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従姉
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いとこ
ふりがな文庫
“
従姉
(
いとこ
)” の例文
旧字:
從姉
「峰花子といいます。別に特徴もありませんが、この
右足湖
(
うそくこ
)
を東に渡った
湖口
(
ここう
)
に親類があって、そこの
従姉
(
いとこ
)
が死んだということでした」
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
信仰の
篤
(
あつ
)
いHさんの
従姉
(
いとこ
)
は、久しく肉の汚れに染められた聖堂のなかを、一まづ清掃してはどうかと司祭さんに提議したのでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
お絹の家の本家で、お絹たちの母の
従姉
(
いとこ
)
にあたる女であったが、ほかに身寄りがないので、お京のところで何かの用を
達
(
た
)
していた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お米といって、これはそのおじさん、辻町糸七——の
従姉
(
いとこ
)
で、
一昨年
(
おととし
)
世を去ったお京の娘で、土地に
老鋪
(
しにせ
)
の
塗師屋
(
ぬしや
)
なにがしの妻女である。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
秋作氏のそばには、ついこの夏、結婚したばかりの
従姉
(
いとこ
)
の
槇子
(
まきこ
)
が
淑
(
しと
)
やかに寄り添い、そのとなりに、長六閣下の白い
毬栗頭
(
どんぐりあたま
)
が見えている。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
予は姉には
無造作
(
むぞうさ
)
に答えたものの、奥の底にはなつかしい心持ちがないではない。お光さんは予には
従姉
(
いとこ
)
に当たる人の娘である。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
松次郎は
従姉
(
いとこ
)
のお妙に夢中だったのさ。折があったら竜吉を殺そうと
狙
(
ねら
)
っていたことだろう。殺して置いて、自殺と見せかけようとした。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あなたの
従姉
(
いとこ
)
が、その審美心と戸外運動と実務の才(というのは、実務的能力と家庭的専横性とを彼女は母親から受け継いでいますから)
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
このビール樽はお父さんの
従姉
(
いとこ
)
の
配偶
(
つれあい
)
で、川島さんという若松の石炭商だった。お父さんは一同に然るべく紹介を済ませてから
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
伯父の養ひ子で、だから私には義理の
従姉
(
いとこ
)
に当るわけだつた。当時お産をして、故あつてその家に預けられて居たのだつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
国府津の叔母さんのところには、
従姉
(
いとこ
)
の信子さんがいる。信子さんは、クルミさんより五つ年上の二十一で、この月の末にお嫁入りするのである。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
浅田は段々考えてゆくうちに、妻の
従姉
(
いとこ
)
の山本京子というのが、二本榎に住んでいる事を思出した。もしやすると、そこへいったのかも知れない。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
その吉光御前というお方こそ、自分が主命をうけて、機会さえあれば世に出そうと苦心している鞍馬の
稚子
(
ちご
)
遮那王
(
しゃなおう
)
の
従姉
(
いとこ
)
にあたる人なのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は用心深く彼の視線を
外
(
そら
)
しつゝ何気ない世間話の中へ彼女の
従姉
(
いとこ
)
の不幸な結婚の話を
細々
(
こま/\
)
と織り込んでいつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
兄弟共通に知つてゐる女性では、他に適当の心当りがないので、差当り此の
従姉
(
いとこ
)
の娘を
挙
(
あ
)
げてみたまでであつた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
「あなたが、こつちへ来てゐるといふ事を、母はもう知つて、ぜひ逢ひたいから弘前へ寄こしてくれつて電話がありましたよ。」と
従姉
(
いとこ
)
が笑ひながら言つた。
津軽
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
これはヤアギチ夫人の
従姉
(
いとこ
)
で、もう三十を越した、顔色の悪い
眉毛
(
まゆげ
)
の濃い、鼻眼鏡の老嬢であるが、
烈
(
はげ
)
しい寒風のなかでも小休みもなく
巻煙草
(
まきたばこ
)
を
喫
(
す
)
うのが癖で
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
十
(
とお
)
ばかりの
従姉
(
いとこ
)
と、私はだんまりで、二人ともこぼれない涙に
瞳
(
め
)
が光っていた。おなじようにムンヅリしていたが、子供心にも思うことは違っていたのかもしれない。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
従姉
(
いとこ
)
の藤子とが私より四つ、五つ年上で、美しい娘として三味線や、琴や、手芸などを競って習い、揃いの着物を着たりして、絶えず美と芸との雰囲気を発散させていたことだ。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ある
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
の従兄の家には僕の血を分けた
従姉
(
いとこ
)
が一人僕を待ち暮らしているはずだった。僕はごみごみした町の中をやっと
四谷見附
(
よつやみつけ
)
の停留所へ出、満員の電車に乗ることにした。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
従姉
(
いとこ
)
の一人が慰めのために云った言葉を、私は舌打ちしながら睨み返してやりました。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
そして一八三九年には
従姉
(
いとこ
)
エンマ・ウェジウッドと結婚し、その後一八四二年にダウンという土地に移り、ここに一八八二年四月十八日に
逝去
(
せいきょ
)
するまでの長い年月を平和に送りました。
チャールズ・ダーウィン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
全然離れた家へはなやかに婿として迎えられることがどれだけ幸福だかしれません。
従姉
(
いとこ
)
の縁で
強
(
し
)
いた結婚だというように取られて、源氏の大臣も不快にお思いになるかもしれませんよ。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
殊に年上の
従姉
(
いとこ
)
の一人は、彼が年をとって伯父のようにならなければいいが、と、口癖のようにいっていた。その言葉が部分的には当っていることを、三造も認めないわけには行かなかった。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お房さんといふのは、私を初めて東京へつれて来てくれた私の
