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余所目
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よそめ
ふりがな文庫
“
余所目
(
よそめ
)” の例文
旧字:
餘所目
余所目
(
よそめ
)
には冷淡に見てゐるかと思はれる様子であつたが、唯目だけ大きく見開いて、目玉も少し飛び出してゐたやうであつた。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
しかも涼しい風のすいすい流れる海上に、
片苫
(
かたとま
)
を切った舟なんぞ、遠くから見ると
余所目
(
よそめ
)
から見ても
如何
(
いか
)
にも涼しいものです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一枚二枚は
余所目
(
よそめ
)
を振らず一心に筆を運ぶが、
其中
(
そのうち
)
に
曖昧
(
あやふや
)
な処に
出会
(
でっくわ
)
してグッと詰ると、まず一服と旧式の
烟管
(
きせる
)
を取上げる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
他
(
ほか
)
のものはよほど前から材料を
蒐
(
あつ
)
めたり、ノートを
溜
(
た
)
めたりして、
余所目
(
よそめ
)
にも
忙
(
いそが
)
しそうに見えるのに、私だけはまだ何にも手を着けずにいた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうち子供は、珍らしい人と話しているのを、犬なぞがよくするように、わざと
余所目
(
よそめ
)
をしながら何かの葉っ葉をちぎりちぎり近づいて来た。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
その時に着て行く羽織や帯や
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の末にまで、それとなく心づもりをしている様子が
余所目
(
よそめ
)
にも
看
(
み
)
て取れるのであった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
余所目
(
よそめ
)
にも
羨
(
うらや
)
まるゝほど
親
(
したし
)
げに彼れが首に手を巻きて別れのキスを移しながら「
貴方
(
あなた
)
、大事をお
取
(
とり
)
なさい、
内
(
うち
)
には
私
(
わたく
)
しが気遣うて待て居ますから」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
抱くばかりにしたのだが、
余所目
(
よそめ
)
には
手負
(
てお
)
へる
鷲
(
わし
)
に、
丹頂
(
たんちょう
)
の
鶴
(
つる
)
が
掻掴
(
かいつか
)
まれたとも何ともたとふべき
風情
(
ふぜい
)
ではなかつた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
真
(
ほん
)
の
父母
(
ふたおや
)
のありやなしや、更に聞かぬ。併し口にこそ言わぬが、其小さい心に一点の暗愁立ち去らぬ霧の如く淀んで居るのは、
余所目
(
よそめ
)
にも見られる。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
余所目
(
よそめ
)
にも深川オペラ劇場主人があんまり面喰つてゐるものだから、樫の葉の御人がにつこりと笑つて、口を切つた。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
それと同じように、
余所目
(
よそめ
)
には痩せて血色の悪い秀麿が、自己の力を知覚していて、脳髄が医者の
謂
(
い
)
う無動作性
萎縮
(
いしゅく
)
に陥いらねば好いがと憂えている。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
余所目
(
よそめ
)
には大層もない浮気ものらしく見えましても、これが
日々
(
にち/\
)
の勤めとなっては大口きいてパッ/\と致すも稼業に馴れると申すものでござりましょう。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三十二年という三年間位はそれほど衰弱が増したように
余所目
(
よそめ
)
には見えなかった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
柴車
(
しばぐるま
)
を
挽
(
ひ
)
いて来るおばさんも、
苅田
(
かりた
)
をかえして居る娘も、木綿着ながらキチンとした
身装
(
みなり
)
をして、
手甲
(
てっこう
)
かけて、足袋はいて、髪は
奇麗
(
きれい
)
に
撫
(
な
)
でつけて居る。労働が
余所目
(
よそめ
)
に美しく見られる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ステパンと云ふ男は
余所目
(
よそめ
)
には普通の立派な青年近衛士官で、専念に立身を望んでゐるものとしか見えない。併しその腹の中に立ち入つて見ると、非常に複雑な、緊張した思慮をめぐらしてゐる。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
「一方に
靡
(
なび
)
きそろひて花すゝき、風吹く時そ乱れざりける」で、事ある時などに国民の足並の綺麗に揃うのは、まことに
余所目
(
よそめ
)
立派なものであろう。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
さもなくば内で取次だが、
此奴
(
こいつ
)
が
余所目
(
よそめ
)
には楽なようで、
行
(
や
)
って見ると中々楽でない。漸く刑法講義の一枚も読んだかと思うと、もう頼もうと来る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
瑞仙の家は此の如く栄達の途を進んで行つて、
余所目
(
よそめ
)
には平穏事なきが如くに見えてゐた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その
挙動
(
ふるまい
)
も
朦朧
(
もうろう
)
として、
身動
(
みうごき
)
をするのが、
余所目
(
よそめ
)
にはまるで
寝返
(
ねがえり
)
をするようであった。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今朝学校へ送って行く
路
(
みち
)
で悦子に話したらしいのであるが、平素はひどく愛想のよい女であるのに、
叱
(
しか
)
られると
俄然
(
がぜん
)
気の毒なくらい
萎
(
しお
)
れてしまうのが、
余所目
(
よそめ
)
には
却
(
かえ
)
って
可笑
(
おか
)
しみを誘った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
余所目
(
よそめ
)
に見て二階に居ることはねえ、
此処
(
これ
)
へまいり、成り代って詫をしたら堪忍してくれると云いまして、お包を取上げましたから、渡すめえと
確
(
しっ
)
かり押えると、あんた傍に居た奴が
私
(
わし
)
の頭を叩いて
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
の
割符
(
わりふ
)
でも襟に縫込んでいそうだったが、晩の旅籠にさしかかった
飢
(
うえ
)
と
疲労
(
つかれ
)
は、……六よ、怒るなよ……実際
余所目
(
よそめ
)
には、ひょろついて、途方に暮れたらしく
可哀
(
あわれ
)
に見えた。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余とエリスとの交際は、この時までは
余所目
(
よそめ
)
に見るより清白なりき。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
あたかも
活
(
い
)
きたるものを愛するごとく、起きると着物を
着更
(
きか
)
えさせる。抱いて
風車
(
かざぐるま
)
を見せるやら、
懐中
(
ふところ
)
へ入れて小さな乳を
押付
(
おッつ
)
けるやら、枕を
竝
(
なら
)
べて寝てみるやら、
余所目
(
よそめ
)
にはまるで
狂気
(
きちがい
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余所目
(
よそめ
)
に
瞥
(
み
)
たる老夫はいたく驚きて
面
(
かお
)
を
背
(
そむ
)
けぬ、世話人は頭を
掻
(
か
)
きて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“余所”で始まる語句
余所
余所行
余所事
余所余所
余所々々
余所見
余所眼
余所人
余所外
余所行姿