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陥
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はま
ふりがな文庫
“
陥
(
はま
)” の例文
旧字:
陷
また
偶時
(
たま
)
には、うツかり足を踏滑らして、川へ
陥
(
はま
)
り田へ
轉
(
ころ
)
げ、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のやうになツて歸ツた事もあツたが、中々其樣な事に
懲
(
こり
)
はしない。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それだのに早くから文学に
陥
(
はま
)
って始終空想の
中
(
うち
)
に
漬
(
つか
)
っていたから、人間がふやけて、
秩序
(
だらし
)
がなくなって、真面目になれなかったのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
露地の出口の
溝
(
どぶ
)
の中、さして深くもない中に、横倒れに
陥
(
はま
)
って死んでいたのは
茶缶婆
(
ちゃかんばばあ
)
で、胸に
突疵
(
つききず
)
がある。さては赤熊が片附けた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
知らず識らず
陥
(
はま
)
り込んだ女が、
他
(
あだ
)
し人の手に身受けされようとする噂を聞き込んで、矢も楯もたまらずに、彼は南条の勧誘に従いました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ビスマルクが或時
仲善
(
なかよ
)
しの友達と連立つて猟に出た事があつた。すると、
何
(
ど
)
うした
機
(
はづ
)
みか友達は足を踏み滑らして
沼地
(
ぬまぢ
)
に
陥
(
はま
)
つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
まあ悪魔の奴に気を許して、一度でも言うことを聴いたら最後、もう駄目だ、救いはねえ。泥沼に脳天まで
陥
(
はま
)
り込んで、這い上れやしねえ。……
追放されて
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼女はよく川へ
陥
(
はま
)
り、寒さに
顫
(
ふる
)
えながら
這
(
は
)
いあがると、
棧橋
(
さんばし
)
から川岸の材木納屋へ忍びこんで、
砂弄
(
すないじ
)
りをしながら着物の乾くのを待つのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あアいう型に
陥
(
はま
)
った
大歌舞伎
(
おおかぶき
)
では型の心得のない
素人
(
しろうと
)
役者では見得を切って
大向
(
おおむこ
)
うをウナらせる事は出来ないから
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
皆
(
みんな
)
の御機嫌は既に
全然
(
がらっと
)
変っている。して見ると
時
(
たま
)
には川に落ちるのも、大阪の伯父さんの言葉を借りていえば、川に
陥
(
はま
)
るのも、満更損じゃないと思う。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
其頃重右衛門は湯田中に深く
陥
(
はま
)
つて居る女があつたとかで、家の衰へて行くのにも頓着せず、米を売つた代価とか、
蚕
(
かひこ
)
を売つた金とかありさへすれば
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
拾っている雀でねえから、土地の様子はあんまりよく知らねえ。なんでも先月の十五夜の晩に、おこよといういい
娘
(
こ
)
が川へ
陥
(
はま
)
って死んだというじゃあねえか
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
老「で、そのお瀧と申すものは慥に賊に
斬殺
(
きりころ
)
され川の中へ
陥
(
はま
)
りまして、いまだに死骸も知れませんか」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「重い泥の中に
陥
(
はま
)
つた心、それはいくら抜け出ようと
悶躁
(
もが
)
いても足が動かない。だのに、あの人はたゞ、そこを出て来い、抜け出て来いと叱咜して居る。悲しむで居る。」
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
北
牟婁
(
ムロ
)
にいた時、勝子が川へ
陥
(
はま
)
ったことがある。その話が兄の口から出て来た。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
狂言「
入間川
(
いるまがわ
)
」に、入間言葉の
逆
(
さか
)
さまごとの滑稽から、自分で川の深みに
陥
(
はま
)
り込んだ
大名
(
だいみょう
)
が、「
諸侍
(
しょざむらい
)
」に欲しくも無い水をくれた程に、「
成敗
(
せいばい
)
するぞ」と大威張りに威張ったところがある。
「特殊部落」と云う名称について
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
いま誰かつけてあげるから、どこで
陥
(
はま
)
ったか、その場所をおしえてください
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
宗近
(
むねちか
)
のような平気な男なら、苦もなくどうかするだろう。
甲野
(
こうの
)
なら超然として
板挟
(
いたばさ
)
みになっているかも知れぬ。しかし自分には出来ない。
向
(
むこう
)
へ行って一歩深く
陥
(
はま
)
