“まなざし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
眼差42.3%
眼眸20.7%
眼光10.8%
8.1%
目容5.4%
目差1.8%
目指1.8%
星眸0.9%
眼色0.9%
双眸0.9%
目色0.9%
眸子0.9%
0.9%
眼容0.9%
眼指0.9%
瞻視0.9%
視線0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを描き出したのは、往来で出会った一つの眼差まなざしだったか、荘重な歌うような一つの声の抑揚だったか、それを彼は覚えなかった。
老人はぎらぎら光る彼の眼眸まなざしにぎっくりした。しかし、その時、ほんの一瞬間ではあったが、実に奇態なことが起こったのである。
そへてふくろふさけ一段いちだんものすごしおたか決心けつしん眼光まなざしたじろがずおこゝろおくれかさりとては御未練ごみれんなりたかこゝろさきほどもまをとほきはめし覺悟かくごみちひと二人ふたり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大牟田公平の事を考え出すと、彼女は昼間の町中でも、思わず背を振向いて、何かにけられているようなまなざしをした。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春信が女はいづれも名残なごり惜しき昼の夢よりめしが如き目容まなざししてあるものははぎあらはにすそ敷き乱しつつ悄然しょうぜんとして障子にりて雨ななめに降る池の水草みずくさを眺めたる
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
佐藤も途法に暮れた目指まなざしを風の鳴りひびく空の方へ向けた時、堤防の上から
にぎり飯 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
星眸まなざしのをやみなさ、——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かの星眸まなざしのなほも殘れる。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ひとり宮のみは騒げるていも無くて、そのすずし眼色まなざしはさしもの金剛石と光を争はんやうに、用意深たしなみふかく、心様こころざまゆかしく振舞へるを、崇拝者は益々よろこびて、我等の慕ひ参らするかひはあるよ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
高き鼻に鼈甲縁べつこうぶちの眼鏡をはさみて、かどある眼色まなざしは見る物毎に恨あるが如し。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
……其時は自分はバイロンのてつを踏んで、筆を劍に代へるのだ、などと論じた事や、その後、或るうら若き美しい人の、うるめる星の樣な双眸まなざしの底に
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お光はたとえようのない嫌悪けんお目色まなざしして、「言わなくたって分ってらね」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
忠秋はするどい眸子まなざしでこちらをねめつけながら
足軽奉公 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
何んな土産であらうか、森の土産が、妾のスタツキングに入るかしら? フロラは、愉しさうな不安のまなざしをしばたゝいて
こびるやうな、なぶるやうな、そしてなにかにあこがれてゐるやうな其の眼……私は少女せうぢよの其の眼容まなざし壓付おしつけられて、我にもなく下を向いて了つた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お父さんとお母さんは、しばらく栄蔵の顔を愛情のこもつた眼指まなざしでみつめただけで、何もいはなかつた。何もいはなかつたことが、かへつて二人の心配がどれほど大きかつたかを物語つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
その瞻視まなざしなさけありげなる、睫毛まつげの長く黒き、肢體したいしな高くすなほなる、我等をして覺えずうや/\しく帽を脱し禮を施さゞること能はざらしめたり。
緋奈子は、人垣から少し離れて、時々不安げにその中を覗き込むのですが、すると直ぐ頸をめぐらせて、私の窓の私の眼へ、同じ不安げな視線まなざしをぢつと落すのです。
帆影 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)