清吉せいきち)” の例文
「よし、してみようか……。」と、清吉せいきちが、脊伸せのびをして、ボタンにゆびをつけようとすると、孝二こうじは、はやごしになっていました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それはそれは、どうも恐れ入ります。さ、さ、おかけなすって……これ、清吉せいきち由松よしまつ、お座蒲団を持ちな。それからお茶を——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
親分、三輪の万七の子分、お神楽かぐら清吉せいきちだろうじゃないか。——手前の親分の平次は、三輪の縄張を荒らして、事ごとに恥をかかせやがる。
去年使うてやった恩も忘れ上人様に胡麻摺ごますり込んで、たってこん度の仕事をしょうと身の分も知らずに願いを上げたとやら、清吉せいきちの話しでは上人様に依怙贔屓えこひいきのおこころはあっても
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
数えてみると、二十両あるので、清吉せいきちはかえって眼をみはってしまった。まだ二十歳はたちを幾つも出ていまいと思われるのに、青い眉と黒豆のような歯並びをしているおかみさんは
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤作 昨日清吉せいきちの網に二、三本かかりましたわい。
屋上の狂人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
清吉せいきちや、今の電話は何だい?」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
清吉せいきちは、じっさいについて、これをろうと、すこしはなれた電柱でんちゅうのところにって、往来おうらい人々ひとびとのようすを見守みまもったのでありました。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
「近所だって、お向うは二軒とも明いているし、物騒なのは隣の屑屋より外にゃありゃしません。清吉せいきちといってね、人間は馬鹿気ているが、兇状持ですよ」
清吉せいきちは、頭をいて
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、とうとう、その晩方ばんがたとなりました。清吉せいきちは、あそびにそとへでて、ともだちと、みちうえで、ボールをなげていました。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
深刻になり行く騒ぎの中へ、ガラッ八を従えた銭形平次と、お神楽かぐら清吉せいきちを従えた三輪みのわの万七と、何ということか、裏と表から、一緒に清川の敷居をまたいだのでした。
はは背中せなかで、をさました、ちいさなおとうとが、あたまといっしょにからだをゆりうごかしているのにづいて、清吉せいきちは、おとうとのほうをば、ました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
番所へ行ってみると、三輪の万七とお神楽かぐら清吉せいきちが、お寿の責めに大童おおわらわでした。
清吉せいきちは、あののことをおもしました。もしそうでなかったら、きょう、おばあさんをみても、なぐさめようとしなかったでしょう。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
それを迎えて、路地一パイの大きな顔を見せるのは、お神楽かぐら清吉せいきちです。
「おばあさんきっとそうですよ。だから、かんにんしておやり。」と、清吉せいきちは、かれのせいいっぱいのちえをしぼって、なぐさめました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
後ろから顔を出したのは、どうして嗅ぎ付けたか、三輪みのわ万七まんしちとお神楽かぐら清吉せいきち。お品は「しまった」と思いましたが、今さら病中の父親を連れて来るわけにもいかず、一人で気を揉んでおります。
清吉せいきち正二しょうじは、学校がっこうかえりに、乾物屋かんぶつやまえとおると、おじさんが、みせにすわっていました。二人ふたりは、はいってそばへこしかけました。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
中年男の三輪みのわの萬七、續いてその子分のお神樂かぐら清吉せいきち、そして二三人の子分に守られて、繩付が二人、その一人は寶掘りの勸進元くわんじんもとで、よくない金儲けばかりやりたがる山の宿の喜三郎で、後の一人は
「いったい、だれが、修繕しゅうぜんしなければならぬのだろうかね。」と、清吉せいきちは、いいました。責任せきにんをもつものの怠慢たいまんがはらだたしかったのです。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
自転車屋じてんしゃやのおじさんが、こんど田舎いなかかえることになりました。清吉せいきちや、正二しょうじにとって、したしみのふかいおじさんだったのです。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それだのに、このはらっぱへてるなんて、こんど、ここへいぬやねこをてるべからずといて、ふだてようか。」と、清吉せいきちがいいました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりは、いきらして、往来おうらいはしりました。前方ぜんぽう岡田おかだあるいています。岡田おかだのそばをはしりすぎるとき、清吉せいきちは、自分じぶんのかばんをほうして
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、清吉せいきちのおとうさんは、ゆうちゃんの叔父おじさんが、うみ生活せいかつをやめて、こちらへくるようになったわけを、ほかからいてきたのであります。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ちっとばかしでいいんだねえ。」と、ゆうちゃんは清吉せいきちかおながら、おさらを牛乳屋ぎゅうにゅうやさんのまえしました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういったきりで、またみんなのは、小犬こいぬうえまりました。小犬こいぬは、清吉せいきちゆうちゃんのってきたビスケットををふりながらべていました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おいでよ、みちおしえてあげるから。」と、清吉せいきちは、さっきの往来おうらいまで、おんなをつれていってやりました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)