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ねじこ
ふりがな文庫
“
捻込
(
ねじこ
)” の例文
熱くて脱いだ黒無地のべんべら
絽
(
ろ
)
が畳んであった、それなり
懐中
(
ふところ
)
へ
捻込
(
ねじこ
)
んだ、大小すっきり落しにさすと云うのが、
洋杖
(
ステッキ
)
、洋杖です。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
らばお前さんは確かだな。「確かだ。「ソレならば
宜
(
よろ
)
しい、大参事に
遇
(
あ
)
おうと
云
(
いっ
)
て、
直
(
す
)
ぐ
側
(
そば
)
の長屋に居たから
其処
(
そこ
)
へ
捻込
(
ねじこ
)
んだ。 ...
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
市郎は
衣兜
(
かくし
)
の
紙入
(
かみいれ
)
から紙幣を探り出して、黙って男の手に渡すと、彼は
鳥渡
(
ちょっと
)
頂いて
直
(
すぐ
)
に我が
洋袴
(
ずぼん
)
の
衣兜
(
かくし
)
へ
捻込
(
ねじこ
)
んで
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あの通り窓の締りは、
捻込
(
ねじこ
)
みの真鍮棒になっとるし、あの窓枠の周囲には主人の轟氏以外の指紋は一つも無い。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ロクでもない片腕で、早くも二十両の胴巻ぐるみ懐ろへ
捻込
(
ねじこ
)
みながら、中っ腰になって、善は急げと来たが、その善なるものを急ぐにつけても、善戦をしなければならない。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
こんなことを言って、いきなり
其処
(
そこ
)
にある草を
毟
(
むし
)
って、
朋輩
(
ほうばい
)
の口の中へ
捻込
(
ねじこ
)
むのもあった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一度は富田弥六という三十人組の
小頭
(
こがしら
)
のことで、——家のほうは狭くて古いのが気にいらず、係りの役所へ
捻込
(
ねじこ
)
んだが、いま空家が無いので
暫
(
しばら
)
く辛抱して貰いたいということで我慢をした。
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
紺股引
(
こんももひき
)
、下ろし立てのはだし
足袋
(
たび
)
、切り立ての手拭を
顋
(
あご
)
の下でチョッキリ結びの若い衆が、
爺
(
おやじ
)
をせびった小使の三円五円腹掛に
捻込
(
ねじこ
)
んで、四尺もある手製の杉の
撥
(
ばち
)
を
担
(
かつ
)
いで、
勇
(
いさ
)
んで府中に出かける。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
帯の間に
血塗
(
ちまみ
)
れの
剃刀
(
かみそり
)
が手拭に巻いて
捻込
(
ねじこ
)
んであります
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「や、や、
狼藉
(
ろうぜき
)
。」と驚きたまう老婦人の両の
御手
(
おんて
)
を左右より
扼
(
とりしば
)
りて勿体無くも引下ろせば、一人は
背後
(
うしろ
)
より
抱竦
(
だきすく
)
め、他は塩ッ辛き手拭を口に
捻込
(
ねじこ
)
み
猿轡
(
さるぐつわ
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
冬子は口に桃色の
手巾
(
はんかちーふ
)
を
捻込
(
ねじこ
)
まれているので、泣くにも叫ぶにも声を立てられなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この一気に、尾の
煽
(
あおり
)
をくらえる如く、仕丁、ハタと
躓
(
つまず
)
き
四
(
よ
)
つに
這
(
は
)
い、面を落す。
慌
(
あわ
)
てて
懐
(
ふところ
)
に
捻込
(
ねじこ
)
む時、
間近
(
まぢか
)
にお沢を見て、ハッと身を
退
(
すさ
)
りながら
凝
(
じっ
)
と再び見直す
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「じゃあ、その何だろう、馬騒ぎで
血逆上
(
ちのぼせ
)
がしたんだろう、本気じゃあないな。兵粮だって
餡麺麭
(
あんパン
)
を
捻込
(
ねじこ
)
んで、石滝の奥へ、今の
前
(
さき
)
橋を渡ったんだ、ちょうど一足違い位なもんだ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
袖畳みに
懐中
(
ふところ
)
へ
捻込
(
ねじこ
)
んで、何の
洒落
(
しゃれ
)
にか、手拭で頬被りをしたもんです。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
根岸の鴨川の討入の武器なる黒糸
縅
(
おどし
)
の五ツ紋を、畳んであるまま懐へ
捻込
(
ねじこ
)
んで、ボオイを呼んで勘定をすると、
件
(
くだん
)
の金袋を提げたのがその金袋は
蓋
(
けだ
)
し代金を受納めるために持っているのではなく
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そんな水ッぽいもんじゃあねえや、べらぼうめ、そこいらに在る、
有平
(
あるへい
)
だの、
餡麺麭
(
あんパン
)
だの、駄菓子で結構だ。懐へ
捻込
(
ねじこ
)
んで行くんだから紙にでも包んでくんな。」と並べた箱の中に
指
(
ゆびさ
)
しをする。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つけられた方は、呆れるより、いきなり
撲
(
なぐ
)
るべき蹴倒し方だったが、
傍
(
かたわら
)
に、ほんのりしている
丸髷
(
まげ
)
ゆえか、主人の錆びた
鋲
(
びょう
)
のような
眼色
(
めつき
)
に
恐怖
(
おそれ
)
をなしたか、気の毒な学生は、
端銭
(
はした
)
を
衣兜
(
かくし
)
に
捻込
(
ねじこ
)
んだ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引手繰
(
ひったく
)
るや否や、
肥
(
ふと
)
っているから、はだかった胸へ
腋
(
わき
)
の下まで
突込
(
つっこ
)
んだ、もじゃもじゃした胸毛も、
腋毛
(
わきげ
)
も、うつくしい、
情
(
なさけ
)
ない、浅間しい、
可哀相
(
かわいそう
)
な
婦
(
おんな
)
を
揉
(
も
)
みくたにして、
捻込
(
ねじこ
)
んだように見えて
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
持病になって、三日置ぐらいには
苦悶
(
くるしみもだ
)
える、最後にはあまり苦痛が
烈
(
はげ
)
しいので、くいしばっても悲鳴が
洩
(
も
)
れて、畳を
掻
(
かい
)
むしって転げ廻るのを、
可煩
(
うるさ
)
いと、
抱主
(
かかえぬし
)
が手足を縛って、口に
手拭
(
てぬぐい
)
を
捻込
(
ねじこ
)
んだ上
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかも
別嬪
(
べっぴん
)
に生れたものを、一生にたった一度、
生命
(
いのち
)
とはつりがえの、色も恋も知らせねえで、
盲鳥
(
めくらどり
)
を占めるように野郎の懐へ
捻込
(
ねじこ
)
んで、いや、貞女になれ、賢母になれ、良妻になれ、と云ったって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行詰った鼻の下へ、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
捻込
(
ねじこ
)
むように
引擦
(
ひっこす
)
って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
捻
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“捻”で始まる語句
捻
捻向
捻出
捻伏
捻倒
捻上
捻紙
捻子
捻切
捻挫