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侍
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かしず
ふりがな文庫
“
侍
(
かしず
)” の例文
『わたくしの問いには、答えもせで、そなたは、ひとにたずねてばかりいやる。忠正とて、以前とはちがい、よう
侍
(
かしず
)
いてくれまする』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その翌日から、田山白雲の
周囲
(
まわり
)
に、
般若
(
はんにゃ
)
の
面
(
めん
)
を持った一人の美少年が
侍
(
かしず
)
いている。それは申すまでもなく清澄の茂太郎であります。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
中学校の所在地に然るべき家を買い女中に
侍
(
かしず
)
かれて通学したのであるが、その頃から人の物を横どりするのに才腕をあらわすようになった。
文化祭
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
二十一歳の今日まで無数の美女に
侍
(
かしず
)
かれながら、人を恋したことのない武道好みの頼正も、この時はじめて胸苦しい血の湧く思いをしたのである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
蓑吉は、実母である妾のお咲が時折実家へ来て「坊ちゃん」と云って自分に
侍
(
かしず
)
いても、実母とはうすうす知っていながら別に何とも無い顔をしている。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
一日の大半を侍女や奴隷に
侍
(
かしず
)
かれて、入浴に暮し、食事に贅を凝らして、友人知己とともに会食を楽しむことが
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
奥まった一室を与えられた千浪、まるで文珠屋の女王のように、主人佐吉をはじめ、一同に大事に
侍
(
かしず
)
かれていた。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
友江さんは文字通りの箱入娘で、世間のことは何一つ知らず、
良人
(
おっと
)
一人を後生大事と
侍
(
かしず
)
いて居るのでした。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
複雑な
心裡
(
しんり
)
の解剖はやめよう。ともあれ彼女たちは幸運を
羸
(
か
)
ち得たのである。情も恋もあろう若き身が、あの老侯爵に
侍
(
かしず
)
いて三十年、いたずらに青春は過ぎてしまったのである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
兎にも角にも河内介は、妻が夫を自らの手で不具にしておいてそれを
眺
(
なが
)
めるのを楽しみながら
侍
(
かしず
)
くと云う事柄の持つ残忍性に、先ずその奇異な性慾を呼び
醒
(
さ
)
まされたのであろう。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一体ここの人達は、どういう料簡で自分をここへ連れて来て、美しい着物をきせて、旨いものを食わせて、こんな立派な座敷に住まわせて、みんなが大切そうに
侍
(
かしず
)
いてくれるのであろう。
半七捕物帳:07 奥女中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
たくさん使っていた
下僕
(
しもべ
)
の一人でもが、今
侍
(
かしず
)
いていてくれればなどと思う。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
良人に代って、自分が一切の世話をして
侍
(
かしず
)
くひとであるが、却って彼女が老母のふところに抱かれて安らぐような日が多いのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お恥かしい話だが、先生が、あんな御新造に
侍
(
かしず
)
かれて
道行
(
みちゆき
)
をなさるのを見ると、
疳
(
かん
)
の虫がうずうずしてたまりませんや。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もとより山のことにかけては何事でも
暗
(
そら
)
んじているこどもを、麓の土民たちはその山の神と呼んだ。そして
侍
(
かしず
)
き崇むる外に山に就ての知識を授けて貰った。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただ父親の慈愛一つに
育
(
はぐく
)
まれて、その時分姉妹の住んでいた本邸は、首府のベルグラード郊外、そこで三十人近くの召使に
侍
(
かしず
)
かれて、別邸は銅山の所在地のゼニツアの町に一つと
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
多門老人の腰元となって
侍
(
かしず
)
くうち、つれづれなるままに多門の書架より古今東西の探偵小説をとりいだして読むうちに、持って生れたる殺人鬼の毒血はここにムラムラとよみがえり
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
床の間の花をむしったり罪もない梅(専ら光子に
侍
(
かしず
)
いている
小間使
(
こまづかい
)
の名)
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
例
(
たとえ
)
を申したのじゃ。何も難しい意味ではない。そなたが嫁ぐ山木判官兼隆は、幸いにも、平氏の同族。——末長う、貞節に
侍
(
かしず
)
けよ」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
娘もよくそれを呑込んで、つまらぬ男に
侍
(
かしず
)
くよりは、いっそ独身で通す覚悟をきめているのを見て、親としての伊太夫が、
不憫
(
ふびん
)
に思わぬということもありません。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お祖母さんは王子に
侍
(
かしず
)
く老女のようにただただ少年の機嫌を損ずることを
惧
(
おそ
)
れた。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
朝晩
侍
(
かしず
)
かれているインゲボルグ殿下にさえも真偽の見分けがつかなかったという。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
羽衣をまとふた迎への天女に
侍
(
かしず
)
かれて、姫は昇天してしまつた。
日本の山と文学
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
出屋敷
(
でやしき
)
の板かべの一間から、日野俊基は、外ばかり見ていた。——夜来、
侍
(
かしず
)
いていた石川ノ
豊麻呂
(
とよまろ
)
も、まんじりもしなかった瞼である。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それそれ、あの尺八の主がすなわち、お雪ちゃんの
侍
(
かしず
)
いている大切の病人なのだ」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
調理場と食堂の間を往きつ戻りつ手持無沙汰そうに
侍
(
かしず
)
いている給仕頭のガルボの眼にも、また廊下の往き戻りに逢う小間使のテレサの瞳にも、気の毒そうな色がありありと泛んでいるのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
祖母はこの姉の安宅先生を特に
寵
(
ちょう
)
して
侍
(