り、こっちへ来て一歩深く陥る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
シナ人二人が大変
下僕
(
しもべ
)
を沢山連れて馬と
騾馬
(
らば
)
二十疋ばかりで出て来たところが、雨が沢山降って居るところへあの危ない道を来たもんだから、馬が
辷
(
すべ
)
り落ちてしまって三疋川の中に
陥
(
はま
)
り込んだ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「それ、
溝川
(
みぞがわ
)
だぞ。
陥
(
はま
)
るな」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう言いながら「わたしも文学希望で田舎から出てきたんですけれど、とうとう、こんな処へ
陥
(
はま
)
り込んだのですよ。T先生S先生にもお会いしたことがありますよ。あのころからずっとやって居れば、今頃はどうにかなっていたかも知れないがなあ。」
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それもドブンと不意に川に
陥
(
はま
)
つたやうに其話に移るので、聴手は一寸
呆気
(
あつけ
)
に取られてゐる中に、話は
一蹶
(
いつけつ
)
して向岸に躍り上つてしまふ事がある。
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あのお乗物がすっぽりと
陥
(
はま
)
り込んだというわけですから、いい気なのは待ちぼけを食わされたお前様だ、その魂胆を一通り御注進に参ったので。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然るに高い学費を何年も
費
(
つか
)
ひ込んだ商業学者先生達は会社か銀行の
帳付
(
ちやうつけ
)
にでもなると直ぐ実業家を気取つて、
極
(
ごく
)
愚劣な奴は安芸妓に
陥
(
はま
)
り込んで無けなしの金を入上げる
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
子供のことですから、そんなに遠いところへ迷って行きも致しますまいし、川へでも
陥
(
はま
)
ったのなら死骸がもう浮き上がりそうなもんですが、どうしたもんでしょうかねえ
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
或日エデインバラの
市街
(
まち
)
を歩いてゐる時、どうした
機
(
はず
)
みか橋から滑り落ちて沼に
陥
(
はま
)
つた事があつた。馬のやうな正直者すら、
偶
(
たま
)
には橋から滑りおちる事のある世の中だ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と止める
手先
(
てさき
)
を
振切
(
ふりき
)
つて
戸外
(
そと
)
へ出る
途端
(
とたん
)
に、感が悪いから池の中へずぶり
陥
(
はま
)
りました。梅
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もっとも線路の見当は
大概
(
おはず
)
に着いてたけれども、
踏処
(
ふみどころ
)
が悪いと水田へ
陥
(
はま
)
る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何アに、先生、えら
酔殺
(
よつぱらつ
)
たもんだで、
遂
(
つ
)
ひ、
陥
(
はま
)
り込んだだア」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
米友は
喫驚
(
びっくり
)
して小川に
陥
(
はま
)
ったお玉の手を取る。川は小さな流れだけれども、相当の深さでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こんな気持を味うことが出来るのも、自分が落し坑だと知って、わざとそれに
陥
(
はま
)
り込んだからだと思った。これから後も落し坑には精々落ちた方がいいと思って、にやりとした。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
興に入って笛を吹いて居る稻垣小左衞門の腰のあたりをドンと出し
抜
(
ぬけ
)
に突くと、小左衞門は不意を打たれたから堪りません、
逆
(
さか
)
トンボウを打って鐘ヶ淵へドブーンと
陥
(
はま
)
りましたが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昇なんぞは
蚊蜻蛉
(
かとんぼ
)
とも思ッていぬが、シカシあの時
憖
(
なま
)
じ
此方
(
こっち
)
から手出をしては益々向うの思う坪に
陥
(
はま
)
ッて
玩弄
(
がんろう
)
されるばかりだシ、かつ婦人の前でも有ッたから、
為難
(
しにく
)
い我慢もして遣ッたんだ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
川へ
陥
(
はま
)
って死んでいるところへ、わたくしを連れて行くのではないかと胸騒ぎがしながら、あとをついて行ってみますと、お君ではなくて、あなた様にお目にかかることができました
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「酔払つて溝へ
陥
(
はま
)
つたもんだでの。」
茶話:12 初出未詳
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
確かに、たった今この井戸の中へ
陥
(
はま
)
った子供があることは疑う余地がありません。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
陥
常用漢字
中学
部首:⾩
10画
“陥”を含む語句
陥落
陥没
陥穽
欠陥
陥入
陥阱
陥込
陥欠
陥擠
陥滅
陥穴
陥穿
陥溺
陥没地震
陥没地
陥窪
陥殺
陥羂
陥隔
陥擠山
...