三馬さんば)” の例文
緑雨の最後の死亡自家広告は三馬さんば一九いっくやその他の江戸作者の死生を茶にした辞世と共通する江戸ッ子作者特有のシャレであって
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
三馬さんば浮世風呂うきよぶろむうちに、だしぬけに目白めじろはうから、釣鐘つりがねつてたやうにがついた。湯屋ゆやいたのは(岡湯をかゆ)なのである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何にもせよ三馬さんばの『浮世風呂』などに見るような、わずかばかりの初春の風情までが、もう郊外に出て味わうわけには行かなくなったのである。
のみならず、自分がこれまでに読んだ馬琴ばきんや近松や三馬さんばなどとは著しく違った特色をもった作者であることが感ぜられた。
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とか、てめえはてえそうきいたふうなことをぬかすのう。などゝ云うと、三馬さんば春水しゅんすいの人情本ではおつだが、明治の聖代に母親おふくろの口から出ては物凄い。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その頃の氏の愛読書は、三馬さんば緑雨りょくうのものが主で、その独歩どっぽとか漱石そうせき氏とかのものも読んで居た様です。
私の家は商家だったが、旧家だったため、草双紙、読本その他寛政かんせい天明てんめい通人つうじんたちの作ったもの、一九いっく京伝きょうでん三馬さんば馬琴ばきん種彦たねひこ烏亭焉馬うていえんばなどの本が沢山にあった。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
火鉢に大きな薬罐やかんが掛けてあって、そのわきには菓子の箱がならべてある。のちに思えば例の三馬さんばの「浮世風呂」をそのままで、茶を飲みながら将棋をさしている人もあった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
明和年代に南畝なんぽが出で、天明年代に京伝きょうでん、文化文政に三馬さんば春水しゅんすい、天保に寺門静軒てらかどせいけん、幕末には魯文ろぶん、維新後には服部撫松はっとりぶしょう三木愛花みきあいかが現れ、明治廿年頃から紅葉山人こうようさんじんが出た。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこへ行くと、一九いつく三馬さんばは大したものでげす。あの手合ひの書くものには天然自然の人間が出てゐやす。決して小手先の器用や生噛なまかじりの学問で、でつちあげたものぢやげえせん。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
種々な人情本や三馬さんば等の洒落本もあり、春画も持って来るので、彼らはいずれも貸本屋を歓迎した。私も子供の時に親類の勤番者の所へ行って、春画を見せられたことを覚えている。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
三馬さんばったことがある。そうさ、五十四、五に見えた。猿のしるしのある家で、化粧水を売っていたっけ。倉の二階住で、じんきょやみのくせにめかけがあった。子供心にも、いやなじじいだと思ったよ。
三馬さんばのこしらえた『小野の馬鹿むら嘘字うそじづくし』というのを見ますると、金偏に母と書いてへそくりと読ましてございますな、金偏に良という字なんぞを一つおごっていただくわけには参りますまいか
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
風流はさぶいものとは三馬さんばが下せし定義なり山一つ越えて輕井澤となれば國も上野かうづけ信濃しなのとなり管轄縣廳も群馬が長野と變るだけありてさぶさは十度も強しといふ前は碓氷うしろは淺間の底冷そこびえに峠で流せし汗冷たく身輕を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
この相談を受けた時、二葉亭の頭のすみッコにマダ三馬さんば春水しゅんすいの血が残ってるんじゃないかと、内心成功を危ぶまずにはいられなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
もう二十日過はつかすぎだし少し稼ごう。——そのシャルル九世くせい年代記を、わが文化の版、三馬さんばの浮世風呂にかさねて袋棚にさしおいた。——この度胸でないと仕事は出来ない。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこへ行くと、一九いっく三馬さんばはたいしたものでげす。あの手合いの書くものには天然自然の人間が出ていやす。決して小手先の器用やなまかじりの学問で、でっちあげたものじゃげえせん。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
三馬さんばの作に「浮世風呂」の名があっても、それは書物の題号であるからで、それを口にする場合には銭湯せんとうとか湯屋ゆうやとかいうのが普通で、元禄げんろくのむかしは知らず、文化文政ぶんかぶんせいから明治に至るまで
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
似貌にがお絵本)俳優楽室通 一冊 豊国国政画三馬さんば撰 寛政十一年板
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
即ちビェリンスキーの文学、ゴンチャローフの文学、ドストエフスキーの文学、ツルゲーネフの文学であって、京伝きょうでんの文学、春水しゅんすいの文学、三馬さんばの文学ではなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
たとひ紋着もんつきはかま穿いても、これが反對うらはらで、女湯をんなゆ揚場あがりばに、はうだんると、時節柄じせつがら早速さつそくすぢから御沙汰ごさたがあるが、男湯をとこゆをんな出入でいりは、三馬さんば以來いらい大目おほめてある。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一つは当時文壇に重きをなしたユーゴーやジスレリーの翻訳小説にれた眼で見較みくらべられたからであるが、一つは硯友社の芸術至上が京伝三馬さんば系統の化政度戯作者気質かたぎに即して
一體いつたいじゆくでは小説せうせつ嚴禁げんきんなので、うつかり教師けうし見着みつかると大目玉おほめだまふのみならず、この以前いぜん三馬さんば浮世風呂うきよぶろ一册いつさつ沒收ぼつしうされて四週間ししうかん置放おきつぱなしにされたため、貸本屋かしほんやから嚴談げんだんつて、大金たいきんられ
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)