宇宙うちう)” の例文
〔譯〕象山しようざんの、宇宙うちうないの事は皆おの分内ぶんないの事は、れ男子擔當たんたうの志かくの如きを謂ふなり。陳澔ちんかう此を引いて射義しやぎちゆうす、きはめてなり。
然らば其時そのとき汝は宇宙うちう存在そんざいするすべての誠実せいじつなる人と一致いつちせしなり、一致のかたきは外が来て汝と一致せざるに非ずして汝の誠実せいじつならざるにあり。
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
たうげのぼつて、案内あんないわかれた。前途ぜんとたゞ一條ひとすぢみねたにも、しろ宇宙うちうほそふ、それさへまたりしきるゆきに、る/\、あし一歩ひとあしうづもれく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ永遠えいえんけない宇宙うちうなぞでもあるかのやう。友と私とはくびれて工場の前を通過とほりすぎた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
または人間と動物や植物や宇宙うちうの萬物との間の戰爭だとか、人間をすこしの間も靜かにしておかない敵があつて、ゆだんなく人間はこれとたたかつてゆかなければなりません
昨年さくねんくれおしつまつてから産聲うぶごゑをあげて、はじめて此赤このあかかほせてれましたときわたしはまだ其時分そのじぶん宇宙うちうまよふやうな心持こゝろもちたものですから、いまおもふとなさけないのではありますけれど
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
燃えるやうに——といふ言葉は、決して空々そら/″\しい形容ではありません。梅干大の夜光の珠は、宇宙うちう創造の神秘を籠めた、プロメトイスが盜んだ坩堝るつぼの焔のやうに、全くメラメラと燃えて居るのです。
灼熱しやくねつてんちりあかし、ちまた印度インド更紗サラサかげく。赫耀かくえうたるくさや、孔雀くじやく宇宙うちうかざし、うすもの玉蟲たまむしひかりちりばむれば、松葉牡丹まつばぼたん青蜥蜴あをとかげひそむも、刺繍ぬひとりおびにして、おごれる貴女きぢよよそほひる。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
えうするに彼は、宇宙うちうの本體をさぐらうとしたり人生じんせいの意義をきはめやうとして、種々な思想を生噛なまがみにしてゐるうちに、何時かデカタン派の影響えいきやうけて、そして其の空氣が弱い併しながらねばツこい力で
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)