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ふさふさ
ふりがな文庫
“
房々
(
ふさふさ
)” の例文
長い細やかな
房々
(
ふさふさ
)
した髪に縁取られてる
円
(
まる
)
い
額
(
ひたい
)
、そしてその髪は、縮れもせずにただ軽いゆるやかな波動をなして、顔にたれていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
顔が
天狗猿
(
てんぐざる
)
みたいに真赤で、頭の毛がテリヤみたいに銀色に光っている奴をマン中から
房々
(
ふさふさ
)
と二つに別けている。
太眉
(
ふとまゆ
)
が真黒で
髯
(
ひげ
)
は無い。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
パッパッと馬をあおらせて、
房々
(
ふさふさ
)
した髪の毛を
靡
(
なび
)
かせて、お
綺麗
(
きれい
)
な顔一杯に汗ばんで……これも村中の大評判でございました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
房々
(
ふさふさ
)
とした
尻尾
(
しっぽ
)
がひどくゆたかな穂のようにぴんと立って、それがついと闇に消えた。野の狐がまよいだしていたのであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
死んだ
少女
(
おとめ
)
の黒髪は
房々
(
ふさふさ
)
として、額を
掩
(
おお
)
って、両眼はすやすやと眠るように閉じている。顔色は、
蝋
(
ろう
)
のように白かった。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
ついさっき滝の上流で樽へ入る時までは、
房々
(
ふさふさ
)
とした赤毛の若者であったのが、滝を落ちる一瞬間に、すっかり、白髪になってしまっていたからだ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
祖母さんはもう好い
年齢
(
とし
)
で、
頭
(
つむり
)
の上あたりは
禿
(
は
)
げ、髪もあらかた抜け落ちてしまったが、未だそれでも後の方には
房々
(
ふさふさ
)
とした毛の残りを見せている人だ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おじいさんのそばには、三才ばかりの、バラのような頬っぺたの、髪の
房々
(
ふさふさ
)
した瞳の黒い子供がくっついていました。草は、その子の胸までもあるのでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
曽我貞一の言葉につれて、女史は手を動かして、
或
(
あるい
)
は腰のまわりに恐ろしそうに触れ、膝を押していたが、最後に両手をあげて、
房々
(
ふさふさ
)
とした
束髪
(
そくはつ
)
を
抑
(
おさ
)
えたときに
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
後
(
うしろ
)
の山の竹藪を遠くから見ると、暗い杉や
檜
(
ひのき
)
の前に、
房々
(
ふさふさ
)
した緑が浮き上つて居る。まるで鳥の
羽毛
(
うまう
)
のやうになり。頭の中で
拵
(
こしら
)
へた
幽篁
(
いうくわう
)
とか
何
(
なん
)
とか云ふ気はしない。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どちらかといえば小づくりで、色の白い、髪の
房々
(
ふさふさ
)
した、この家でも売れる
女
(
こ
)
であった。眉と眉との遠いのが、どことなく美穂子をしのばせるようなところがある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
蚊帳の中から
透
(
すか
)
して見ると、薄暗い
洋燈
(
ランプ
)
の光が
房々
(
ふさふさ
)
とした髪から横顔にかけてぽーッとしています
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
都下砂村の有名な金魚飼育商の秋山が蘭鋳からその
雄々
(
おお
)
しい頭の
肉瘤
(
にくりゅう
)
を採り、
琉金
(
りゅうきん
)
のような体容の円美と
房々
(
ふさふさ
)
とした
尾
(
お
)
を採って、頭尾二つとも完美な新種を得ようとする
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
深目にかぶつた帽子もやはり純白で、そのかげからブロンドの
房々
(
ふさふさ
)
した髪がのぞいてゐる。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
長靴でぶん殴られたり、
房々
(
ふさふさ
)
とした実に見事な頬髯を挘り取られたりするのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
恐らく我国の
薬種
(
