谷川たにがは)” の例文
谷川たにがはからあがつてさしつたとき手足てあしかほひとぢやから、おらあ魂消たまげくらゐ、お前様まへさまそれでも感心かんしんこゝろざし堅固けんごぢやからたすかつたやうなものよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この田舍ゐなかみづ不自由ふじいうなところでした。たにそこはうまでけばやまあひだながれて谷川たにがはがなくもありませんが、人家じんかちかくにはそれもありませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やまふかきその谷川たにがはに住むといふやまめ岩魚いはなを人はとり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ここは谷川たにがは丸木橋まるきばし
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
えだ所々しよ/\にごつた月影つきかげのやうな可厭いやいろもやからんで、ほしもない……やまふか谷川たにがはながれのぞんだおもひの、暗夜やみ四谷よツやたにそこ時刻じこくちやうど一ごろ
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
谷川たにがはのほとりに見ゆるふる道はたえだえにして山に入るなり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
親仁おやぢ其時そのとき物語ものがたつて、御坊ごばうは、孤家ひとつや周囲ぐるりで、さるたらう、ひきたらう、蝙蝠かうもりたであらう、うさぎへびみんな嬢様ぢやうさま谷川たにがはみづびせられて、畜生ちくしやうにされたるやから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこや一めんいはで、いはうへ谷川たにがはみづがかゝつて此処ここによどみをつくつてる、川巾かははばは一けんばかり、みづのぞめばおとまでにもないが、うつくしさはたまいてながしたやう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かく可凄すさまじくもまた可恐おそろしき、大薩摩おほさつまたけなかばにくもつらぬく、大木たいぼくみきたかえだ綾錦あやにしきいとなみ、こゝにむすめきしが、もとよりところえらびたれば、こずゑましらつたふべからず、した谷川たにがはなり。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)