トップ
>
断末魔
>
だんまつま
ふりがな文庫
“
断末魔
(
だんまつま
)” の例文
旧字:
斷末魔
青大将
(
あおだいしょう
)
が真二つにちぎられてのたうち
廻
(
まわ
)
るのだ。
尺取虫
(
しゃくとりむし
)
と芋虫とみみずの
断末魔
(
だんまつま
)
だ。無限の快楽に、或は無限の痛苦にもがくけだものだ。
火星の運河
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、シリンの
断末魔
(
だんまつま
)
らしい、ウームといううなり声が、かれの耳そこにハッキリと聞こえた。いよいよ事態は重大となった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、竹の落葉の上には、それらしい
跡
(
あと
)
も残っていません。また耳を澄ませて見ても、聞えるのはただ男の
喉
(
のど
)
に、
断末魔
(
だんまつま
)
の音がするだけです。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人垣は物の崩れるように、ゾロゾロと倒れているお菊の方に移りましたが、
蘇芳
(
すおう
)
を浴びた虫のように
蠢
(
うごめ
)
く
断末魔
(
だんまつま
)
の娘をどうしようもありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この夜叉王は
徹頭徹尾
(
てっとうてつび
)
芸術本位の人で、頼家が亡びても驚かず、娘が死んでも
悲
(
かなし
)
まず、悠然として娘の
断末魔
(
だんまつま
)
の顔を写生するというのが
仕所
(
しどこ
)
で
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
それは
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、あの
時
(
とき
)
私
(
わたくし
)
は
母
(
はは
)
の
断末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
の
様
(
さま
)
を
見
(
み
)
るに
見兼
(
みか
)
ねて、一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
母
(
はは
)
の
躯
(
からだ
)
を
撫
(
な
)
でてやったのを
覚
(
おぼ
)
えています。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
トルストイの様な人でトルストイの様な境遇にある者は、彼様な
断末魔
(
だんまつま
)
が当然で且自然であります。少しも無理は無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と悲しい声を張りあげて、
断末魔
(
だんまつま
)
のように身体を
顫
(
ふる
)
わせて
掻口説
(
かきくど
)
いていた。その痴川を麻油は母親のように抱いてやって、けたたましく笑い出したが
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と、巨大な牛の
断末魔
(
だんまつま
)
の鳴き声にも似た、汽笛の音が、はげしい風に吹きちぎられながら鳴りひびいた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
怪談の
中
(
うち
)
でも、人間が死ぬ
断末魔
(
だんまつま
)
の
刹那
(
せつな
)
に遠く離れて
居
(
い
)
る、親しい者へ、知らせるというのは、決して怪談というべき
類
(
るい
)
では無かろうと思う、これは立派な精神的作用で
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
私は蒼い顔をして、
断末魔
(
だんまつま
)
のような
忙
(
せわ
)
しない
息遣
(
いきづか
)
いをしつゝ、心の中でこう叫んで見る。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、いつぞや毒にあたって死んだ犬の
断末魔
(
だんまつま
)
の啼き声を思い出してきたからであった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刹那
(
せつな
)
、鞘をあとに
躍
(
おど
)
った武蔵太郎が、銀光一過、うわあッ! と
魂切
(
たまぎ
)
る
断末魔
(
だんまつま
)
の悲鳴を名残りに、胴下からはすかいに
撥
(
は
)
ねあげられたくだんの男、がっくりと
低頭
(
おじぎ
)
のようなしぐさとともに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
顳顬
(
こめかみ
)
がふくれ、
喉
(
のど
)
がつまり、彼は
断末魔
(
だんまつま
)
の叫びをあげかける。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
断末魔
(
だんまつま
)
の勇気でまた斬りつけたのが鍛冶倉の肩先。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
燃え狂ふ
恋慕
(
れんぼ
)
の
楽
(
がく
)
の
断末魔
(
だんまつま
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
断末魔
(
だんまつま
)
——濁りゆく
眼
(
め
)
に
寂寞
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
脣
(
くちびる
)
を押し開き、生きた人間では
迚
(
とて
)
も不可能な程大きな口にして了ったという、その
断末魔
(
だんまつま
)
の世にも物凄い情景が、彼の目先にチラついたのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その身体が後ろから突きのめしたように、前に倒れているのは、
断末魔
(
だんまつま
)
の苦悩のせいでしょうか。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
判事も僕のはげしい態度に
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めはしたが、あの博士の
断末魔
(
だんまつま
)
が聴えた
後
(
のち
)
に、階段を降りて行ったらしい
跫音
(
あしおと
)
と
扉
(
ドア
)
にぶつかる音をきいたということを非常によろこんだ。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その疾駆し去ったあとには、
負傷
(
てお
)
いの者、
断末魔
(
だんまつま
)
の声が入りみだれて残る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あの
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もなく、
老
(
お
)
いさらばえる
面影
(
おもかげ
)
、あの
断末魔
(
だんまつま
)
のはげしい
苦悶
(
くもん
)
、あの
肉体
(
にくたい
)
と
幽体
(
ゆうたい
)
とをつなぐ
無気味
(
むきみ
)
な二
本
(
ほん
)
の
白
(
しろ
)
い
紐
(
ひも
)
、それからあの
臨終
(
りんじゅう
)
の
床
(
とこ
)
の
辺
(
あたり
)
をとりまいた
現幽両界
(
げんゆうりょうかい
)
の
多
(
おお
)
くの
人達
(
ひとたち
)
の
集
(
あつま
)
り……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
斃
(
たお
)
されたその男は、
平常
(
ふだん
)
、信心家であったとみえ、
断末魔
(
だんまつま
)
のひと声
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺人者が目の前にいるとも知らず血みどろになって狂い廻る
断末魔
(
だんまつま
)
の
光景
(
ありさま
)
、最初の間、それらが、どんなにまあ私を有頂天にして呉れたことでしょう。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
凡
(
およ
)
そ其試写会に立会った程の人々は、期待していた若き一婦人の
断末魔
(
だんまつま
)
の姿を見る代りに、ま白きタイルの浪の上に、南海の人魚の踊りとは、かくもあるかと思われるような
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いよいよお綱も
断末魔
(
だんまつま
)
か?
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それぞれ個性を持った犬共の叫び声が、物狂わしき
断末魔
(
だんまつま
)
の聯想を以て、キンキンと胸にこたえた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
空中の怪魚の、
断末魔
(
だんまつま
)
は、
流石
(
さすが
)
に
豪胆
(
ごうたん
)
な帝国の飛行将校も、
正視
(
せいし
)
するに、たえなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「よくごらんなさい。
死骸
(
しがい
)
ですよ。
断末魔
(
だんまつま
)
です。
知死期
(
ちしご
)
です。わたしの自慢の作品ですよ」
悪霊物語
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
恋人との
逢瀬
(
おうせ
)
から帰って来たのは、その日の午後三時頃、丁度格太郎が長持の中で、執念深くも最後の望みを捨て兼ねて、最早や虫の息で、
断末魔
(
だんまつま
)
の苦しみをもがいている時だった。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかも
断末魔
(
だんまつま
)
の
苦悶
(
くもん
)
を現わす、何とも云えぬ物凄い
唸
(
うな
)
り声だ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
断末魔
(
だんまつま
)
の不気味な笑いを笑っているのでございました。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
魔
常用漢字
中学
部首:⿁
21画
“断末”で始まる語句
断末
断末苦
断末間