やくしゅ
)
で無からう、
天竺
(
てんじく
)
伝来か、
蘭方
(
らんぽう
)
か、近くは朝鮮、
琉球
(
りゅうきゅう
)
あたりの妙薬に相違ない。
然
(
そ
)
う
謂
(
い
)
へば
彼
(
あ
)
の
房々
(
ふさふさ
)
とある髪は、なんと、物語にこそ謂へ
目前
(
まのあたり
)
、
解
(
と
)
いたら
裾
(
すそ
)
に
靡
(
なび
)
くであらう。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山の餌を
猟
(
と
)
って、山の獣達と一緒に何んの苦労もなく生い立ったのですが、髪の毛が
房々
(
ふさふさ
)
と延び、
双
(
ふた
)
つの乳房が、こんもり
盛上
(
もりあが
)
って、四肢に美しい皮下脂肪が乗り始める頃から、身を切られるような
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ふと見ると彼女の胸に小さなメタルが
垂
(
さ
)
がっている。何心なく手に取り上げて裏返して見ると、四十歳前後の立派な紳士と、中学校の制服を着、
房々
(
ふさふさ
)
した髪の毛をした紅顔の美少年との写真があった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
素
(
す
)
の額のまろい
眶
(
まぶた
)
の肉の垂れた、眼の柔和な、何か老いて
呆
(
とぼ
)
け
面
(
づら
)
の、耳の蔽い毛の
房々
(
ふさふさ
)
して、部厚い灰色の、
凸凹
(
でこぼこ
)
の背の、気の弱い緬羊は密集して、誰から、どの列から誘うとも誘われるともなしに
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
男は三十四五歳の、髪の毛を
房々
(
ふさふさ
)
と分けた好男子、女は二十五六歳であろうか、
友禅
(
ゆうぜん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の襟もしどけなく、古風な
丸髷
(
まるまげ
)
の
鬢
(
びん
)
のほつれ
艶
(
なま
)
めかしい美女。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女たちは、ごく浅黒い
肌
(
はだ
)
をし、ごく色のいい
頬
(
ほお
)
をして、
房々
(
ふさふさ
)
とした髪を
貝殻
(
かいがら
)
形に
結
(
ゆわ
)
え、派手な長衣や花の帽子をつけていた。白い手袋をはめ赤い
袖口
(
そでぐち
)
を見せていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は、軍帽を、床の上に
抛
(
な
)
げ捨てた。
房々
(
ふさふさ
)
した頭髪が、軍人らしくもなく、ダラリと額にぶら下った。それから彼は、胸の
金釦
(
きんボタン
)
を一つ一つ外していって、上衣をスッポリ脱ぎすてた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
島田ばかりが
房々
(
ふさふさ
)
と、やあ、目も鼻も無い、のっぺらぼう。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きれいで、すっきりして、優雅で、小羊のような横顔、
房々
(
ふさふさ
)
と縮れた金髪、
婀娜
(
あだ
)
っぽいやさしい眼、ルイニ流の微笑をもっていた。二人はよくいっしょに散歩した。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
産毛
(
うぶげ
)
の
生
(
は
)
えたような水田を網目形に区切ってる青っぽい運河、その運河の中に映ってる日の光。
褐色
(
かっしょく
)
の細葉を
房々
(
ふさふさ
)
とつけ、
捩
(
ねじ
)
れた面白い
体躯
(
たいく
)
の
痩
(
や
)
せたしなやかさを示してる、秋の樹木。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
またある者は、
房々
(
ふさふさ
)
とした縮れ毛と、燃えるような果敢な眼とをもっていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
頸筋
(
くびすじ
)
の上に
束
(
つか
)
ねてる
房々
(
ふさふさ
)
とした金髪、日焼けのした顔色をもっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
丈夫な骨格にかかわらず多少
痩
(
や
)
せ形の高いすらりとした姿、多くはないがしかし
房々
(
ふさふさ
)
として低く束ねられてる黒髪、それに縁取られてる顔、それに
覆
(
おお
)
われてる
顳顬
(
こめかみ
)
と骨だった金色の
額
(
ひたい
)
、多少の近視
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
房
常用漢字
中学
部首:⼾
8画
々
3画
“房”で始まる語句
房
房州
房楊枝
房総
房髪
房子
房枝
房奴
房花
房丸