突込つきこ)” の例文
わたくしの頭を鉄扇で打ち、門弟がたぶさを取って引摺り出し、打ち打擲するのみならず、割下水へさかさまに突込つきこまれてわたくしは半分死んで居ります
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その手拭てぬぐいを、すそと一緒に、下からつまみ上げるように帯へはさんで、指を腰の両提ふたつさげに突込つきこんだ。これでは直ぐにも通れない。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とり真中まんなかあなあたま突込つきこんで、まるでカラーのように、石臼いしうすくびへはめ、またうえ飛上とびあがって、うたしました。
職務しよくむるのはまへにも不好いやであつたが、いまなほそう不好いやたまらぬ、とふのは、ひと何時いつ自分じぶんだまして、かくしにでもそつ賄賂わいろ突込つきこみはぬか、れをうつたへられでもぬか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
にか思い出した様にポケットの中へ手を突込つきこんで、先程の広告マッチを取り出し、ハンカチでよごれをぬぐって一寸ちょっとレッテルに見入っていたが、間もなく元気で話を続けた。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
帽子を眉深まぶかに、両手を衣嚢かくし突込つきこみて歩み行く男は、皆賭博に失敗して自殺を空想しつゝ行くものゝ如く見え、闇より出でゝ、闇のうち馳過はせすぐる馬車あれば、其のうちには必ず不義の恋
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
トルストイは直ぐ眼の前に、跛足びつこ乞丐こじきが立つてゐるのを見た。施し物をしようとして、彼がポケツトに手を突込つきこむだ一刹那、要塞のなかから重い靴音を引摺りながら一にんの番兵が顔を出した。
トンと船底へ突込つきこむと、殊勝な事には、手拭の畳んで持ったをスイと解き、足の埃をはたはたと払って、いしきかじを取って、ぐるりと船の胴の間にのめり込む。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
永禪和尚は毒喰わば皿までねぶれと、死骸をごろ/\転がして、本堂の床下へ薪割で突込つきこみますのは、今に奉公人が帰って来てはならぬと急いで床下へ深く突入つきいれました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
職務しょくむるのはまえにもいやであったが、いまはなお一そういやでたまらぬ、とうのは、ひと何時いつ自分じぶんだまして、かくしにでもそっと賄賂わいろ突込つきこみはせぬか、それをうったえられでもせぬか
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
女房は返えさず打ち打擲したそうです、口惜しいから悪態を云うと門弟が引出して、の通りったりどぶの中へ突込つきこんだりして、丸で豚を見たようです、ふてい奴ですなア
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しよんぼりとつて、饂飩うどんかほ突込つきこむだ。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
利根の枝川へどぶんと水音高くさかとんぼうを打って投げ込まれましたから、アッといって三藏が驚いているうしろから、新吉が胴金を引抜いて突然だしぬけに三藏の脇腹へ突込つきこみました
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
後馳おくればせに散策子はたもとへ手を突込つきこんで
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あばら突込つきこみこじり廻せば、山本志丈は其の儘にウンと云って身をふるわせて、たちまち息は絶えましたが、此の志丈も伴藏にくみし、悪事をした天罰のがれ難くかゝる非業を遂げました
先生を騙りなどと悪口雑言あっこうぞうごんをしては捨置かれぬ、出ろと襟髪えりがみを取って腕をつかまえて門前へ引摺り出し、打擲して、前に申し上げた通り割下水のみぞさかさまに突込つきこんで、踏んだり蹴たり
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いさま、刀を逆手さかてに持直し、貝殻骨かいがらぼねのあたりから乳の下へかけ、したゝかに突込つきこんだれば、おみねは七顛八倒の苦しみをなし、おのれ其のまゝにして置こうかと、又も裾へしがみつく。
と云うと大藏はこらえかねて小刀しょうとうを引抜くが早いか脇腹へ突込つきこんで引廻しました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
花壇のうちへ身をひそめ隠し縁の下へ槍を突込つきこんで様子をうかゞっている。
今藤六が障子越しに突込つきこみに掛る途端に大喝一声だいかついっせい
喉笛へプツリーと力に任せて突込つきこむ。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)