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申分
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もうしぶん
ふりがな文庫
“
申分
(
もうしぶん
)” の例文
雨か雪が降った後で非常によく晴れた、そして少くとも北西の風が秒速十米前後の速力を
以
(
もっ
)
て吹いて居る日であれば先ず
申分
(
もうしぶん
)
がない。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
おこがましい
申分
(
もうしぶん
)
かは
存
(
ぞん
)
じませぬが、その
点
(
てん
)
の
御理解
(
ごりかい
)
が
充分
(
じゅうぶん
)
でないと、
地上
(
ちじょう
)
に
人類
(
じんるい
)
の
発生
(
はっせい
)
した
径路
(
いきさつ
)
がよくお
判
(
わか
)
りにならぬと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
いつも白と紺と藍との三色を用い、
経糸
(
たていと
)
は必ず麻にして、ひとえに丈夫を心掛けます。野良や山での仕事着として
申分
(
もうしぶん
)
ありません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
小野さんは
申分
(
もうしぶん
)
のない聟である。ただ財産のないのが欠点である。しかし聟の財産で世話になるのは、いかに気に入った男でも幅が
利
(
き
)
かぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気の利いた所が
菊五郎
(
きくごろう
)
で、
確
(
しっか
)
りした処が
團十郎
(
だんじゅうろう
)
で、その上
芝翫
(
しかん
)
の物覚えのよいときているから実に
申分
(
もうしぶん
)
はございません。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
申分
(
もうしぶん
)
なく完成されておりますので……あとに残っている仕事と申しますのは唯一つ、貴方が昔の御記憶を回復されまして、その実験の報告書類に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何不足のない、
申分
(
もうしぶん
)
のない、目を
瞑
(
ねむ
)
れば直ぐにうとうとと夢を見ますような、この春の
日中
(
ひなか
)
なんでございますがね、
貴下
(
あなた
)
、これをどうお考えなさいますえ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実に何から何まで、
申分
(
もうしぶん
)
なくお膳立てが揃っているんだよ。
流石
(
さすが
)
の僕もゾッとしないではいられなかった
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
町いったいは、
申分
(
もうしぶん
)
のない非常管制ぶりだった。直江津の全町は、まったく闇の中に沈んでいた。旗男は、この町の防空訓練のゆきとどいていることに感心していた。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その婦人なら
申分
(
もうしぶん
)
ない料理女だからと云う返事であったので即座にこの女を
傭
(
やと
)
うことに
定
(
き
)
めた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
その頃の青年華族などは、適当にケチで、お品がよくて、個性が無くて、積極的な行動を
慎
(
つつ
)
しんで、自分の意見をさえ言わなければ、それで
先
(
ま
)
ず同族間の評判は
申分
(
もうしぶん
)
無かったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
敬礼を止める
引越
(
ひきこ
)
して見れば誠に広々とした屋敷で
申分
(
もうしぶん
)
なし。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
最初
(
さいしょ
)
彼女
(
かのじょ
)
に
起
(
おこ
)
った
現象
(
げんしょう
)
は
主
(
しゅ
)
として
霊視
(
れいし
)
で、それは
殆
(
ほと
)
んど
申分
(
もうしぶん
)
なきまでに
的確
(
てきかく
)
明瞭
(
めいりょう
)
、よく
顕幽
(
けんゆう
)
を
突破
(
とっぱ
)
し、
又
(
また
)
遠近
(
えんきん
)
を
突破
(
とっぱ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
山の手の高台からは適当の距離を隔てていたし、邪魔になる程の高い建物はあたりに皆無だったので、眺望は
申分
(
もうしぶん
)
がなかった。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
士「言訳をするのに巴屋はなか/\旨く食わせるなどとは
不埓
(
ふらち
)
な
申分
(
もうしぶん
)
、やい
其処
(
そこ
)
に転がっているのは供か連れかなんだ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ただその児が、確実に呉家の血統を引いた男の児でさえあれば、学術研究上、
申分
(
もうしぶん
)
ないと思っていただけなのだ
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「どうですか、余り
推
(
おし
)
つけがましい
申分
(
もうしぶん
)
ではありますが、心はおなじ畜生でも、いくらか人間の顔に似た、口を利く、手足のある、廉平の方が
可
(
い
)
いですか。」
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「アア、あでやかあでやか、これで
申分
(
もうしぶん
)
はない。さて、今度は頭の番だ」
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
