あす)” の例文
成程左様さう言はれて見ると、少許すこしも人をおそれない。白昼ひるまですら出てあすんで居る。はゝゝゝゝ、寺のなか光景けしきは違つたものだと思つたよ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さと わしが国にをるときや、男でんをなごでん、あすうどるもんなんぞ見たこたなかつた。まあ、遊うどると云へば、子供ぐりやんもんた。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「なに構わん。どうせあすんどるんだから。しかし人間も遊んどる暇があるようでは駄目じゃな、君。ちっとなんぞ金儲かねもうけの口はないかい」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五「おい婆さん大きに御苦労よ、おまえ又晩に来てくんろよ、客の泊りも無いが、又晩にはあすんで居るだろうから、ま来なよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だからお勢みたようなこんな親不孝なもんでもそう何時までもお懐中ぽっぽあすばせてもおけないと思うと私は苦労で苦労でならないから、此間こないだあたしがネ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それでは以後これからさかんにおあすびなさい。どうせ毎日用は無いのだから、田舎でも、東京でも西京さいきようでも、好きな所へ行つて遊ぶのです。船は御嫌おきらひですか、ははあ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
津々浦々つつうらうら渡鳥わたりどり稲負いなおおどり閑古鳥かんこどり。姿は知らず名をめた、一切の善男子ぜんなんし善女人ぜんにょにん木賃きちん夜寒よさむの枕にも、雨の夜の苫船とまぶねからも、夢はこのところに宿るであろう。巡礼たちが霊魂たましいは時々此処ここに来てあすぼう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「尤もそれが奧さんの爲めです、わ、ね——清水さんのやうな方は、あなたもさん/″\もてあすんだのでせう、あの、加集さんにくツ付けておやんなさいよ、大した代物しろものでもないぢやアありませんか、ね?」
病気と云ふちやあ、こぎやんして、ぶらぶらあすうどらるツたあ、誰のお蔭かな。もうちつたあ、親身にならにや。あツでん優しか人ぢやなツか。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
なんにもしないであすんでるんでせう。地面ぢめん家作かさくつて」と御米およねこたへた。このこたへ今迄いままでにもう何遍なんべん宗助そうすけむかつてかへされたものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此方からお手当を戴き嚊をうちへ置いて看病をすると、わっちも堅気の職人ですから、そんな事が親方の耳へでもへえれば、手前てめえあすんでいて他から銭を貰う、飛んでもねえ奴だ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつそのくされ、思う存分書いて見よか、と思ったのは先達せんだっての事だったが、其後そのご——矢張やっぱり書く時節が到来したのだ——内職の賃訳がふっと途切れた。此暇このひまあすんで暮すは勿体ない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『あれ、進だつてあすんで居やすよ。』といふのは省吾の声。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
昔健ちゃんのあすびに来てくれた時分にゃ、随分しり端折ぱしょりで、それこそ御釜おかまの御尻まで洗ったもんだが、今じゃとてもそんな元気はありゃしない。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お勢さんも非常に心配しておでなさるシ、かつ君だッてもナニモあすんでいて食えると云う身分でも有るまいシするから、し復職が出来ればこの上も無いと云ッたようなもんだろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
五「相談だって手前てめえは二十四五にも成りやアがって、ぶら/\あすんでて、親のすねばかりかじっていやアがる、親の脛を咬っている内は親の自由だ、手前の勝手に気にった女が貰えるか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そら梳手すきて御勢おせいですよ。昔し健ちゃんのあすびに来る時分、よくいたじゃありませんか、宅に」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あすんでらっしゃいな。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「僕の友人の哲学科を出たものなんか、卒業してから三年になるが、まだあすんでるぜ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうです、あっちへ行って、少しみんなとあすぼうじゃありませんか。いやですか」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「少し脳が悪いから、一週間ほど役所を休んであすんで来るよ」と云った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すこなうわるいから、一週間しうかんほど役所やくしよやすんであすんでるよ」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「何にもしないであすんでるんでしょう。地面や家作を持って」
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「するとあすんでるのは、君許りぢやないか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)