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反古紙
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ほごがみ
ふりがな文庫
“
反古紙
(
ほごがみ
)” の例文
あれだけおおぜいの専門的な研究家が集まってよくもあれほどまでに無意味な
反古紙
(
ほごがみ
)
のようなものをこしらえ上げうるものだという気がする。
昭和二年の二科会と美術院
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ズル/\ツと
扱出
(
こきだ
)
したは
御納戸
(
おなんど
)
だか
紫
(
むらさき
)
だか
色気
(
いろけ
)
も
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつた
古
(
ふる
)
い
胴巻
(
どうまき
)
やうな
物
(
もの
)
を
取出
(
とりだ
)
しクツ/\と
扱
(
こ
)
くと
中
(
なか
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
に
包
(
つつ
)
んだ
塊
(
かたまり
)
が
出
(
で
)
ました。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少し緩いので、足に巻いた
反古紙
(
ほごがみ
)
、方三寸ほどのを
皺
(
しわ
)
を伸して見ると、
桝形
(
ますがた
)
の図を引いて、
外囲
(
そとのり
)
、
内囲
(
うちのり
)
から、深さの寸法まで、書き込んであるのです。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
折ふし
硯々
(
すずりすずり
)
と呼び、書物よむとて有し学校のまねびをなせば、心にまかせて紙いたづらせよとなり、兄といへるは何心なく積重ねたる
反古紙
(
ほごがみ
)
を手に取りて見れば
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、其の笑ひを中途で罷めて、
遺失物
(
おとしもの
)
でもしたやうに体を
屈
(
こご
)
めた。見ると
衣嚢
(
かくし
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
を出して、朝日に融けかけた路傍の草の葉の霜に濡れた靴の先を拭いてゐた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
つやにいいつけて
反古紙
(
ほごがみ
)
を集めた箱を自分の
部屋
(
へや
)
に持って
来
(
こ
)
さして、いつか読みもしないで破ってしまった木村からの手紙を
選
(
え
)
り出そうとする自分を見いだしていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今までは車屋のかみさんでも
捕
(
つらま
)
えて、鼻づらを松の木へこすりつけてやろうくらいにまで
怒
(
おこ
)
っていた主人が、突然この
反古紙
(
ほごがみ
)
を読んで見たくなるのは不思議のようであるが
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
長松は
傍
(
そば
)
に行儀よく
坐
(
すわ
)
ってあくびを
噛
(
か
)
み殺しながら
反古紙
(
ほごがみ
)
の皺をのばし、手習帳をつくって、どうにも眠くてかなわなくなれば、急ぎ
読本
(
とくほん
)
を取出し、奥に聞えよがしの大声で
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「脅迫状の通りにして下さい。いや設計図は偽物で結構です。
反古紙
(
ほごがみ
)
でいいですから、油紙へ包んで空缶へ入れて下さい。——僕はそのあいだに、ランチの用意をしておきます」
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それを踏んだかてそうひどく気がとがめもせんのじゃ。ただの
反古紙
(
ほごがみ
)
を踏むと思えばな。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
天皇が神明に誓われた五箇条の誓文などは、彼らにとっては、一片の
反古紙
(
ほごがみ
)
にしかすぎなかったのである。そのころの天皇は、まったく無力であり、彼ら権勢者の
玩弄物
(
おもちゃ
)
にすぎなかった。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
もうこんなものは僕にとっては秘密でも何でもない
反古紙
(
ほごがみ
)
同然だがね。君の国へ持って行ったら五百万円ぐらいには売れるだろう。どうだ、この僕の設計図を日本海軍へ売ってみないか。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
そして浅野家の
発行
(
だ
)
している藩札は値を失って、
反古紙
(
ほごがみ
)
になるかもしれない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも
吹雪
(
ふぶき
)
の募った頃である。山に居る
何
(
ど
)
の鳥も
餌
(
え
)
が
失
(
なく
)
なって、里にいる雀ですら、軒下の
標縄
(
しめなわ
)
