「連絡? それはあるさ」と帆村は遠くの方を眺めるような眼眸をして、「まず『獏』は夢を喰いさ、それから『鸚』の方は……」
老人はぎらぎら光る彼の眼眸にぎっくりした。しかし、その時、ほんの一瞬間ではあったが、実に奇態なことが起こったのである。
「丹羽さんと吉っちゃんなの?」時子は鏡面から眼眸をはずして彼女には不似合な、そっとした優しみで二人を流し見た。
燃え上るような眼眸で斬りかかって来た女の面影を、話の切れ目切れ目に思い浮かべているうちに酒の味もよく解らないまま一柳斎の邸を出た。
今の眼眸のうちには、男でも面を向けていられないような情炎が——とびついてくるような熱慾が——歴々火となって燃えて見えたではないか。