“遮断:しゃだん” の例文
“遮断:しゃだん”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治15
フランツ・カフカ4
柳田国男3
夏目漱石3
谷崎潤一郎2
“遮断:しゃだん”を含む作品のジャンル比率
歴史 > 地理・地誌・紀行 > アジア50.0%
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史40.0%
社会科学 > 社会科学 > 論文集・評論集・講演集11.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
地上の生活からすっかり遮断しゃだんされた船の中には、ごく小さな事でも目新しい事件の起こる事のみが待ち設けられていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
府内はいっさい双蹄獣そうていじゅうの出入往来を厳禁し、家々においてもできる限り世間との交通を遮断しゃだんしている。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうすれば、Kはおそらく、まんざらつまらないものでもない自分の進路をみずから遮断しゃだんしてしまうことになるだろう。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
彼が疎開していた処も、先日の水害で交通は遮断しゃだんされていたが、先生に連れられて三日がかりで此処まで戻って来たのである。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
こんな工合で、風が真西に変って不意打ちを食ったのと、大河に遮断しゃだんされて逃げ道のないのとで、荷物を出した人などはない。
しかし我々はこの劇において、その戯曲的要素への注意を遮断しゃだんし去った時に、一つの美しい夢幻境へ誘い入れられるのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
往来は遮断しゃだんされ、京方面から来る旅人たちは、哨兵しょうへいに留められて、ことごとく一応の訊問をうけた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その家では、まるで交通遮断しゃだんとでもいうように表門には駒寄こまよせまでつくって堅く閉じ、通用門をさえ締切ってしまった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
下へ降りていって、近道になるはずだった一つの通路がはじめて遮断しゃだんされているのを発見して、困ったことになったぞ、と思った。
火夫 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
幕はまるで円頂閣ドオムのような、ただ一つの窓を残して、この獰猛どうもうな灰色の蜘蛛を真昼の青空から遮断しゃだんしてしまった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もっともそれは、斎藤家の意志よりも、織田方の作戦が、当然、美濃との通路を遮断しゃだんしているためでもあった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山崎の町へ入るとすぐ、高山右近の部下は、町をつらぬいている道の木戸を封鎖して、附近の小道まで一切交通を遮断しゃだんしてしまった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という不安と、およそ荒木の領内は、その境を、完全に遮断しゃだんしているという、動きのとれない中に置かれている重苦しさとからである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらゆる道は、遮断しゃだんされ、焼けのこった町のかけらが、今朝もなお、彼方此方あちこちに、いぶっていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両家をつなぐ動脈の一道を、横山のふもと横山城に遮断しゃだんして、越前の朝倉と、江北の浅井家とを、両手におさえているかたちだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外界よりの光をひさし袖垣そでがき、または庭の木立こだちで適宜に遮断しゃだんすることを要する。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
そして軍勢の一半を播州の援軍にわけて急下させ、一面、本願寺勢との連絡をいよいよ固く遮断しゃだんした。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤吉郎の軍三千は、遠く退いて、後はただ城内との交通を固く遮断しゃだんしているだけに過ぎなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大坂石山本願寺の頑強な交戦力は、信長がいかに畿内きないの陸上から包囲しても、その交通路を遮断しゃだんしても、すこしも衰えるふうがない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相手の言葉に対して返事をしようとした彼の心の作用がこの眼つきのためにちょっと遮断しゃだんされた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これに反して、ガラス窓の向こうで男女が何か小声で話しているのをこっちから見ているという種類のは、光を透過して音を遮断しゃだんした場合である。
耳と目 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
戦場は、遮断しゃだんされている。その中で、敵も味方もまったく知らないことを、わし独りが知っているかと思うと、堪らない恐ろしさに時々襲われた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへの輸送路は夏以来すべて遮断しゃだんしたので、城中の飢渇きかつは想像に余りあるものがある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕の考え込んだ心は急に律僧のごとく精進癖にとじ込められて、甘い、楽しい、愉快だなどというあかるい方面から、全く遮断しゃだんされたようであった。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「ごく一部に遮断しゃだんされているところもあるようだが、大体は市内電車も平常通り動いている。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それも道理どうり、金博士のこの実験室は、上海の地下二百メートルのところにあり、あの小うるさい宇宙線も、完全に遮断しゃだんされてあるのであった。
