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おうせい
ふりがな文庫
“
旺盛
(
おうせい
)” の例文
その
旺盛
(
おうせい
)
な性欲的能力を他の労働もしくは精神的作業に転換するように努力すればその
放恣
(
ほうし
)
を防ぎ得るものであろうと私は想像する。
私娼の撲滅について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
心ある人々は誰しも眉をひそめぬものはなかったが、中でも、もともと叛骨精神
旺盛
(
おうせい
)
な文覚が、これを見過すようなことはなかった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ごく昔は自然にこういう形態で仕事が
為
(
な
)
されたであろうが、商業主義の
旺盛
(
おうせい
)
になった近代では、ほとんどあり得ないことといっていい。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
悲壮の美あり、崇高の観念あり。
汚辱
(
おじょく
)
も淫慾も皆これ人類活力の一現象ならずして何ぞ。彼の尊ぶ所は
深甚
(
しんじん
)
なる意気の
旺盛
(
おうせい
)
のみ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ところが私にはそれが
旺盛
(
おうせい
)
で、その点では咢堂の
厭味
(
いやみ
)
を徹底的にもっている。自分ながらウンザリするほど咢堂的な臭気を持ちすぎている。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
ごく
稀
(
まれ
)
には、却って異性に対する好奇心が
旺盛
(
おうせい
)
になって、そのためにつまらない失敗を重ね、やがては、泥沼の中へ落ち込んでしまう者もある
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その頃の二葉亭は生活上の必要と文芸的興味の
旺盛
(
おうせい
)
と周囲の圧迫に対する反抗とからして文学を一生の生命とする熱火の如き意気込があった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
もし
強
(
し
)
いて止めさせれば、丁度水分を失った植物か何かのように、先生の
旺盛
(
おうせい
)
な活力も即座に
萎微
(
いび
)
してしまうのであろう。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
景気のいいに
委
(
まか
)
せて、無責任をする店も少なくないように思われたが、一方購買力の
旺盛
(
おうせい
)
なことは疑う余地もなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一面私は、貞淑で柔順なる妻であることの代償として、私の限りなく
旺盛
(
おうせい
)
なる淫慾を
充
(
み
)
たさして貰っているのである。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かくまでに元気
旺盛
(
おうせい
)
な吾輩の事であるから鼠の一疋や二疋はとろうとする意志さえあれば、寝ていても訳なく
捕
(
と
)
れる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いかにその子の活力が
旺盛
(
おうせい
)
にみえていても、それはただ動物的本能的なもので、
価値
(
ねうち
)
のほとんど少ないものである。
たましいの教育
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
五十前後の
脂
(
あぶら
)
の乗った中老人で、物欲の
旺盛
(
おうせい
)
らしいのと、何事も金で始末の出来ないものはないと思い込んでいる様子で、ひどく平次の
癇
(
かん
)
にさわります。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時代には体格も気力も
旺盛
(
おうせい
)
のように見えるから何の不養生をしてもさほどに弱らない。何を
食
(
たべ
)
ても平気だよ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
何よりも苦しいことは、性慾ばかりが
旺盛
(
おうせい
)
になって、明けても暮れても、セクスの観念以外に何物も考えられないほど、
烈
(
はげ
)
しい情火に反転
悶々
(
もんもん
)
することだった。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「しかし戸川中尉どの。自分は右手を失って、見かけにおいては体力を
削減
(
さくげん
)
しましたが、その戦闘精神は
却
(
かえ
)
って以前よりも
旺盛
(
おうせい
)
になったことを
言明
(
げんめい
)
いたします」
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もう彼は完全にこの派手な葉の広い
旺盛
(
おうせい
)
なものが、庭を一挙に打ちこわしていることに、眼がとどまった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それは明治四十四年の五月のことで、新興劇団の機運はまさに
旺盛
(
おうせい
)
