しほ)” の例文
旧字:
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
「廿八日、晴。しほかえを伴ひ、隆白吉蔵をしたがへ、木賀松坂屋寿平治寓宿の於久おひさの病を診し、(中略、)一宿す。(中略。)隆白二僕は宮下に留守す。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
次手ついでだから、つぎとまり休屋やすみや膳立ぜんだてを紹介せうかいした。ますしほやき、小蝦こゑびのフライ、玉子焼たまごやきます芙萸ずいきくづかけのわん
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何分なにぶんよろしく」とたのんでそとた。かどて、四谷よつやからあるつもりで、わざと、しほゆきの電車につた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しほおひてひむがしの山こゆる牛まだ幾ほども行かざるを見し
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
最早もうそれはいひツこなしとゝめるもふも一筋道すぢみち横町よこちやうかた植木うゑきおほしこちへとまねけばはしりよるぬり下駄げたおとカラコロリことひく盲女ごぜいま朝顔あさがほつゆのひぬまのあはれ/\あは水飴みづあめめしませとゆるくあまくいふとなりにあつやきしほせんべいかたきを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
そして日々にち/\飯米はんまいはかつて勝手へ出す時、紙袋かみぶくろに取り分け、味噌みそしほかうものなどを添へて、五郎兵衛が手づから持ち運んだ。それを親子炭火すみび自炊じすゐするのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しほはゆき温泉いでゆを浴みてこよひやまひいえむとおもふたまゆら
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
他国はしらず、その山言語やまことばとは、○米をくさ味噌みそをつぶら○しほをかへなめ○焼飯やきめしをざわう○雑水ざふすゐをぞろ○天気のよきをたかゞいゝ○風をそよ○雨も雪もそよがもふといふ。
温泉うんぜんの山のふもとのしほのたゆることなく吾はたたへむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
いのちたすかりたるのち春暖しゆんだんにいたればはれやまひとなり良医りやういしがたし。凍死こゞえしゝたるはまづしほいりぬのつゝみしば/\へそをあたゝめ稿火わらびよわきをもつて次第しだいあたゝむべし、たすかりたるのちやまひはつせず。