好い調子を学び習わしめようとするのは、一つにはただ天分の試み、今一つは外界を遮断しゃだんして
この部屋で空気から完全に遮断しゃだんされているという気持が、彼に眩暈めまいを覚えさせた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
神戸へ帰着してから出迎えの野枝や児供と共に一等寝台車で東京へ帰った汽車賃は大杉の自由行動を防止して同志から遮断しゃだんする必要上官憲が支弁したのである。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
海が彼らの交通を遮断しゃだんするのは当然ですが、なお少しは水を泳ぐこともできました。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
手袋を手から出る暖かみを遮断しゃだんするために用いるのはちょっと面白いが、考えて見るまでもなくすべての防寒具の目的とするところは結局同じことなのである。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
小さい時分から情事を商品のように取扱いつけているこの社会に育って、いくら養母が遮断しゃだんしたつもりでも、商品的の情事が心情にみないわけはなかった。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「いや、この方面から、敵に上陸あがられては、おたがいの間も、遮断しゃだんされる」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして悪くすれば向う数年間、鏡から遮断しゃだんされた生活が三元に課せられることを思ったとき、ふと三元の不幸がはっきりした実感で近づいてくるのを彼は感じた。
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
そうして自己と周囲と全く遮断しゃだんされた人のさびしさをひとり感じた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
消極的な事実であるけれども、かくまで人を美しくまた楽しくなし得るものが、まったく遮断しゃだんせられていたということも、説明しなければならぬ大きな現象であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
包囲長攻ほういちょうこうをうけてから足かけ三年。秀吉の軍勢に、城外を遮断しゃだんされ、糧道をたれ、完全な封鎖のうちに孤立化してからも——すでに半年以上。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外部の喧騒けんそうから遮断しゃだんされたところで読書と瞑想めいそうふけることもできたが、彼はいつも神経を斫り刻むおもいで、難渋を重ねながらペンをとった。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
と、知ると同時に信長は、派遣軍と安土との聯絡れんらく遮断しゃだんされる危機にあることを察して、自身の喉首のどくびへ敵手が懸って来たようなあせりを覚えた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち山上の軍との聯絡を遮断しゃだんし、同時に、魏軍が山上兵の水を汲みに通う通路を断つ行動に対して、妨害に出ることができぬように、その途中を切り取ったのであった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにつまらない事務用の通信でも、交通遮断しゃだんの孤島か、障壁で高く囲まれた美しい牢獄ろうごくに閉じこもっていたような二人に取っては予想以上の気散きさんじだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
雨はようやくしげく霧さえ加わって全く眺望を遮断しゃだんしてしまった。
皇海山紀行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「また、一面には、海道その他の退路を遮断しゃだんされるおそれもあり」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸イニシテソノ麻痺状態ニ置カレテイタ期間ハモノノ二三十分ニ過ギズ、間モナク遮断しゃだんサレテイタ神経ノ通路ガ復舊シ、失ワレタ記憶ガ戻ッテ来テスベテガ平生ノ通リニナッタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
イギリスの勢力圏であるチベットをとおって、重慶へ通ずる新ルートがあるのではないか⁈ しかしそれは、『天母生上の雲湖ハーモ・サムバ・チョウ』の裾続きで遮断しゃだんされる。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かの欧州の権謀政治家や、日夜ただ兵備拡張に汲々きゅうきゅうとして、かえってその兵備拡張の手段なるものは兵備拡張の目的を遮断しゃだんするの大敵たることを忘却したるはなんぞや。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
——内地では、何時までも、黙って「殺されていない」労働者が一かたまりに固って、資本家へ反抗している。然し「殖民地」の労働者は、そういう事情から完全に「遮断しゃだん」されていた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
一番仕舞に、結婚は道徳の形式において、自分と三千代を遮断しゃだんするが、道徳の内容に於て、何等の影響を二人の上に及ぼしそうもないと云う考が、段々代助の脳裏に勢力を得て来た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
岩のつきるところで、道は小さな流れに遮断しゃだんされた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