従姉
(
いとこ
)
である。
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
お延が津田へ片づくや否や、すぐその
後
(
あと
)
へ入る事のできた彼女は、
従姉
(
いとこ
)
のいなくなったのを、自分にとって大変な
好都合
(
こうつごう
)
のように喜こんだ。お延はそれを知ってるので、わざと言葉をかけた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
継母の
下
(
もと
)
に
十年
(
ととせ
)
を送り、今は姑のそばにやがて一年の経験を積める
従姉
(
いとこ
)
の底意を、ことごとくはくみかねし千鶴子、三つに組みたる髪の端を白きリボンもて結わえつつ、浪子の顔さしのぞきて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今日
(
きょう
)
、日曜日、生れてはじめて、
従姉
(
いとこ
)
のナネットはミサに遅れた。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
約束の会は
明日
(
あした
)
だし、
好
(
すき
)
なものは晩に食べさせる、と
従姉
(
いとこ
)
が言った。
差当
(
さしあた
)
り何の用もない。何年にも
幾日
(
いくか
)
にも、こんな
暢気
(
のんき
)
な事は覚えぬ。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
従姉
(
いとこ
)
の名前のために、そう考えたのも無理のないことですが、それにしても、今までに運んで来た、二十四本の恋文の始末をつけなければ
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
パリーに連れて来られると、もの静かなグラチアは、美しい
従姉
(
いとこ
)
のコレットが大好きになった。コレットは彼女を面白がった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
とりあへずお母さんとHさんは
駿河台
(
するがだい
)
の
従姉
(
いとこ
)
の家へ、のこる家族は
駒込
(
こまごめ
)
だかの親類の家に転がりこむことになりました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
お島が
下谷
(
したや
)
の方に独身で暮している、父親の
従姉
(
いとこ
)
にあたる伯母のところに、暫く体をあずけることになったのは、その夏も、もう盆過ぎであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大野の芳子さんというのは僕の
従姉
(
いとこ
)
だ。ピアノの先生として二つの女学校に勤めている上に、一週一回社長邸へ来て令嬢に教える。僕が推薦したのだ。
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は
従姉
(
いとこ
)
をたずねていって、
暗澹
(
あんたん
)
たる有様に胸をうたれて途方にくれたことがある。これが、あのはなやかに、あでやかに見える、
左褄
(
ひだりづま
)
をとる
女
(
ひと
)
の
背
(
せびら
)
に負う影かと——
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
なるほど、それは、遮那王の身にも、彼の
従姉
(
いとこ
)
にも、無事な世渡りにちがいない。だが、そうして、源家のわずかな血脈が、一身の安立ばかり願っていたら、源氏はどうなる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は夢に
従姉
(
いとこ
)
の子供と、
三越
(
みつこし
)
の二階を歩いてゐた。すると書籍部と
札
(
ふだ
)
を出した台に、Quarto 版の本が一冊出てゐた。誰の本かと思つたら、それが
森
(
もり
)
先生の「かげ草」だつた。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は母や叔母や姉やら
従姉
(
いとこ
)
やらその他なんだか多勢で、浅虫温泉の旅館で遊び暮した事があって、その時、一番下のおしゃれな兄が、東京からやって来て、しばらく私たちと一緒に滞在し
『井伏鱒二選集』後記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そうですの? じゃ、折角ですから、あたしの使ってしまった、あの香水を買っていただきましょうか? だってあたし、あの品を、
従姉
(
いとこ
)
の信子さんに、お贈りするつもりだったんですもの」
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
従姉
(
いとこ
)
ということは事実だからいいでしょう。そのほかのことは何も
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「この小僧め」——年を取った
従姉
(
いとこ
)
は、厳かな調子で
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「お前は継子の
従姉
(
いとこ
)
じゃないか」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いいえ、あれは
従姉
(
いとこ
)
の名よ」
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
多少荒っぽい笑い方をします。調子はいっそう粗野に生硬になっています。あなたの
従姉
(
いとこ
)
は時とすると、無作法なことを平気で口にしています。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
以前にも両三度聞いた——
渠
(
かれ
)
の帰省談の中の
同伴
(
つれ
)
は、その
容色
(
きりょう
)
よしの
従姉
(
いとこ
)
なのであるが、従妹はあいにく京の本山へ
参詣
(
おまいり
)
の留守で、いま一所なのは
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
北山も江古田で一軒世帯を作って、
画
(
え
)
に精進していたし、瑠美子は最近往来の道が開けて来た、郊外の
従姉
(
いとこ
)
の家へ、ずっと預けっ放しになっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
相手は
従姉
(
いとこ
)
で年が一つ上だった。子供の時から仲が好かった。本家と分家だから、始終往き来をしていた。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
遮那王
(
しゃなおう
)
様のお
従姉
(
いとこ
)
がいらせられて、いつも、鞍馬へのお
言
(
こと
)
づてを聞いてゆくのだ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
従姉
(
いとこ
)
は
瓦斯
(
ガス
)
暖炉の前に坐ったまま、アストラカンの帽をおもちゃにしていた。僕は正直に白状すれば、従兄の弟と話しながら、この帽のことばかり気にしていた。火の中にでも落されてはたまらない。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夏痩は、
辰
(
たつ
)
ノ
口
(
くち
)
といふ温泉の、叔母の家で、
従姉
(
いとこ
)
の処へわきから包ものが
達
(
とゞ
)
いた。其上包になつて読売新聞が一枚。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“従姉”の意味
《名詞》
従姉(いとこ、ジュウシ)
(漢字用例)女性の年上のいとこ。
(出典:Wiktionary)
従
常用漢字
小6
部首:⼻
10画
姉
常用漢字
小2
部首:⼥
8画
“従姉”で始まる語句
従姉妹
従姉弟
従姉兄
従姉妹同士