かしず
)
き
労
(
いた
)
わって育て上げた。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もとより雛のお客のもてなしは、
侍
(
かしず
)
く女たちがすべてするのであったが、秀吉は彼女たちが
嘻々
(
きき
)
として離れないほど
歓
(
よろこ
)
んで見せた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで主膳は、この肉細の方の楷書は、まだ手前共の歯に合うものでないとしてしまって、暫くこの肉太の方を師友として、あがめ
侍
(
かしず
)
くようにしようとの課目をきめてしまったようです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
家にいれば、十何人かの下女下男に
侍
(
かしず
)
かれて、村一番の地主様で通るその兄が、まめまめしくしかも不器用に、働いているその姿が、母の哀れな姿にも増して、私の涙をそそって
已
(
や
)
みませんでした。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
万野は、玉日の前が未婚のころから
侍
(
かしず
)
いていた忠実な侍女であった——親鸞のまだ若い日の事どもを何かとよく知っている女であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの岡崎藩の美少年が
侍
(
かしず
)
いている名古屋の御大身の奥方が、昨夜の出来事のために、見るも痛ましく
悄
(
しょ
)
げてしまっておいでなさること——それは全く災難として同情をしてあげるほかはないが
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
皇后の
侍
(
かしず
)
きに、
阿野
(
あの
)
中将の
女
(
むすめ
)
で
廉子
(
やすこ
)
とよばるる女性があった。廉子の美貌はいつか天皇のお眼にとまって、すぐ
御息所
(
みやすんどころ
)
の一と方となった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうはいくまいテ、誰といって
親身
(
しんみ
)
になって
侍
(
かしず
)
くものはあるまいし」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
腹はわからぬが、とにかく能登は、彼からすすめて、小宰相ノ局にのみ、その夕から翌朝まで、帝のおそばへ
侍
(
かしず
)
くのをゆるしたのだった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ついこの間までお雪ちゃんが
侍
(
かしず
)
いて来たあの
盲目
(
めくら
)
の剣客、ことに先方も、たあいないお雪ちゃんのほかには骨っぽい話相手というものが更に無いという場合なんでしょう、こいつ願ったり叶ったり
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何と気高いお姿だろう」と、その九年の間、一日も離れることなく
侍
(
かしず
)
いている
性善坊
(
しょうぜんぼう
)
ですら、時には、見惚れることがあった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
では、第一伺いますがね、弁信さん、お前さんはあのお雪ちゃんという子をどう
思召
(
おぼしめ
)
しますね、それからまたお雪ちゃんが
侍
(
かしず
)
いていたあの気持の悪い盲目の剣客——あの人をいったい何だと思います
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
朝夕
(
ちょうせき
)
禅房の掃除もするし、
聴聞
(
ちょうもん
)
の信徒の世話もやくし、師の法然にも
侍
(
かしず
)
いて、
一沙弥
(
いちしゃみ
)
としての勤労に、毎日を明るく
屈託
(
くったく
)
なく送っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに
侍
(
かしず
)
くこと、至れり、尽せりの有様です。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ひとつには女性の
侍
(
かしず
)
きが
和
(
なご
)
ませて来た効でもあるにちがいないが、朝暮に
仏
(
ぶつ
)
を拝し、歌を
詠
(
よ
)
み出され、とにかくお変りの
態
(
てい
)
はあらそえない。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笛をよくする美しい女が
侍
(
かしず
)
いているということから、彼らの石舟斎に対する尊敬と親密が、従って、彼女にまで及ぼしている実証であった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口実にしたりして、お城から出るとみな
里家
(
さと
)
へもどったきり帰らなくて困る。わけて
室
(
むろ
)
のお
局
(
つぼね
)
に
侍
(
かしず
)
く女たちが手不足で困り入る
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜も寝られない
容子
(
ようす
)
であった。その良人へ、静は、どんなに心をこめて
侍
(
かしず
)
いても、慰めきれない思いだった。——
果
(
は
)
ては、共に手を取り合って
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日頃から
傅役
(
もりやく
)
として
侍
(
かしず
)
いていた郎党であろう。解いた紐で眼の涙を
拭
(
ふ
)
きながら、答えると、辞儀をして、うしろへ退った。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分と濃い血液のつながっている数代前の祖先、伊藤五郎大夫は、
道元禅師
(
どうげんぜんじ
)
に
侍
(
かしず
)
いて、やはり支那へ渡った人であった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女院をはじめ、
侍
(
かしず
)
く女官たちは、べつな意味で、ほっと心を安めた。というのは、陰に陽に、六波羅の
詮議
(
せんぎ
)
や
威嚇
(
いかく
)
がここにも及んでいたからである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ここでは、みかどの夜のお伽にまだいちども、
侍
(
かしず
)
いておられまい。こよいあたりひとつ黒木の御所へ伺うてみては」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風がふくと、壁や
梁
(
うつばり
)
の土がこぼれる。そうした本堂に、
寧子
(
ねね
)
は老母に
侍
(
かしず
)
いて住み、僧房のほうには、身内の幼い者や年寄や侍女たちを住まわせていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
萩乃は心の
裡
(
うち
)
で、これは八雲の側に
侍
(
かしず
)
いたきりで、あの小田原の
邸
(
やしき
)
に幾年も閉じこめられていた恩恵だと思った。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“侍”の解説
侍(さむらい、サムライ)は、古代から中世にかけての日本における官人の身分呼称、あるいはそこから発展的に生じた武士の別名である。「伺候(しこう)する」「従う」を意味する「さぶらう」(旧仮名遣いでは「さぶらふ」〈候ふ/侍ふ〉)に由来する。
(出典:Wikipedia)
侍
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“侍”を含む語句
侍女
侍童
侍士
内侍
典侍
青侍
侍所
侍従
若侍
遠侍
侍婢
悪侍
侍烏帽子
侍者
田舎侍
公卿侍
直侍
侍中
脇侍
小侍
...