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紫縮緬
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むらさきちりめん
ふりがな文庫
“
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)” の例文
何か出て来るかもしれないと勘次が
上部
(
うえ
)
へ指を入れると、触った物があるから引き出した。
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
女持の
香袋
(
においぶくろ
)
、吾妻屋の
縫
(
ぬい
)
がしてある。
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
先日
(
こなひだ
)
亡くなつた喜劇
俳優
(
やくしや
)
渋谷天外は、何処へ
往
(
ゆ
)
くのにも、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の小さな包みを
懐中
(
ふところ
)
にねぢ込むで置くのを忘れなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
左近方には四郎左衛門が捕はれて死んだ後に、此徳利が
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
袱紗
(
ふくさ
)
に包んで、大切に
蔵
(
しま
)
つてあつたさうである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
まず、その小風呂敷に目がつくと、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
のまだ
巳
(
み
)
の
刻
(
こく
)
なのに、五七の桐が鮮かに染め抜いてあります。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
着し座す其
形勢
(
ありさま
)
いと
嚴重
(
げんぢう
)
にして先本堂には
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
に
白
(
しろ
)
く十六の
菊
(
きく
)
を
染出
(
そめいだ
)
せし
幕
(
まく
)
を張り渡し表門には
木綿地
(
もめんぢ
)
に白と
紺
(
こん
)
との三
筋
(
すぢ
)
を染出したる幕を
張
(
はり
)
惣門
(
そうもん
)
の内には
箱番所
(
はこばんしよ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
いや最前から
各々方
(
おの/\がた
)
のお話を聞いていると、
可笑
(
おか
)
しくてたまらんの、拙者も長旅で
表向
(
おもてむき
)
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
服紗包
(
ふくさづゝみ
)
を
斜
(
はす
)
に
脊負
(
しょ
)
い、
裁着
(
たッつけ
)
を
穿
(
は
)
いて頭を
結髪
(
むすびがみ
)
にして歩く身の上ではない
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
錏頭巾
(
しころずきん
)
をかぶり、右の
顳顬
(
こめかみ
)
にあたる所に小き
錠
(
じょう
)
を附け、紫縮緬に大いなる
鴉
(
からす
)
数羽飛びちがひたる模様ある綿入に、
黒手八丈
(
くろではちじょう
)
の下着、白博多の帯、
梅華皮
(
かいらぎざめ
)
の一本差
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
上段の十畳、一点の
汚
(
よごれ
)
もない、月夜のような青畳、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
ふッくりとある
蒲団
(
ふとん
)
に、あたかもその雲に乗ったるがごとく、
菫
(
すみれ
)
の中から抜けたような、
装
(
よそおい
)
を
凝
(
こら
)
した貴夫人一人。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いやにふけちまつたでせう。
皆
(
みんな
)
さう
云
(
い
)
つてよ。」とお
糸
(
いと
)
は美しく
微笑
(
ほゝゑ
)
んで
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
の
紐
(
ひも
)
の解けかゝつたのを結び直すついでに帯の
間
(
あひだ
)
から
緋天鵞絨
(
ひびろうど
)
の
煙草入
(
たばこいれ
)
を出して
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし服装はあまり大したものではなく普通の上等程度だったそうで……
被布
(
ひふ
)
は
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
に何かちらちらと金糸の
刺繍
(
ししゅう
)
をしたもので、下は高貴織りか何からしく、派手な柄で
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
金剛石
(
ダイアモンド
)
と光を争ひし目は
惜気
(
をしげ
)
も無く
瞪
(
みは
)
りて時計の
秒
(
セコンド
)
を刻むを
打目戍
(
うちまも
)
れり。火に
翳
(
かざ
)
せる彼の手を見よ、玉の如くなり。さらば友禅模様ある
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
半襟
(
はんえり
)
に
韜
(
つつ
)
まれたる彼の胸を想へ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
伯父の血をひいた余とても御多分に
洩
(
も
)
れぬ。八年前の秋、此万碧楼に泊った余は、
霜枯時
(
しもがれどき
)
の客で過分の扱いを受け、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の夜具など出された。
御馳走
(
ごちそう
)
も伯父の甥たるに
恥
(
は
)
じざる程食うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
内蔵助の前へ、妙の手からさし置かれたのは、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の丸頭巾であった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の小さい
袱紗包
(
ふくさづつみ
)
を出すのでした。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
退紅色の粗い
形
(
かた
)
の布団を掛けた
置炬燵
(
おきごたつ
)
を脇へ押し遣って、
桐
(
きり
)
の円火鉢の火を掻き起して、座敷の真ん中に
鋪
(
し
)
いてある、お嬢様の据わりそうな、
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の座布団の前に出した。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
周防守のお妾さんの部屋では
箪笥
(
たんす
)
から
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の小袖を取り出して、それを
局境
(
つぼねざかい
)
の塀の返しへ持って行って
押拡
(
おっぴろ
)
げて張っておいたそうだが、それで金銀は一つも盗られなかったとやら。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
出立し大坂
指
(
さし
)
て
赴
(
おもむ
)
き日ならず渡邊橋向の
設
(
まう
)
けの旅館へぞ
着
(
ちやく
)
したり伊賀亮が
差※
(
さしづ
)
にて旅館の
玄關
(
げんくわん
)
に
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
に
葵
(
あふひ
)
の御紋を染出せし
幕
(
まく
)
を
張渡
(
はりわた
)
し
檜
(
ひのき
)
の大板の
表札
(
へうさつ
)
には
筆太
(
ふでぶと
)
に徳川天一坊旅館の七字を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
卷上れば天一坊は
威
(
ゐ
)
有
(
あつ
)
て
猛
(
たけ
)
からざる
容體
(
ようだい
)
に着座す其出立には
鼠色
(
ねずみいろ
)
琥珀
(
こはく
)
の
小袖
(
こそで
)
の上に
顯紋紗
(
けんもんしや
)
の
十徳
(
じつとく
)
を着
法眼袴
(
はふげんはかま
)
を
穿
(
はき
)
たり後の方には
黒七子
(
くろなゝこ
)
の小袖に同じ羽織
茶宇
(
ちやう
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
はき
)
紫縮緬
(
むらさきちりめん
)
の
服紗
(
ふくさ
)
にて
小脇差
(
こわきざし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
紫
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
縮
常用漢字
小6
部首:⽷
17画
緬
漢検準1級
部首:⽷
15画
“紫縮緬”で始まる語句
紫縮緬呉羅