に止って凍えかかっていた。家の
裡
(
うち
)
にいては暗く、
反古紙
(
ほごがみ
)
で張った高窓に雪や
霰
(
あられ
)
の当る音がした。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お母様が
屑屋
(
くずや
)
に頼んで
反古紙
(
ほごがみ
)
を沢山に買って合わせ紙というのをお作りになるのでしたが、それが又大変で、秋日のさすお庭から畠から、お縁側まで一パイに干してあることがよくありました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「それにも及ばない。
反古紙
(
ほごがみ
)
よりも精神だ」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
反古紙
(
ほごがみ
)
のような顔。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
お雪は財布から出した小判を、
反古紙
(
ほごがみ
)
に包んで母親に渡し、財布を四つに畳んで平次の手に載せました。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
枕
(
まくら
)
に
近
(
ちか
)
く
一脚
(
いつきやく
)
の
机
(
つくゑ
)
を
据
(
す
)
ゑたるは、
折
(
をり
)
ふし
硯々
(
すゞり/\
)
と
呼
(
よ
)
び、
書物
(
しよもつ
)
よむとて
有
(
あり
)
し
學校
(
がくかう
)
のまねびをなせば、
心
(
こゝろ
)
にまかせて
紙
(
かみ
)
いたづらせよとなり、
兄
(
あに
)
といへるは
何心
(
なにごゝろ
)
なく
積重
(
つみかさ
)
ねたる
反古紙
(
ほごがみ
)
を
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りて
見
(
み
)
れば
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
質的に間違った仮定の上に量的には正しい考究をいくら積み上げても科学の進歩には
反古紙
(
ほごがみ
)
しか貢献しないが、質的に新しいものの
把握
(
はあく
)
は量的に誤っていても科学の歩みに一大飛躍を与えるのである。
量的と質的と統計的と
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
只の
反古紙
(
ほごがみ
)
を踏むと思へばな。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
外の人の書いたものもこの通り揃つて居るが、——手代の伊三郎は手習ひに熱心で、隨分
反古紙
(
ほごがみ
)
を
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
祖父
(
ぢゞい
)
は四
角
(
かく
)
な
字
(
じ
)
をば
讀
(
よ
)
んだ
人
(
ひと
)
でござんす、つまりは
私
(
わたし
)
のやうな
氣違
(
きちが
)
ひで、
世
(
よ
)
に
益
(
ゑき
)
のない
反古紙
(
ほごがみ
)
をこしらへしに、
版
(
はん
)
をばお
上
(
かみ
)
から
止
(
と
)
められたとやら、ゆるされぬとかに
斷食
(
だんじき
)
して
死
(
し
)
んださうに
御座
(
ござ
)
んす
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
鼻紙をひろげると、中から出て來たのは、灰と埃と炭の屑と、そして少しばかりの
糊
(
のり
)
で固めた
反古紙
(
ほごがみ
)
と、竹の
片
(
きれ
)
と、串のやうなものと、そして堅く
捻
(
ひね
)
つた紐の一片だつたのです。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄といへるは何心なく積重ねたる
反古紙
(
ほごがみ
)
を手に取りて見れば、怪しき書風に正體得しれぬ文字を書ちらして、是れが雪子の手跡かと情なきやうなる中に、鮮かに讀まれたるは村といふ字、郎といふ字
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
家の中は空つぽも同樣、鍋一つ釜一つの外に、茶碗が二つ三つ、細工場から
攫
(
さら
)
つて來たらしい
荒削
(
あらけづ
)
りの板がお膳の代りで、障子には
反古紙
(
ほごがみ
)
が三重にも四重にも貼られて、眞晝も薄暗い生活です。
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
祖父
(
ぢぢい
)
は四角な字をば読んだ人でござんす、つまりは私のやうな気違ひで、世に益のない
反古紙
(
ほごがみ
)
をこしらへしに、版をばお
上
(
かみ
)
から止められたとやら、ゆるされぬとかにて断食して死んださうに御座んす
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
猪之松は腹掛の
丼
(
どんぶり
)
に手を入れて
反古紙
(
ほごがみ
)
に包んだものを取出しました。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
紙
常用漢字
小2
部首:⽷
10画
“反古”で始まる語句
反古
反古籠
反古張
反古焚
反古裏
反古堆中