を見まわしても、きれいな
朝露
(
あさつゆ
)
がたたえられて、人の
土足
(
どそく
)
にふみにじられているようすはない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
洞の外には多くの人のくつあとが、
朝露
(
あさつゆ
)
にぬれて
縦横
(
じゅうおう
)
に点々と印せられている、あきらかに海
蛇
(
へび
)
たちが昨夜、洞外を
偵察
(
ていさつ
)
したときのくつあとである。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
夫人はジャンヌさん、娘はイヴォンヌさんといって、
今年
(
ことし
)
十七歳になる。
朝露
(
あさつゆ
)
をうけた白薔薇といった感じで、
剛子
(
つよこ
)
はたいへんこのお嬢さんが好きだ。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
とうとう、二
粁
(
キロ
)
もあるゴルフ場まで、ついて来て、
朝露
(
あさつゆ
)
に
濡
(
ぬ
)
れた芝生の上を、
口笛吹
(
くちぶえふ
)
き吹き、探してくれました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
朝露
(
あさつゆ
)
のあるころは、まだしも見た目に、青さが凉しげで、
勞働
(
はたらき
)
のいさぎよさと健康が羨ましくもあるが、日中の桑畑のいきれは、風など通しはしなかつた。
桑摘み
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いつの
間
(
ま
)
に
掃除
(
さうぢ
)
をしたものか
朝露
(
あさつゆ
)
に
湿
(
しめ
)
つた
小砂利
(
こじやり
)
の上には、
投捨
(
なげす
)
てた
汚
(
きたな
)
い
紙片
(
かみきれ
)
もなく、朝早い
境内
(
けいだい
)
はいつもの
雑沓
(
ざつたふ
)
に引かへて
妙
(
めう
)
に広く
神々
(
かう/″\
)
しく
寂
(
しん
)
としてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しかれども我の愛せしものが病床にありし時大理石のごとき容貌、鈴虫の
音
(
ね
)
のごとき声、
朝露
(
あさつゆ
)
のごとき涙、——彼もし天使にあらざれば何を以て天使を
描
(
えが
)
かんや
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
もう老い
朽
(
く
)
ちてしまえば山へも行かれず、海へも出られないでいますが、その代り
小庭
(
こにわ
)
の
朝露
(
あさつゆ
)
、
縁側
(
えんがわ
)
の夕風ぐらいに満足して、無難に平和な日を過して行けるというもので
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして
朝露
(
あさつゆ
)
をポクポクと馬の
草鞋
(
わらじ
)
に
蹴払
(
けはら
)
って、笠を
被
(
かぶ
)
った一人の若い
馬子
(
まご
)
が平気でこの丸山台を通り抜けようとしております。大方、江戸を
夜前
(
やぜん
)
に出て近在へ帰る百姓でありましょう。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし今は、そのしょげた気持も
朝露
(
あさつゆ
)
をうけた夏草のように、元気をもりかえした。じぶんだけが、とくべつに先生にかまわれたようなうれしさで、これはないしょにしておこうと思った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
にひえたつめたいのをかじるのが、いちばんおいしくありました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
余は特に余のために造って貰った高さ一尺五寸ほどの偉大な
藁蒲団
(
わらぶとん
)
に佇ずんだ。静かな庭の
寂寞
(
せきばく
)
を破る
鯉
(
こい
)
の水を切る音に佇ずんだ。
朝露
(
あさつゆ
)
に
濡
(
ぬ
)
れた
屋根瓦
(
やねがわら
)
の上を
遠近
(
おちこち
)
と尾を
揺
(
うご
)
かし歩く
鶺鴒
(
せきれい
)
に佇ずんだ。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
が一めんにをりてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
のおくままに、
天地
(
あめつち
)
は
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
の野薔薇のいへる
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
しげきこずゑより
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
に五
町
(
てふ
)
濡
(
ぬ
)
れ来て
おもひで
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
というと
鉄砲組
(
てっぽうぐみ
)
の中から五、六人、
足軽
(
あしがる
)
十四、五人、
山掘夫
(
やまほり
)
四、五人——
小頭
(
こがしら
)
の
雁六
(
がんろく
)
も一しょについて、まだ
朝露
(
あさつゆ
)
のふかい
谷底
(
たにそこ
)
へ
降
(
お
)
りていった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兩方
(
りやうはう
)
のふちを
挾
(
はさ
)
んで、
雜草
(
ざつさう
)
を
植込
(
うゑこ
)
んだのが、やがて、
蚊帳
(
かや
)
つり
草
(
ぐさ
)
になり、
露草
(
つゆくさ
)
になり、
紅蓼
(
べにたで
)
になつて、
夏
(
なつ
)
のはじめから、
朝露
(
あさつゆ
)
、
夕露
(
ゆふつゆ
)
、……
夜
(
よる
)
は
姿
(
すがた
)
が
隱
(
かく
)
れても、
月
(
つき
)
に
俤
(
おもかげ
)
の
色
(
いろ
)
を
宿
(
やど
)
して、
蟲
(
むし
)
の
聲
(
こゑ
)
さへ
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
おもきひとえだに
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
の中に摘みて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
三の烏 なぞとな、お
二
(
ふた
)
めが、
体
(
てい
)
の
可
(
い
)
い事を
吐
(
ぬか
)
す癖に、
朝烏
(
あさがらす
)
の、朝桜、
朝露
(
あさつゆ
)
の、朝風で、朝飯を急ぐ
和郎
(
わろ
)
だ。何だ、
仇花
(
あだばな
)
なりとも、美しく咲かして置けば
可
(
い
)
い事だ。から/\からと笑はせるな。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝露
(
あさつゆ
)
しげき
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
朝
常用漢字
小2
部首:⽉
12画
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
“朝露”で始まる語句
朝露夕電