の時期とて、二人の女優は期待された。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あるいはこの三つの植物の繁殖力の
旺盛
(
おうせい
)
な事に関する侵入者の知識がこの現象の原因になるかと思ってみたが、それもあまりに付会に過ぎた説明としか思われない。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その端厳にして
旺盛
(
おうせい
)
な仏徳発揚の力といい、比例均衡の美といい、造型技巧の
完璧
(
かんぺき
)
さといい、更に鋳金技術の驚くべき練達といい、まったく一つの不可思議である。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
青年が新刊書を喜ぶということはその知識欲の
旺盛
(
おうせい
)
を示すものであって排斥すべきことではないが、しかしそこにはまた単なる好奇心の
虜
(
とりこ
)
になる危険もあるのである。
如何に読書すべきか
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
しかし健康で丸々と張りきった彼の頬は、よほど巧く出来ていて、
旺盛
(
おうせい
)
な繁殖力を
包蔵
(
ほうぞう
)
していると見え、髯は間もなく新らしく伸びて、
剰
(
あまつ
)
さえ前より立派になる位だ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
若い新鮮な女性の肉体から出る
香
(
におい
)
が勝平の
旺盛
(
おうせい
)
な肉体の、あらゆる感覚を
刺戟
(
しげき
)
せずにはいなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
若葉の夕闇に、ここかしこ、陣屋の
炊煙
(
すいえん
)
が上がっていた。どんな
幽邃
(
ゆうすい
)
な寺院も、ひとたび軍馬の営となると、そこは忽ち
旺盛
(
おうせい
)
な日常生活の
厨房
(
ちゅうぼう
)
や
馬糞
(
ばふん
)
のぬかるみになった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵の多少にあらず武器の
利鈍
(
りどん
)
にあらず、士気
旺盛
(
おうせい
)
なるものは勝ち、後ろさびしいものは負ける、とくに犬の喧嘩をもってしかりとする、犬のたよるところはただ主人にある
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
しかも、それが両方ともに彼がこのまじないのかかった地方に住んでからいよいよ
旺盛
(
おうせい
)
になった。どんな大きな話でも、恐ろしい話でも、彼はがぶりとのみこんでしまうのだ。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
科学の応用は、人間の現実生活の享楽に直接役立つので、この世の生命に対する執着力の
旺盛
(
おうせい
)
な紅毛人たちの間に於いて異常の進歩をとげ、東洋の精神界にまで浸透して来た。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
明治二十七八年の日清戦役後の前後から日本の金魚の観賞熱はとみに
旺盛
(
おうせい
)
となった。専門家の側では、この機に乗じて金魚商の組合を設けたり、アメリカへ輸出を試みたりした。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二十代前後は感情のもっとも
旺盛
(
おうせい
)
なとき、三十代前後は
手腕
(
しゅわん
)
のもっとも発達するとき、四十前後は知識のもっとも発達するとき、しかして五十前後は思慮のもっとも深いときである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
又ある大学の優秀な政治学の教授は、パリーの左翼の
旺盛
(
おうせい
)
なさまを眼にしながら
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
なんとその生活力の
壮
(
さか
)
んなこと! 食欲は人の数倍も
旺盛
(
おうせい
)
で、そのためにしばしば与えられた食物の争奪のためにつかみ合いが始まるほどであり——また性欲もおさえがたく強いらしく
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
先ごろ李陵の使いとして
漠北
(
ばくほく
)
から「戦線異状なし、士気すこぶる
旺盛
(
おうせい
)
」の報を
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この二三年間は彼が心身ともに健康にめぐまれて
旺盛
(
おうせい
)
な創作力を示した時期で、『アッタレーア・プリンケプス』Attalea Princeps(八〇年発表)はこのころの所産である。
「あかい花 他四篇」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「そりゃあひどいな。だけどその位の事は
為方
(
しかた
)
がないよ。こんな借家は
一寸
(
ちょっと
)
ないぜ。僕は飯倉にいた時に比べると、
頭脳
(
あたま
)
はやすまるし食欲は
旺盛
(
おうせい
)
になるし、めきめき健康がよくなったように思う。」
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
植物の
旺盛
(
