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瓦礫
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がれき
ふりがな文庫
“
瓦礫
(
がれき
)” の例文
諸卿
(
しょけい
)
の素直なる御賛同を得たるも、教訓する者みずから
率先
(
そっせん
)
して実行せざれば、あたら卓説も
瓦礫
(
がれき
)
に等しく意味無きものと相成るべく
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
裏路地
(
うらろじ
)
の
佗住居
(
わびずまい
)
も
自
(
みずか
)
ら
安
(
やすん
)
ずる処あらばまた全く画興詩情なしといふべからず、金殿玉楼も心なくんば春花秋月なほ
瓦礫
(
がれき
)
に
均
(
ひと
)
しかるべし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
寄生虫は、
瓦礫
(
がれき
)
を
鍍金
(
めっき
)
して、群衆に示し、共謀して、それをなるべく高価に売りつけようとする。そうして、蔭で舌を吐いていう
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
各地にある“散所”というのは、
貢税
(
こうぜい
)
のかからない無税の地のことである。河原、芦原、
瓦礫
(
がれき
)
の巷など、不毛の土地には税がない。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天地風雲、山川国土、水火人物、草木
瓦礫
(
がれき
)
より、色、声、香、味、触、法の微に至るまで、みな
遮那法性
(
しゃなほっしょう
)
の胸中より流出現顕せざるはなし。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
生の
瓦礫
(
がれき
)
のうちからのみ自由が目ざめ、そうした瓦礫のうちにおいてのみ人間は生きることができるのだ、とカフカは日記のなかに書いている。
「世界文学大系58 カフカ」解説
(新字新仮名)
/
原田義人
(著)
瓦礫
(
がれき
)
の前提から宝玉の結果が生まれるかのような気がしたり、またその計算がむつかしくめんどうであればあるほど
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
焼けあとの
瓦礫
(
がれき
)
さえもまだ片づかぬ終戦後一年のこちら側と、
僅
(
わず
)
か道路一つのへだたりとは受けとれぬほど対照的で、遠い外国をながめるようであった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
迫るこの時計屋敷の爆発時刻、間にあわなければ自分ももろともに屋敷の
瓦礫
(
がれき
)
の下におしつぶされてしまうのだ。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無心の小児に
瓦礫
(
がれき
)
を水中に投げ入れられて心痛を覚え、それを取出して貰って安穏を回復したというのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
作者が一句を仕上げる上の多年の修練、その人の天才、ひらめき、つまりその句が玉成されているか、あるいは
瓦礫
(
がれき
)
に終っているかによって
極
(
き
)
まるのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
咳唾
(
がいだ
)
珠
(
たま
)
を成し句々吟誦するに堪へながら、世人はこれを知らず、宗匠はこれを尊ばず、百年間空しく
瓦礫
(
がれき
)
と共に埋められて光彩を放つを得ざりし者を
蕪村
(
ぶそん
)
とす。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
もしや何か目じるしの札でもと存じ
灰塵
(
かいじん
)
瓦礫
(
がれき
)
の中を掘るようにして探ねましたが、思えば
剣戟
(
けんげき
)
猛火のあいだ、そのようなものの残っていよう道理もございません。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
商店街は
瓦礫
(
がれき
)
の浜となり、住宅地はただ石垣の段ばかり、畑は禿げ、林は燃え、森の巨木はマッチを並べたように倒され、
満目荒涼
(
まんもくこうりょう
)
、犬一匹生きて動くものはない。
長崎の鐘
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
日々に地が
均
(
なら
)
され、
瓦礫
(
がれき
)
が掘り出され、
隅
(
すみ
)
の方に国旗の
棹
(
さお
)
が建てられ、樹木の
蔭
(
かげ
)
も深くなって来た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ご主君のために
髑髏
(
どくろ
)
を
瓦礫
(
がれき
)
のあいだに
曝
(
さら
)
そうと念うよりさきに、おのれの名を惜しむ心がつよい。
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただの
