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冷飯
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ひやめし
ふりがな文庫
“
冷飯
(
ひやめし
)” の例文
柴井町の友次郎は、この八五郎が暫らく
冷飯
(
ひやめし
)
を食つて居た、露月町の辰五郎棟梁を
縛
(
しば
)
るかも知れません——とな。解つたか、ガラツ八
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梅「むゝう……清藏どん、今に
夜
(
よ
)
が明けてから
一詮議
(
ひとせんぎ
)
しましょうから、
冷飯
(
ひやめし
)
でも喰わして物置へ棒縛りにして入れて置いて下さい」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まだ、へい、
何
(
な
)
にもござりましねえね、いんま
蕨
(
わらび
)
のお
汁
(
しる
)
がたけるだが、お
飯
(
めし
)
は
昨日
(
きのふ
)
の
冷飯
(
ひやめし
)
だ、それでよくば
上
(
あ
)
げますがね。」
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「かような美女を小藩者の
冷飯
(
ひやめし
)
武士の自由にさせるは惜しい、大月先生のご所望を突ッぱねたとは
冥加
(
みょうが
)
を知らぬ奴じゃわい」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
池田の屋敷はひどく
逼迫
(
ひっぱく
)
していると云うじゃあねえか。おまけに厄介者の次男坊だ。二十四や五になるまで実家の
冷飯
(
ひやめし
)
を
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
小父
(
おぢ
)
さんの帰りはとつかはと馬車に乗りて
喰
(
く
)
はねばならぬ
我宿
(
わがやど
)
の三
膳
(
ぜん
)
の
冷飯
(
ひやめし
)
に急ぎ
申候
(
まうしそろ
)
。
今
(
いま
)
や
則
(
すなは
)
ち
如何
(
いかん
)
前便
(
ぜんびん
)
申上
(
まうしあ
)
げ
候
(
そろ
)
通り、
椽端
(
えんばた
)
の
日向
(
ひなた
)
ぼつこに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
台所を覗いてみると、
冷飯
(
ひやめし
)
を弁当に詰めて行った形跡があるという訳で、初めて
狩猟
(
かり
)
に行った事がわかったのだそうです
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これより以西以南の地は朝は
冷飯
(
ひやめし
)
に漬物で食ふ。これは気候寒暖の差から起つた事であらう。(六月十七日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
天下の最高学府の出身者が春廼舎朧という
粋
(
いき
)
な雅号で戯作の
真似
(
まね
)
をするというは弁護士の娘が女優になったり、華族の
冷飯
(
ひやめし
)
がキネマの興行師となるよりも一層意外で
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
二三度
喚
(
よ
)
んで見たが、阿母さんは
桃枝
(
もヽえ
)
を
負
(
おぶ
)
つて大原へ出掛けて居無かつた。貢さんは火鉢の
火種
(
ひだね
)
を
昆炉
(
しちりん
)
に移し
消炭
(
けしずみ
)
を
熾
(
おこ
)
して
番茶
(
ばんちや
)
の
土瓶
(
どびん
)
を
沸
(
わか
)
し、
鮭
(
しやけ
)
を焼いて
冷飯
(
ひやめし
)
を食つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「ま、ま、さういはんで。
冷飯
(
ひやめし
)
でよければ、わしのとこにもあるで、
喰
(
た
)
べてゆかつしやい。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
貧乏の味はしみ/″\
嘗
(
な
)
めさせられた方だし、
蝶子
(
てふこ
)
も怠けものの洋服屋を父にもつて、幼い時分からかうして商売屋の
冷飯
(
ひやめし
)
を食つて来たので、それを笑ふ気にもなれなかつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
小栓はしずしずと小部屋の中から歩き出し、両手を以て胸を
抑
(
おさ
)
えてみたが、なかなか咳嗽がとまりそうもない。そこで竈の下へ行ってお碗に
冷飯
(
ひやめし
)
を盛り、熱い湯をかけて
喫
(
た
)
べた。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
二人ともお尻をからげて、
冷飯
(
ひやめし
)
ぞうりを引っかければ、もうそれでりっぱな旅のしたく。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
年代記ものの
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
の
素袷
(
すあわせ
)
に剥げちょろ鞘の両刀を
鐺
(
こじり
)
さがりに落しこみ、
冷飯
(
ひやめし
)
草履で街道の土を舞いあげながら、まるで風呂屋へでも行くような暢気な恰好で通りかかった浪人体。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それをお民が半蔵に言うと、降蔵は遠慮なく
頂戴
(
ちょうだい
)
というふうで、そこに腰掛けたまま飯櫃を引きよせ、おりからの山の
蕨
(
わらび
)
の煮つけなぞを菜にして、手盛りにした
冷飯
(
ひやめし
)
をやりはじめた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は、朝、正則に行って、正午までそこで学び、それからまた三時までは研数学館にいて、帰って来るとすぐ
冷飯
(
