廣々ひろ/″\)” の例文
新字:広々
のぞくと、やまさかひにした廣々ひろ/″\としたにはらしいのが、一面いちめん雜草ざつさうで、とほくにちひさく、こはれた四阿あづまやらしいものの屋根やねえる。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あの廣々ひろ/″\とした富士ふじ裾野すそのには、普通ふつう登山期とざんきよりもすこおくれてはち九月くがつころには、ことうつくしい秋草あきくさがたくさんきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
いへ間數まかず三疊敷さんでふじき玄關げんくわんまでをれて五間いつま手狹てぜまなれども北南きたみなみふきとほしの風入かぜいりよく、には廣々ひろ/″\として植込うゑこみ木立こだちしげければ、なつ住居すまゐにうつてつけとえて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だまつて大股おほまたに、あとをもず、廣々ひろ/″\とした野山のやまはうつてしまひました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
惠那山ゑなやまもよくえます。もつとむかふのやまえます。たかやまがいくつも/\えます。そのやまむかふには、見渡みわたすかぎり廣々ひろ/″\とした野原のはらがありますよ。なにひかつてえるかはのやうなものもありますよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
毒蟲どくむしくるしいから、もつと樹立こだちすくない、廣々ひろ/″\とした、うるさくないところをと、てら境内けいだいがついたから、あるして、卵塔場らんたふば開戸ひらきどからて、本堂ほんだうまへつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひさししたにあのかたはら床几しやうぎに、飛石とびいし石燈籠いしどうろうのすつきりした、綺麗きれいいてちりめず廣々ひろ/″\した、團子屋だんごや奧庭おくには背後うしろにして、ひざをふつくりと、きちんとすわつて、つむり置手拭おきてぬぐひをしながら
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたい三間みまばかりの棟割長屋むねわりながやに、八疊はちでふも、京間きやうま廣々ひろ/″\として、はしら唐草彫からくさぼりくぎかくしなどがあらうとふ、書院しよゐんづくりの一座敷ひとざしきを、無理むり附着つきつけて、屋賃やちんをおやしきなみにしたのであるから、天井てんじやうたかいが
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)