瓦礫
(
がれき
)
に化してしまう、インチキなその場その場のウソのお城だとしか考えられなかった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
昔のなごりが少しは残っているであろうかと云った感傷で、恋の焼跡を吟味しに来るようなものなのだ。草
茫々
(
ぼうぼう
)
の
瓦礫
(
がれき
)
の跡に立って、只、ああと
溜息
(
ためいき
)
だけをつかせてはならないのだ。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
新治の地は
瓦礫
(
がれき
)
を去ったやわらかな土面、雨水にあった跡を言う。潦は路上の流水。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
鹿児島市は、半ば
廃墟
(
はいきょ
)
となっていた。鉄筋
混凝土
(
コンクリート
)
の建物だけが、外郭だけその形を止め、あとは
瓦礫
(
がれき
)
の散乱する
巷
(
ちまた
)
であった。ところどころこわれた水道の
栓
(
せん
)
が白く水をふき上げていた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
実におん
眼
(
め
)
からみそなわすならば勲章やエボレットなどは
瓦礫
(
がれき
)
にも
均
(
ひと
)
しいじゃ。
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
遂には生活途上の用もない
瓦礫
(
がれき
)
となって、
徒
(
いたず
)
らに人類進歩の妨げになるだろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それと同じ事で我々の心もまた死んだからというて決して
滅
(
めっ
)
するものでない。再びこの世に生れ変って来るものであるということを確かに信じて居るのは、いわゆる
瓦礫
(
がれき
)
中の
璧
(
たま
)
であるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
潮引き波去るの後に
迨
(
およ
)
んで之を
覧
(
み
)
る
塵埃
(
じんあい
)
瓦礫
(
がれき
)
紛として八方に散乱するのみ。また
些
(
いささか
)
の益する所なきが如しといへどもこれによりてその学が世上の注意を
惹
(
ひ
)
くに至るあるは疑ふべからざるなり。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
しかるにたびたび言うとおり僕は
他山
(
たざん
)
の
瓦礫
(
がれき
)
を
捕
(
とら
)
え来たって、自国の
璞玉
(
たま
)
に比してみずから
快
(
かい
)
とするの
愚
(
ぐ
)
なることを信ずるから、常に他山の石を
藉
(
か
)
りて自分の玉を
磨
(
みが
)
くの用に供したいと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
瓦礫
(
がれき
)
、
烟塵
(
えんじん
)
、混濁の
巷
(
ちまた
)
に面した、その中へ、小春の
陽炎
(
かげろう
)
とともに、貸本屋の
店頭
(
みせさき
)
へ、こうした娘姿を映出すのは——何とか区、何とか町、何とか様ア——と、大入の劇場から女の声の拡声器で
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
涯しない
瓦礫
(
がれき
)
と燃えさしの
堆積
(
たいせき
)
であった広島
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
一世紀半の鎌倉文化も、北条一族のキラ星も、
一朝
(
いっちょう
)
にみな
瓦礫
(
がれき
)
と化してしまうのである。太平記くらいたくさんな人が死んでゆく小説もない。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
咳唾
(
がいだ
)
珠
(
たま
)
を成し句々吟誦するに堪えながら、世人はこれを知らず、宗匠はこれを尊ばず、百年間空しく
瓦礫
(
がれき
)
とともに埋められて光彩を放つを得ざりし者を
蕪村
(
ぶそん
)
とす。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
もしや何か目じるしの札でもと存じ
灰塵
(
かいじん
)
瓦礫
(
がれき
)
の中を掘るやうにして探ねましたが、思へば
剣戟
(
けんげき
)
猛火のあひだ、そのやうなものの残つてゐよう道理もございません。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この上野町は爆発点より六百メートルの近距離にあって、当時現場にいた住民は防空壕の奥深く潜んでいた一人の子供を除いて全部死亡した所、灰と
瓦礫
(
がれき
)
の町である。
長崎の鐘
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
瓦礫
(
がれき
)
は転がるように転がり、珠玉は珠玉のように輝いて光っているのだから、数ある軸物のうちで、蛇足にひっかかったのは当然ですが、それが、たまたま主人の意を得て