ひやめし
)
をかき込んでは、四時にはもう籠をぶらさげて三橋附近の
路傍
(
ろぼう
)
に立つのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「余り堂々たるものでもないんだよ。それに僕は三男坊だから
冷飯
(
ひやめし
)
だ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
茶漬けにもよりけりだが、魚の茶漬けには
冷飯
(
ひやめし
)
は絶対にいけない。
鮪の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
やにわに長い手を伸ばされて、はっと後しざりをする、娘の
駒下駄
(
こまげた
)
、靴やら
冷飯
(
ひやめし
)
やら、つい目が疎いかして見分けも無い、
退
(
の
)
く端の
褄
(
つま
)
を、ぐいと引いて
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御家人
(
ごけにん
)
崩れか、旗本の
冷飯
(
ひやめし
)
食いか、とにかく、江戸侍に相違ないことだけは、見当が付いたのでした。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お八重は叱るものが居なくなったせいか、
昨夜
(
ゆうべ
)
の残りの
冷飯
(
ひやめし
)
の全部と、
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の中の大根や
菜
(
な
)
っ
葉
(
ぱ
)
を、
糠
(
ぬか
)
だらけのまま残らず平らげたために、烈しい下痢を起して
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつまで師匠の
家
(
うち
)
の
冷飯
(
ひやめし
)
を食って、権助同様のことをしているのも気がきかないというので、師匠の許可を得て、たとい
裏店
(
うらだな
)
にしても一軒の世帯をかまえることになって
月の夜がたり
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さっ、
冷飯
(
ひやめし
)
と
濁酒代
(
どぶろくだい
)
に利子をつけて返すから、頭を出せっ、頭をここへ持って来いっ
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
束髪
(
そくはつ
)
にして薔薇の
簪
(
かんざし
)
でも挿さしたらお嬢さま然としたものです、何しろ此の山の中に居て
冷飯
(
ひやめし
)
を
喫
(
く
)
って、中の条のお祭に滝縞の
単物
(
ひとえもの
)
に、
唐天鵞絨
(
とうびろうど
)
の半襟に、
袂
(
たもと
)
に
仕付
(
しつけ
)
の掛った着物で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唯
(
ただ
)
、旧家の家長が目下の者に対するような風で、
冷飯
(
ひやめし
)
の三吉と向い合っていた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
浜名屋の
冷飯
(
ひやめし
)
食い、飛抜けた道楽者で、親兄弟も構い付けない代り、女の子の
達引
(
たてひき
)
には不自由をしない男、二十七八の若い
燕型
(
つばめがた
)
、これは一番疑われそうな人間です。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
冷飯
(
ひやめし
)
食いだの、厄介者だのと
陰
(
かげ
)
では悪口をいうものの、さてその人の前では相当の遠慮をしなければならない。さりとて折角の獲物を唯むざむざと旗本の次男に渡してやるのも惜しい。
鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人々は互に新年の挨拶を
取換
(
とりかわ
)
した。屠手の群はいずれも白い
被服
(
うわっぱり
)
を着け、素足に
冷飯
(
ひやめし
)
草履という寒そうな
風体
(
ふうてい
)
で、それぞれ支度を始める。庭の隅にかがんで鋭い
出刃包丁
(
でばぼうちょう
)
を
磨
(
と
)
ぐのもある。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから大急ぎで湯を
湧
(
わ
)
かして、
昨夜
(
ゆうべ
)
の残りの
冷飯
(
ひやめし
)
を
掻込
(
かきこ
)
んで、これも昨夜のままの泥靴をそのまま
穿
(
は
)
いて、アルミの弁当箱を詰めた黒い鞄を抱え直し抱え直し、落葉まじりの霜の廃道を
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
亭主は
冷飯
(
ひやめし
)
と
猪汁
(
ししじる
)
を運んで来て
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「白旗直八は御家人の
冷飯
(
ひやめし
)
食いだが、腕は相当に出来ている。眼を開いていちゃ、伴三郎風情に殺されるはずはねえ、——それに、居候の癖に女出入りで伴三郎とは仲が悪かったそうだ」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「話はそれから五年目だ——手つ取早く言へば、園山家の
冷飯
(
ひやめし
)
食ひ勇三郎が、兄上は病弱、鶴松君を亡きものにすれば、間違ひもなく園山家の
家督
(
かとく
)
に直れると思ひ込んで、鶴松君に毒を盛つた」
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「話はそれから五年目だ——手っ取り早く言えば、園山家の
冷飯
(
ひやめし
)
食い勇三郎が、兄上は病弱、鶴松君を亡きものにすれば、間違いもなく園山家の
家督
(
かとく
)
に直れると思い込んで、鶴松君に毒を盛った」
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
冷
常用漢字
小4
部首:⼎
7画
飯
常用漢字
小4
部首:⾷
12画
“冷飯”で始まる語句
冷飯草履
冷飯吃