とはいえ、まだ、瀬田、宇治、醍醐、淀、山崎にわたる“つなぎ陣”から、一軍は近江へ出て、近江の佐々木道誉を攻めるなど、ごうも、足利方の糧道遮断しゃだんにたいしては手を抜いていない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
グレゴールは今は母親から遮断しゃだんされてしまった。
変身 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
朱塗しゅぬり不動堂ふどうどうは幸にして震災を免れしかど、境内の碑碣ひけつは悉くいづこにか運び去られて、懸崖の上には三層の西洋づくり東豊山とうほうざんの眺望を遮断しゃだんしたり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いびきごえや寝言など外部の音響おんきょうをも遮断しゃだんするに都合つごうが好かったもちろん爪弾つまびきでばちは使えなかった燈火のないくらな所で手さぐりで弾くのである。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それでも前のごとくにモンゴリヤから金が沢山来ますれば、それは随分通商を遮断しゃだんしても立行たちゆかんこともありますまいけれども、今いう通りもうこの金の来る見込みはほとんどなくなってしまった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
諸方に物見を放って、昨日から家康が耳にあつめた情報は少なくない。けれど肝腎かんじんな京都、安土方面のうごきは、皆目かいもく知れない。交通が遮断しゃだんされているためと、彼は観察を下していた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黄浦江こうほこうは、あの広い川面かわもが、木製の寝台を浮べて一杯となり、上る船も下る船も、完全に航路を遮断しゃだんされてしまって、船会社や船長は、かんかんになって怒ったが、どうすることも出来ない。
そして各細胞に対しては職場内での責任を明確に分担して背負わせ、須山や伊藤に万一のことがあった場合、あとのものが直ちに予定された新しい部署について仕事が一日でも遮断しゃだんされることがないように手筈を決めた。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
たとへば『勝景一覧』の如きを見るに、夕焼の雲とかすみとを用ひて遠景を遮断しゃだんせしめし所は古代の大和絵巻やまとえまきを見るが如く、また人物の甚しく長身なるは歌麿の感化を脱せざるのうらみあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
勿論もちろん状況が状況であったから安静などは思いもよらず、強行してサンホセに入ったのだが、それから一箇月の日光から遮断しゃだんされた密林の生活で、彼は自分の身体が刻々とむしばまれて行くのをはっきりと自覚していた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
床几にかまえて、こう泰然とはしているものの、その実、きのう以来、彼の出した幾つかの指令によって、この本陣から別れ去った分隊は、敵の東北へ迂回して、屋代やしろ近傍に出たり、北国街道との聯絡路を遮断しゃだんしてみたり、更に
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弥兵衛には、これよりすぐに、麾下きかの士の目きき足ききりすぐって、京都表から毛利領へ通ずる往来という往来、間道という間道に、水もらさぬような手配をなせ。要路は遮断しゃだんいたすもよい。怪しの者と見たら引ッ捕えろ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孟王が今これへ来られた一道の通路は平常だから開いてあるが、いざという時になれば、あの途中の絶壁と絶壁のり合った隘路あいろは巨木大石をもってふさぎ、たちまち洞界の入口を遮断しゃだんしてしまうことができるようになっている。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もしこの勢いにして中途に遮断しゃだんすることなくんば、あに今日において吾人がもってわが邦人が商業者たる資格を有するや否やの議論を喋々し、またわが邦は天然の商業国なりというがごときの問題を喃々なんなんするがごとき迂遠の労を採るを要せんや。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
あんなにも痛ましくたくさんの死者を出したのは一つには市街が狭い地峡の上にあって逃げ道を海によって遮断しゃだんせられ、しかも飛び火のためにあちらこちらと同時に燃え出し、その上に風向旋転のために避難者の見当がつかなかったことなども重要な理由には相違ないが
函館の大火について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
どうも広い原で雪に降られるのみならず暴風に当られますと凍え死をするもといですから、それだけの用心をして池のような中へ入って、そうして例のごとく呼吸を充分注意してなるべく自分の呼吸と外界と遮断しゃだんするような方法にして禅定ぜんじょうに入りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「いずれの説も、予の意中と変りはない。予のおそるるところも、呂布と袁術とが、結ばれる点にある。——山東の道々は、予自身の軍をもって遮断しゃだんするから、劉玄徳は、その麾下きかをよく督して下邳かひより淮南わいなんのあいだの通路を警備したまえ」と、いった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呂宋兵衛るそんべえや敵のおもなるものが、この口から逃走したとすれば、この空井戸からいどをふさいで、どこからかれらを追跡するか、どこへ兵を廻しておくか、まったくこれでは、みずから手がかりの道を遮断しゃだんしてしまったことに帰結する——と憤慨ふんがいした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の師たる北斎は和蘭陀画の感化を喜ぶ事決して北寿に劣るものならざれども後年に至るもなほしばしば日本在来の棚曳たなびく霞をよこたはらしめて或時は不必要と認むる遠景を遮断しゃだんするの方便となし、或時は高処を示すの手段となしたり(ペルヂンスキイは北斎が描く霞の形状をば西洋手袋の指先を並べたるが如しといへり)。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)