遺言ゆゐごん)” の例文
食終くひをはりし後九助は金二兩土産みやげに出し九郎右衞門が遺言ゆゐごん并びに伯父をぢ樣の分米ぶんまい田地でんぢ十二石手を付ずに今以て村あづけに成て居ますと話すを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其後そのご雲飛うんぴ壮健さうけんにして八十九歳にたつした。我が死期しききたれりと自分で葬儀さうぎ仕度したくなどをとゝの遺言ゆゐごんして石をくわんおさむることをめいじた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「あつしの智惠袋がほころびだらけで、へツへツ、おまけに字を讀むことと、新造を口説くことは親の遺言ゆゐごんで止められて居ますよ」
ロミオ はて、それは病人びゃうにん遺言ゆゐごん白状はくじゃうぶやうなもの、わるいうへにわるい異名いみゃう! が、白状はくじゃうせう、わしには戀女こひをんながある。
じつこの音色ねいろたくはへてなどといふは、不思議ふしぎまうすもあまりあることでござりまする。ことに親、良人をつとたれかゝはらず遺言ゆゐごんなどたくはへていたらめうでござりませう。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
お兄さまがあの方をこの領地の持主にするといふ遺言ゆゐごんもなしにおくなりになつてからこの方、あの方は二週間と續いてソーンフィールドにお止まりになつたことはありませんの。
わたし臨終りんじうらせなんでせうから、すぐに心掛こゝろがかりのないやうに、遺言ゆゐごん眞似まねごとだけもしませうと、果敢はかないんですわねえ……たゞそればかりをまとのやうにしてみはつてたんですよ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
遺言ゆゐごんせられしに秀忠公も亦深慮をめぐらされ京都へ御縁組遊ばし其上にて事をはからはんと姫君お福の方を後水尾院ごみづのをゐんの皇后に奉つらる之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
卒中だといふから、それに不思議はないが、遺言ゆゐごんをする間もない急死で、代々だい/\楢井家に積んである筈の何千兩といふ金の行方がわからない。
さアおほいにおどろいて、早速さつそく多助たすけうちつて、番頭ばんとう掛合かけあふと、番頭ばんとうずるやつだから、そんなものはおあづかまうしたおぼえはござりませぬ、大旦那様おほだんなさまかくれの時お遺言ゆゐごんもございませぬからあげる事は出来できない
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
はたしてもなくんだので子は遺言ゆゐごんどほり石を墓中ぼちゆうをさめてはうむつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かめ一パイのかねだ相ですよ親分、——先代が何處かに埋めてあるに相違ありません。中に伯父の遺言ゆゐごんも一緒に入つて居る筈です。
汝等が執持とりもち致せしも同前なりしかるに九助は其等の儀をいからずして速かに離別に及び父が遺言ゆゐごんおもんじ不埓ふらちの伯父女房等に大切たいせつの金子を配分はいぶんいたし遣たるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それ当人たうにん遺言ゆゐごん是非ぜひ火葬くわさうにしてくれろとまうすことで。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
無理に押へて取出させると、あの野郎親の遺言ゆゐごんで女を斷つたやうなことを言つてゐるくせに、内懷中に、お孃さんの手絡てがらだの半襟だの、赤い可愛らしいものを
運び兼ねたが、遺言ゆゐごんをするとか、遺言状を書く力があつたらきつと若旦那の勘當を許したに違ひないと——
遺言ゆゐごんをして金をわけるなら、一枚書いたものがあれば澤山だ、一々包んで置くのはどうかしてゐる
「ところで遺言ゆゐごんには日比魚と書いてあるんで。これは聖堂へ持つて行つたつて讀めないから不思議ぢやありませんか。これが讀めると、何萬兩といふ金になるんだが——」
「へエ、私は左官の伊之助の弟で御座いますが、兄の遺言ゆゐごんで、今晩お伺ひいたしました」
「御當主石見樣は、先代の御遺言ゆゐごん通りに遊ばせば、三年も前に二十歳はたちになられたをひの釆女樣に御家督かとくゆづらなければなりません。私は七日がかりでこれだけの事を調べて參りました」
大旦那樣が死ぬ時遺言ゆゐごんして、お君さんを彌八どんと一緒にし、身上を