おうせい
)
な
繁殖
(
はんしょく
)
がすぐ道をかくしてしまう。群れ立つ樹々の梢が日光の直射をさえぎっていたが、それでもむんむんする草いきれで、
暫
(
しばら
)
く歩くと汗が背筋に滲み出して来た。道は東北の方角である。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
しかもそが
天稟
(
てんぴん
)
の傾向たる写生の精神に至つては終始変ずる事なく、老年に及びてその観察はいよいよ鋭敏にその意気はいよいよ
旺盛
(
おうせい
)
となり
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我々の神はこの嘆きを
憐
(
あわ
)
れみ、雌の河童の
脳髄
(
のうずい
)
を取り、雄の河童を造りました。我々の神はこの二匹の河童に『食えよ、交合せよ、
旺盛
(
おうせい
)
に生きよ』
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの
旺盛
(
おうせい
)
な観念の
饒舌
(
じょうぜつ
)
や、まわりくどくても的確な行き渡り方を読んでみると、筆記では、もっと整理が出来たにしても反面多くを逃したに相違なく
文字と速力と文学
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
二十二で夜間高校にかようというのはよっぽど好学精神の
旺盛
(
おうせい
)
なたちなのだろう。
温和
(
おとな
)
しくて、天候の挨拶をするにも顔が赤くなる、ということであった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「只今、全航程の三分の二を踏破せり。あと二時間にて、
暁
(
あかつき
)
を迎える筈。艦隊の全将兵の士気
旺盛
(
おうせい
)
なり」
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なぜならあの慶長頃から元禄にかけて
旺盛
(
おうせい
)
を極めた朝鮮系の焼物が、今日ほとんど煙滅し去った時、ひとりこの窯ばかりは伝統を続けて今も煙を絶やさないからである。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
すると中心から梅干が一個出て来るそうだ。この梅干が出るのを楽しみに塩気のない周囲を一心不乱に食い欠いて突進するんだと云うが、なるほど元気
旺盛
(
おうせい
)
なものだね。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
タダ僕ハ生理的ニ彼女ノヨウニアノ方ノ
慾望
(
よくぼう
)
が
旺盛
(
おうせい
)
デナク、ソノ点デ彼女ト
太刀打
(
たちう
)
チデキナイ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
客たちはみな、軽い財布と山の空気につきものの
旺盛
(
おうせい
)
な食欲にめぐまれていたからである。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ある通俗な書物によると、甲状腺の活動が
旺盛
(
おうせい
)
な時期には性的刺激に対する感度が高まると同時にあらゆる情緒的な刺激にも敏感になり、つまり泣きやすくもなるそうである。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
万一多少の故障があったからッてこれがために多年の
夙望
(
しゅくぼう
)
を
思留
(
おもいとどま
)
りそうもなし、折角意気の
旺盛
(
おうせい
)
なる目出たい門出に曇影を与うるでもないと思って、多少は遠廻しに匂わして見たが
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼はただ
旺盛
(
おうせい
)
なる——自分でも持てあますほど旺盛な——血気と功名心の
権化
(
ごんげ
)
となり終っていた。そのすさまじい征服慾の吐け口を見いだすのみに、眼は生命の全部を燃やしていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四方
(
あたり
)
は薄暗くなったといっても、八五郎の顔と調子が判らないほどではなかったでしょうが、自分の仕事に足を踏込まれると、こう言わずにはいられない戦闘意識の
旺盛
(
おうせい
)
な銅八であったのです。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが後者に行こうとするのだったら、もっと
旺盛
(
おうせい
)
な詩的精神——それは
現在
(
ザイン
)
しないものを欲情し、所有しないものを
憧憬
(
どうけい
)
する。——を高調し、
**
明治維新の
溌剌
(
はつらつ
)
たる精神を一貫せねばならないのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼の筆の早さを春水や種彦のそれと比較されるということは、自尊心の
旺盛
(
おうせい
)
な彼にとって、もちろん好ましいことではない。しかも彼は遅筆の方である。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“旺盛”の意味
《名詞》
旺盛(おうせい)
非常に盛んなこと。
(出典:Wiktionary)
旺
常用漢字
中学
部首:⽇
8画
盛
常用漢字
小6
部首:⽫
11画
“旺”で始まる語句
旺
旺然
旺溢
旺勃
旺秋