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蛆虫
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うじむし
ふりがな文庫
“
蛆虫
(
うじむし
)” の例文
旧字:
蛆蟲
しかしそういう力の中心には、
侵蝕
(
しんしょく
)
的な
蛆虫
(
うじむし
)
が住んでいた。クリストフはときどき絶望の発作にかかった。それは急激な
疼痛
(
とうつう
)
だった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「ああ暗い暗い、このとおり世の中は真っ暗だ。——聞けよ、
蛆虫
(
うじむし
)
たち、この禰衡だけは、汝らとちがって、反逆者の臣ではないぞ」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは白い小さな
蛆虫
(
うじむし
)
で、足もないし、全くよはよはしい動く事も出来ない位だ。蟻塚の中には此の小さな蛆虫が何十とゐるのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
しかもその醜い争いの
種子
(
たね
)
をまいたのは葉子自身なのだ。そう思うと葉子は自分の心と肉体とがさながら
蛆虫
(
うじむし
)
のようにきたなく見えた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
俺たちが
何故
(
なぜ
)
死んじまわないんだろうと不思議に思うだろうな、穴倉の中で
蛆虫
(
うじむし
)
見たいに生きているのは詰らないと思うだろう。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
多分、新時代の有志とか、代議士とかいうものは一列一体に太平の世に湧いた
蛆虫
(
うじむし
)
ぐらいにしか思っていなかったのであろう。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一旦この気持をつかむと、不意に、懐中電燈を差しつけられたように、自分達の
蛆虫
(
うじむし
)
そのままの生活がアリアリと見えてきた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
藻掻きに藻掻いて、やっと息が絶えると、待ち構えていた
蛆虫
(
うじむし
)
が、君の身体中を這い廻って、肉や臓腑を、ムチムチと
啖
(
くら
)
い始めるのだ。……
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、つい近ごろまで輝くほど健康で美しかった人が、こんなに急に「
暗闇
(
くらやみ
)
と
蛆虫
(
うじむし
)
」の墓に運び去られたのを、いぶかしく思っているだろう。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
いや、愛想の尽きた
蛆虫
(
うじむし
)
め、往生際の悪い
丁稚
(
でっち
)
だ。そんな、しみったれた奴は
盗賊
(
どろぼう
)
だって風上にも置きやしない、酒井の前は恐れ多いよ、帰れ!
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前は田畑の
蛆虫
(
うじむし
)
のように、歓喜に満ちた穂をいぶかしそうに見詰めながら、絶望と苦悩のよだれを垂らしているのだ。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
俺は同盟から
外
(
はず
)
れてしまった。俺は
人外
(
じんがい
)
に
堕
(
お
)
ちた、
蛆虫
(
うじむし
)
同様になってしまった。もう明日から人にも顔は合わされない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
私などは譜代大名の家来だから丸で人種違いの
蛆虫
(
うじむし
)
同様、幕府の役人は勿論、
凡
(
およ
)
そ葵の紋所の
付
(
つい
)
て居る御三家と云い
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
狗
(
いぬ
)
奴。胸の悪い、獣にも劣った獣奴。○ああ。無辺際なる精霊。この
蛆虫
(
うじむし
)
を再び
本
(
もと
)
の狗の形に戻してくれぬか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
同様にまた、ずんぐりした地中の
蛆虫
(
うじむし
)
から空中にはばたく蝶に辿られるのである。地球そのものも絶えず自らを超越し変形しつつ、その軌道を
翔
(
かけ
)
るようになる。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
台察児
(
タイチャル
)
(避難民を睥睨し)騒ぐな、
蛆虫
(
うじむし
)
ども! 兄上! 夜まで持ちこたえれば、なんとか計略も浮かびましょう。おい、誰か三の吊橋を落して来る者はないか。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
我が国などでも
蛆虫
(
うじむし
)
のようなものは汚いごみのなかから自然に湧いて生まれてくるように
云
(
い
)
いならわしたり、昆虫は草の葉の
露
(
つゆ
)
から生まれるなどとも考えたのでした。
チャールズ・ダーウィン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
