時機じき)” の例文
個人消防上こじんしようぼうじよう最大要件さいだいようけん時機じきうしなふことなく、もつと敏速びんそく處置しよちすることにある。これはちひさいほどやすいといふ原則げんそくもとづいてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
殺す時機じき因果いんぐわづくだが斷念あきらめて成佛じやうぶつしやれお安殿と又切付れば手を合せどうでも私を殺すのか二人の娘にあふまではしにともないぞや/\と刄にすがるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼と妻との間には最早もはや悲しみの時機じきは過ぎていた。彼は今まで医者から妻の死の宣告を幾度聞かされたか分らなかった。その度に彼は医者を変えてみた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
し、なんぢところこゝろかなへり、かねもくをこそとおもひけれ、いまなんぢところによりて、愈々いよ/\かれ人材じんざいたしかめたり、もちゐてくにはしらとせむか、時機じきいまいたらず
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなわち彼等の目的もくてき時機じきに投じて恩威おんいならほどこし、くまでも自国の利益りえきらんとしたるその中には、公使始めこれに附随ふずいする一類いちるいはいにも種々の人物じんぶつありて
錢形の平次は、快く引受けて歸りましたが、惜しいことにたつた一日違ひで時機じきを失つて了ひました。
「次郎! おまえの気持ちはよくわかる。兄さんはうれしい、だがいまはその時機じきではないよ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そしてつひには、日本につぽんうたが、赤人あかひとふうのものになる時機じきを、とゞけたのでありました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「ある時機じきがくるまで、かれは、われわれの前にすがたを見せないかも知れぬ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたかも時機じきの過ぎた今、もう熱心に説明する張合いがないといったふうに。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はたもくしんずるものすくなければ、その命令めいれいおこなはれじ、をりもがなあれかしと時機じきいたるを待給まちたまひぬ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
著者ちよしや七年前しちねんぜんたときは、つぎの大噴火だいふんかは、あるひ十年じゆうねん以内いないならんかとの意見いけんおほかつたが、このとし九月三十日くがつさんじゆうにちたときは、大噴火だいふんか時機じき切迫せつぱくしてゐるようにおもはれた。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すなわち徳川家が七十万石の新封しんぽうを得てわずかにそのまつりを存したるの日は勝氏が断然だんぜん処決しょけつすべきの時機じきなりしに、しかるにその決断ここに出でず、あたかも主家を解散かいさんしたるその功を持参金じさんきんにして