幾組いくくみ)” の例文
やまなつらしくなると、すゞおときこえるやうにります。御嶽山おんたけさんのぼらうとする人達ひとたち幾組いくくみとなく父さんのおうちまへとほるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
美しい美しい桔梗ききょういろのがらんとした空の下を実に何万という小さな鳥どもが幾組いくくみも幾組もめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ちいちゃんは、お説教せっきょうのあとで、子供こどもたちが、幾組いくくみかにかれて、先生せんせいからくおはなしをたのしみにしていました。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひざのあたりに水をかけられるような不気味さは、あたりの秋色をたのしむ心のゆとりもわかず、のろのろと土産みやげ物屋にはいり、同じ絵はがきを幾組いくくみも買った。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
陽氣やうきさうにえるもの、にぎやかさうにえるものが、幾組いくくみとなくかれこゝろまへとほぎたが、そのなかかれひぢつて、一所いつしよ引張ひつぱつかうとするものはひとつもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
民家みんかのき戸板といたをだして、そこに野宿のじゅくをする覚悟かくごのものが幾組いくくみとなく見うけられた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
床几しやうぎいこ打眺うちながむれば、きやく幾組いくくみ高帽たかばう天窓あたま羽織はおりかたむらさきそでくれなゐすそすゝきえ、はぎかくれ、刈萱かるかやからみ、くずまとひ、芙蓉ふようにそよぎ、なびみだれ、はなづるひとはなひとはなをめぐるひと
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
饂飩うどんきて茶碗ちやわん亂雜らんざつされたときよるおそいことに無頓着むとんぢやく彼等かれらはそれからしばらめどもなく雜談ざつだんふけつた。彼等かれらつひ自分じぶん村落むら野合やがふ夫婦ふうふ幾組いくくみあるかといふことをさへかぞした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うつくしいうつくしい桔梗ききょういろのがらんとした空の下を、じつ何万なんまんという小さな鳥どもが、幾組いくくみ幾組いくくみもめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)