餘儀よぎ)” の例文
新字:余儀
おつぎもおしなんでからくるしい生活せいくわつあひだに二たびはるむかへた。おつぎは餘儀よぎなくされつゝ生活せいくわつ壓迫あつぱくたいする抵抗力ていかうりよく促進そくしんした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
平兵衞はかうべふりかたじけなけれども明日は餘儀よぎなきことのあるゆゑに是非共今宵こよひかへらずば大いに都合あしかりなんかく御暇おいとま申さんと立上れば庄右衞門もやむ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
父の云い付けで餘儀よぎなくめとった新妻に対しては、自分より七つ歳下の、一人の利発な、罪のない少女として傍観するより以上の気持になれなかったのである。
質素にするやうに餘儀よぎなくされてはゐたが——何故なら、ひどく質素に作つてない着物は、一つも持つてゐなかつたから——でも、私は、もと/\綺麗にしようと氣をつかふたちだつた。
勿論もちろん金解禁後きんかいきんご政府せいふ財政計劃ざいせいけいくわくふたゝ放漫はうまんなが國民こくみん緊張きんちやう弛緩ちかん消費節約せうひせつやくゆる輸入超過ゆにふてうくわ増加ぞうかするにいたればめにきん流出りうしゆつ餘儀よぎなくせられ通貨收縮つうくわしうしゆくきたすことあるべきも
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
あまりに敏捷すばしこくやられたので、可哀相かあいさうちひさな陪審人ばいしんにんは(それは蜥蜴とかげ甚公じんこうでした)茫然ぼんやりしてしまひました、くまなくさがまはつたが見當みあたらず、餘儀よぎなくはそれから一ぽんゆびいてゐました、が
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その季節きせつ彼等かれら最後さいご運命うんめいであるまきすみられるやうに一ばん適當てきたうした組織そしき變化へんくわすることを餘儀よぎなくされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
出さば早速さつそくむかひに來る約束なるに三四年立ども一向に沙汰さたもなければ餘儀よぎなく吉三郎は人の周旋せわにて小商こあきなひなどして親子おやこやうやく其日をおくり江戸よりむかひの來るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは恰もとまり木につながれた王者のやうな鷲が、雀に向つて、そのやしなになるようにと懇願することを餘儀よぎなくされてゐるやうなものだつた。しかし、私はめそ/\してはいけない。
なんとなくはゞかつてるべく視線しせんけるやうにとほざかつてることを餘儀よぎなくされるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
色にもせずわざ悄々しほ/\として是迄のあつ御高恩ごかうおんを報じもせずして他家たけに奉公致す事はまこと迷惑めいわくなれども御本店の事なればいたし方なしと誠に餘儀よぎなきてい挨拶あいさつをぞなしにける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お天氣が惡くなつて、幾日か雨續きになつた時でさへ、樂しみが盡きる樣子は見えなかつた。戸外の樂しみが餘儀よぎなく中止された結果、室内の娯樂が却つて活氣を帶びて、樣々に變つてゆくのだつた。