モデル台の上に立った多与里は、最早以前の美しい泥人形の小娘ではなく、左京の操る
巧
(
たくみ
)
な恋の技巧に躍らされて、燃えさかる青春の象徴であり、
申分
(
もうしぶん
)
のない八百屋お七的な激情の女性だったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
井伊掃部頭と云う人は純粋無雑、
申分
(
もうしぶん
)
のない
参河武士
(
みかわぶし
)
だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
母親
(
はは
)
が
大
(
たい
)
へん
縹緻
(
きりょう
)
よしなので、
娘
(
むすめ
)
もそれに
似
(
に
)
て
鄙
(
ひな
)
に
稀
(
まれ
)
なる
美人
(
びじん
)
、
又
(
また
)
才気
(
さいき
)
もはじけて
居
(
お
)
り、
婦女
(
おんな
)
の
道
(
みち
)
一と
通
(
とお
)
りは
申分
(
もうしぶん
)
なく
仕込
(
しこ
)
まれて
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
今も残っているかどうか分らぬが、
申分
(
もうしぶん
)
の無い野営地である。
此処
(
ここ
)
から右に尾根を伝いて四十分登れば、高さ二千十一米八の竜バミ山へ出られる。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
利「これは不都合な
申分
(
もうしぶん
)
です、知らん方を
家
(
うち
)
へ上げる訳にはゆきません、主人に聞かんうちは上げられません」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
弱輩な
申分
(
もうしぶん
)
ですが、頭を
掻毟
(
かきむし
)
るようになりまして、——時節柄、この不景気に、親の墓も今はありません、この土地へ、
栄耀
(
えよう
)
がましく遊びに参りましたのも、
多日
(
しばらく
)
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
因
(
ちなみ
)
にその診察の結果は全快、間違いなし。健康
申分
(
もうしぶん
)
なし。長生き疑いなしというものであった。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ウン、非常に特徴があるでしょう。実に
申分
(
もうしぶん
)
のない指紋だ」
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
庭の
清潔
(
きれい
)
なこと、赤松の一と抱えもあるのがあり、其の下に
白川御影
(
しらかわみかげ
)
の
春日燈籠
(
かすがどうろう
)
があり、
檜
(
ひ
)
の木の
植込
(
うえご
)
み
錦木
(
にしきゞ
)
のあしらい、下草の様子、何やかや
申分
(
もうしぶん
)
なく
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尤も前日に
大丸
(
おおまる
)
か弁天湯又は郭公湯あたりに一泊すれば
申分
(
もうしぶん
)
はない。
尚
(
な
)
お熊見曾根から
隠居倉
(
いんきょぐら
)
を経て西側の
三斗小屋
(
さんどごや
)
温泉に下る道もあって、二時間あれば充分である。
那須、尾瀬、赤城、志賀高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
即ち暑さ寒さを
凌
(
しの
)
ぎ得る皮肌、
鱗
(
うろこ
)
、泳ぎ廻る
鰭
(
ひれ
)
や
尻尾
(
しっぽ
)
、口や眼の玉、物を判断する神経なぞが残らず備わった、驚くべき進歩した姿になる。……ああ有難い、これなら
申分
(
もうしぶん
)
はない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「少し分りにくいかも知れぬが、これなら
申分
(
もうしぶん
)
がないな」
算盤が恋を語る話
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
清「顔ばかりじゃねえ、
何処
(
どこ
)
から何処まで
申分
(
もうしぶん
)
がねえ女だが、あれを
女房
(
にょうぼ
)
に貰いていが礼はするが骨を折って見てくれめえか、そうすれば親も弟も
皆
(
みんな
)
引取っても
宜
(
い
)
いが、どうだろう」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
野営には
申分
(
もうしぶん
)
のない地形である。北から西は五、六尺の高さに大岩が重り合って、自然の石垣を作っている。其下に浅いが冷い水を湛えた二坪あまりの池があるので炊事に不自由はない。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
しかし真実の犯罪としても、
申分
(
もうしぶん
)
のない動機だ。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
登山ではこの自己陶酔に
申分
(
もうしぶん
)
のない好条件がひとりでに備わることが多い。従って遭難の危険がある訳だ、で努めて避けるようにしているが、一人の場合はともすると虜にされることがある。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
武「尤も左様で、其の
許
(
もと
)
の仰しゃる事に
於
(
おい
)
ては
聊
(
いさゝ
)
かも
申分
(
もうしぶん
)
はございません」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
実に
申分
(
もうしぶん
)
のない方法があった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
申
常用漢字
小3
部首:⽥
5画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“申分”で始まる語句
申分ない