-
トップ
>
-
宗教
>
-
しうけう
其の
中に、
一人、でつぷりと
太つた、
肉づきの
可い、
西洋人のお
媼さんの、
黒い
服を
裾長に
練るのが
居ました。
何處か
宗教の
學校らしい。
但馬守は
莞爾と
笑つて、
百の
宗教、
千の
道徳も、
一つの
死刑といふものには
敵はない、これほど
效果の
多いものは
他に
求むることが
出來ないと
思つた。
ないものは
拂へないからそこは
宗教の
力で、
何とか
便宜を
計つてはくれまいかと
嘆願して
見たんですが、
彼奴はどうして、
規定は
規定だから、
證明書もなく
金もないなら
人間が死んで
地獄へ
行くとか、
善を
為したる
者は
極楽へ
昇天するとか、
宗教の
方では
天国へ
行く、
悪国へ
堕ると
云ふ、
何方が本当だか
円朝には
分りませんが、
地獄からどうせ郵便の
届いた
試しもなし
全體世の
中の
人の、
道とか
宗教とか
云ふものに
對する
態度に
三通りある。
自分の
職業に
氣を
取られて、
唯營々役々と
年月を
送つてゐる
人は、
道と
云ふものを
顧みない。これは
讀書人でも
同じ
事である。
此偉大な
現象を
起させるものは
人間以上の
者で
人間以上の
形をしたものだらう。
此想像が
宗教の
基となり、
化物を
創造するのである。
且又人間には
由來好奇心が
有る。
それは
宗教の
病院になんか、あなたをお
入れしたくなかつたんですけれど、
差し
迫つた
事ではあるし、
經濟的にどうにもならなかつたもんですからね、
全く
仕方のないことでした。
それが
宗教の
病院だつた。