落下、落下、死体は腐敗、
蛆虫
(
うじむし
)
も共に落下、骨、風化されて無、風のみ、雲のみ、落下、落下——。
創生記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
とはいうものの顧みればわれらの主観のいかに空疎に外界のいかに雑駁なるよ。この中に処して
蛆虫
(
うじむし
)
のごとく喘ぎも
掻
(
が
)
くのがわれらである。これをしも悲痛と言おう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「文字ノ精ガ人間ノ眼ヲ
喰
(
く
)
イアラスコト、
猶
(
なお
)
、
蛆虫
(
うじむし
)
ガ
胡桃
(
くるみ
)
ノ固キ
殻
(
から
)
ヲ
穿
(
うが
)
チテ、中ノ実ヲ
巧
(
たくみ
)
ニ喰イツクスガ
如
(
ごと
)
シ」と、ナブ・アヘ・エリバは、新しい粘土の備忘録に
誌
(
しる
)
した。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
印度人なぞは
蛆虫
(
うじむし
)
同然にしか心得ていない大使館では我々が束になって騒ぎ立てても何らの
痛痒
(
つうよう
)
も感じないであろうが、日本人のあなたが訪ねて行かれたならばまさかに
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
インド
托鉢僧
(
たくはつそう
)
、仏教僧、マホメット教行者、ギリシャ修道者、マホメット教隠者、シャム仏僧、マホメット教僧侶、彼らが増加して
蛆虫
(
うじむし
)
のごとく群がってる国を考える時
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
貴方に責めさいなまれることですら、貴方に
唾
(
つば
)
をはきかけられて
蛆虫
(
うじむし
)
のように軽蔑されることですら、妾には限りなき喜びなんです。もう淋しいことは何も言って下さいますな。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
私は
蛆虫
(
うじむし
)
のような女ですからね、酔いだってさめてしまえばもとのもくあみ、一日がずるずると手から抜けて行くのですもの、早く私のカクメイでもおこさなくちゃなりません。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
しかしこうやって見上げていると、やっぱり要するにわれわれは
蛆虫
(
うじむし
)
だ、まさにあわれむべき蛆虫にすぎないんだと、つくづく悟らずにはいられませんな。——その通りでしょう。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それには私の過去の道筋で拾い集めて来たあらゆる宝石や土塊や草花や昆虫や、たとえそれが
蚯蚓
(
みみず
)
や
蛆虫
(
うじむし
)
であろうとも一切のものを「現在の鍋」に
打
(
ぶ
)
ち込んで煮詰めてみようと思っている。
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
待っているのはよいとしても、
呼吸
(
いき
)
の苦しいのは閉口であった。名に負う地下にいるのであった。気味の悪さは形容も出来ない。湿気は体を融かそうとした。身内を
蛆虫
(
うじむし
)
が這うようであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すっかり遊人風になり金がなくなると、
蛆虫
(
うじむし
)
のように縁類を嫌がらせた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
蛆虫
(
うじむし
)
を宇治武者にいい
做
(
な
)
したのだ(石崎文雅『郷談』)。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ヤイ警官のトンチキ
野郎奴
(
やろうめ
)
。鼻っぴの、おでこの、ガニ股の、ブーブー野郎の、デクノ棒野郎の、
蛆虫
(
うじむし
)
野郎の、飴玉野郎の、——ソノ大間抜け、口惜しかったらここまでやってこい。
甘酒進上
(
あまざけしんじょう
)
だ。ベカンコー」
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あゝ
蛆虫
(
うじむし
)
よ。眼なく耳なき暗黒の友
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なンぞは
蛆虫
(
うじむし
)
同様
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
肺臓の堪えがたい圧迫——湿った土の息づまるような臭気——体にぴったりとまつわりつく
屍衣
(
きょうかたびら
)
——狭い棺のかたい抱擁——絶対の夜の暗黒——圧しかぶさる海のような沈黙——眼には見えないが触知することのできる征服者
蛆虫
(
うじむし
)
の出現——このようなことと
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
龍太郎! おぬしは
退
(
ひ
)
くなら、退くがいい、おれは
徳川家
(
とくがわけ
)
の
蛆虫
(
うじむし
)
めらを、ただ一
匹
(
ぴき
)
でも、この
御岳
(
みたけ
)
から下へおろすことはできない
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分自身でも自分が何人種に属するかわからない単なる一個の生命……天地の間に湧き出した、医術と音楽のわかる小さな一匹の
