おごり)” の例文
いとはず出歩行であるくのみかむすめくまにも衣類いるゐの流行物櫛笄くしかうがひ贅澤ぜいたくづくめに着餝きかざらせ上野うへの淺草あさくさ隅田すみだはな兩國川りやうこくがは夕涼ゆふすゞみ或は芝居しばゐかはと上なきおごり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それも紙卷は嫌で、高い葉卷はおごりだといふので、百本二十圓の Victoria に極めてゐるのである。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
いにしへチベリウス帝がおごりをきはめ情をほしいまゝにし、灣頭より眸を放ちて拿破里ナポリの岸を望みきといふはこゝなり。
東北は山又山を重ねて、琅玕ろうかん玉簾ぎよくれん深く夏日のおそるべきをさへぎりたれば、四面遊目ゆうもくに足りて丘壑きゆうかくの富をほしいままにし、林泉のおごりきはめ、又有るまじき清福自在の別境なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其の頃「此の露で伽羅墨練らんはく牡丹」と云う句が有り「吉原のおごり始めは笠に下駄」という川柳が有りますが、仙台侯は伽羅の木履ぽくり穿いて吉原へおはこびになり
養子政略、入り婿政略で、学校を出たあとは野となれ山となれ式の生活や、納豆屋の元締をしておごりを極めている大学生なぞ、調べるとなかなか面白いがここには略す。
れから少し都合のい時には一朱か二朱もっ一寸ちょいと料理茶屋に行く、是れは最上のおごりで容易に出来兼ねるから、度々たびたびくのは鶏肉屋とりや、夫れよりモット便利なのは牛肉屋だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おごりを極めた食事で、随分時間が長く掛かつた。己達の食卓に就いたのは、周囲の壁に鏡を為込しこんだ円形の大広間であつた。給仕は黒ん坊で、黙つて音もさせずに出たり這入つたりする。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
はるうら/\てふともあそぶやはな芳野山よしのやまたまさかづきばし、あきつきてら/\とたゞよへるうしほ絵島ゑのしままつさるなきをうらみ、厳冬げんとうには炬燵こたつおごり高櫓たかやぐら閉籠とぢこもり、盛夏せいかには蚊帳かや栄耀えいえう陣小屋ぢんごやとして
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
簡単に『家臣等の掟正しからず、下を苦しめ、その身のおごりを極むること上聞に達し』とあるだけで、詳しいことはんにもわかりませんが、ともかく、寛文八年には所領を没収されております。
身を蔽へあたはるままのころもきて我にふさはぬおごりこのむな
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
積み上げて、ついに見られぬおごりの優れた見物みもの
ひそかに分取わけとりにして毎日物見遊山に出かけしは是則ち三日極樂とも謂つべしもつとも安田は強慾がうよく曲者くせものゆゑ此金子を一向に遣ず佐々木のおごりを見て苦々にが/\しき事に思ひ御邊斯大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我は彼等にむかひて立ち、手に持ちたる刑法の卷を開きてさし示し、見よ、分をえたる衣服のおごりは國法の許さゞるところなるぞ、我が告發せん折にほぞむ悔あらんとかつしたり。工人は拍手せり。
夫を主人と思ひ敬ひ慎みてつかうべし。かろしめあなどるべからず。総じて婦人の道は人に従ふに有り。夫に対するに顔色言葉遣ひ慇懃にへりくだり和順なるべし。不忍ふにんにして不順なるべからず。おごりて無礼なるべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おごりを嫌つた金持らしいたしなみでせう。
せし趣き今一おう申聞よと聞るゝに今さら面目なき體にて私し儀里と夫婦に相成しより段々だん/\村中の氣請きうけ惡敷あしくなり役儀は九助へ申付られ家もさびしく成行中にて母は日増しにおごり増長ぞうちやう追々おひ/\困窮こんきうせまりし折から九助が江戸表にて金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)