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さらにそのむこうには
瓦礫
(
がれき
)
の焼跡が焦土のあとを見せて、遠くからカブト虫のような車や都電が近づき、まばらに疲れた足どりで指人形ほどの人間が、のろのろと歩いていた。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
廃墟と化した
瓦礫
(
がれき
)
の中から、まえよりも堅固で立派な都市が建ち、人間の数もはるかに多くなった、未開発国が開発され、植民地は次つぎに独立した、戦前よりはるかに繁栄し始めているが
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
照り返す
瓦礫
(
がれき
)
の沙漠を
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
わずか五年前をかえりみれば、
執権
(
しっけん
)
高時は、後醍醐の
怨敵
(
おんてき
)
だった。また義貞は、その北条九代の府を、一
朝
(
ちょう
)
のまに、
瓦礫
(
がれき
)
となさしめた人だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その寺院とてあらましは
瓦礫
(
がれき
)
となり果て、火をまぬがれた円覚、建長寺などへは、五山の僧が、ひしと詰まって、兵馬を入れる余地はございませぬ」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし何もかもが
一朝
(
いっちょう
)
に
瓦礫
(
がれき
)
となるような戦も珍しくない世に、それの正本などがただしく伝えられるはずもない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、一夜に百五十年の武家機構とその経営の府が根こそぎ崩れ去ってみると、こことて、ただの関東の一海浜で、しかもあわれな
瓦礫
(
がれき
)
の町にすぎない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて和氏が、鎌倉へ着き、そして義貞と会ったのは、
瓦礫
(
がれき
)
の
余燼
(
よじん
)
も、やや
冷
(
さ
)
めていた戦後六日目のことだった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瓦礫
(
がれき
)
を
抛
(
ほう
)
りこまれ、火を放たれ、中天の太陽が、くろ煙にかくれ出すと、城将丹羽氏重は、斬って出て戦死し、城兵のあらかたも、無残、
悉
(
ことごと
)
く斬り死した。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
茫然
(
ぼうぜん
)
、馬をとめた。街道口の人家から城内へわたる町屋根は、一望
瓦礫
(
がれき
)
の焼け野原と化しているではないか。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牛車は、法成寺址の
瓦礫
(
がれき
)
やら、路地のぬかるみに揺られ揺られ、まもなく
大路
(
おおじ
)
へ出て来た。
鬱蒼
(
うっそう
)
たる宮苑(その頃二十余万坪)の森は、もうすぐ眉にせまって見える。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまのような時代には、賢愚混乱して、瓦が珠と化けて仕え、珠は
瓦礫
(
がれき
)
の下にかくされ、
掌
(
て
)
にのするも、人に識別なく、脚に踏むも、世はこれを見ないのが通例じゃ。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらく終戦時の東京の一劃みたいな
瓦礫
(
がれき
)
の焦土を見たのだろう。一世紀半の鎌倉文化は、まったくこのとき廃墟と化した。科学武器などない時代でさえもこうだった。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大串や石田ノ庄の豪家の邸は、これまでの戦いで、ほとんど、
瓦礫
(
がれき
)
と化し去っている。将門は、大宝八幡の社家を宿営とし、さて、新年宴会をかねた戦捷祝賀の大饗には
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこは惨たる焼け跡であったが、以前から大玄関の前にあった「いちょう城」の名のある大銀杏の焼け肌だけが、今はあたりがすべて
瓦礫
(
がれき
)
なので、
突兀
(
とっこつ
)
とひとり
聳
(
そび
)
えていた。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「みろ。きょうの中にも、巴城を
瓦礫
(
がれき
)
と灰にしてみせるから」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“瓦礫”の意味
《名詞》
瓦礫(がれき 「礫」が常用漢字外であるため、法令等においては「がれき」と表記される)
工作物の残骸である廃棄物のこと。建物撤去のときに出る、瓦や壁土などの他に鉄骨、コンクリートなどもある。
(出典:Wiktionary)
瓦
常用漢字
中学
部首:⽡
5画
礫
漢検1級
部首:⽯
20画
“瓦礫”で始まる語句
瓦礫化