蛆虫
(
うじむし
)
に過ぎないのだ。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
裸体で、
縛
(
いまし
)
められ、寝かされ、身動きもできないでいる自分を、
蛆虫
(
うじむし
)
のたかってる
死骸
(
しがい
)
のような自分を、彼は見出した。彼はむらむらと反発心を覚えた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
煙草の煙や人いきれで、空気が濁って、臭く、穴全体がそのまま「
糞壺
(
くそつぼ
)
」だった。区切られた寝床にゴロゴロしている人間が、
蛆虫
(
うじむし
)
のようにうごめいて見えた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
ところが、この教会では、いつでも現世的な思いにおしかえされるような感じがしたが、それは、冷淡で尊大なあわれな
蛆虫
(
うじむし
)
どもがわたしのまわりにいたからだ。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
薄暗い土蔵の二階には(むせ返る死臭と、おびただしい
蛆虫
(
うじむし
)
の中に)二つの死骸が転っていた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
無条件降伏の
屍
(
しかばね
)
にわいた
蛆虫
(
うじむし
)
のような不潔な印象を消す事が出来ず、四月十日の投票日にも私は、伯父の局長から自由党の加藤さんに入れるようにと言われていたのですが
トカトントン
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ベッ、
此奴等
(
こいつら
)
、血のついた
屑切
(
くずきれ
)
なんか取散らかして、
蛆虫
(
うじむし
)
め。——この霊地をどうする。」
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
代わりのボースンはもう横浜まで来てるんだのに、ばか野郎らが——船長は
蛆虫
(
うじむし
)
どもの低能さに対して、ちょっと冷やかしてやってもいい、という気を起こしたほどであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
手向かうものとてはもはやその一個の
蛆虫
(
うじむし
)
のみである。が彼は手向かう。そして彼は剣をさがすがごとくに一語をさがす。彼には
生唾
(
なまつば
)
が湧く。そしてその生唾こそ彼の求むる一語である。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
社会の時候が有りのまゝに続けば、その虫が虫を産んで際限のない所に、この
蛆虫
(
うじむし
)
即
(
すなわ
)
ち習慣の奴隷が、
不図
(
ふと
)
面目を改めると云うには、社会全体に大なる変革激動がなければならぬと思われる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
蛆虫
(
うじむし
)
の黒きかたまり
湧
(
わき
)
出でゝ
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「場所が大使館構内でさえなければあんな書記官の一人や二人くらい叩きなぐってでも
埒口
(
らちぐち
)
はあけてしまうのですが、残念ながら英国人に
蛆虫
(
うじむし
)
同然の私たち印度人の分際ではどうすることもできなかったのです」とシャアは
黒鉄
(
くろがね
)
のような腕を
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
雪
(
すす
)
ぐは臣下の本分、卑怯未練な
蛆虫
(
うじむし
)
めらを、一泡吹かせて斬り死に致す覚悟でござる。お通し下されいッ。お止めだて下さるな
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その忌まわしい
蛆虫
(
うじむし
)
から理性をかじられ心を汚されているのだ——われわれを保護すべき役目をもってる人々から、指導者たる立場の人々から、下劣卑屈な批評家たちから
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人の怨み、わが身の罪業を思ひ知りて神仏の御手に
縋
(
すが
)
らむと思はずや。天地の大を以て見れば、さしも強豪、無敵の鬼三郎も
多寡
(
たか
)
の知れたる一匹の
蛆虫
(
うじむし
)
。
何処
(
いづこ
)
より
蠢
(
うご
)
めき来り。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
肉も臓腑も、
蛆虫
(
うじむし
)
の為に食い尽され、その蛆虫さえ死に絶えてしまったものであろう。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“蛆虫(
蛆
)”の解説
蛆(うじ)、あるいは蛆虫(うじむし)は、ハエの幼虫である。一般には、餌となる腐肉など生ごみや動物の糞、死体などに発生するものを指す。医療ではマゴット(Maggot)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
蛆
漢検1級
部首:⾍
11画
虫
常用漢字
小1
部首:⾍
6画
“蛆”で始まる語句
蛆
蛆蟲
蛆蠅
蛆々
蛆共